2017年3月

2017/3/29 <すべては松腰から、丹田の受動性>

 

 最近は生徒さん達とのグループLINEにメモを書くことが多くなり、こちらの方は疎かになってしまっている。

 仲間うちのLINEに書き込むのは手っ取り早く、分かる人には分かればよいし、分からなければスルーしてもらえばよいし、とこちらも気楽。一方、HPのブログに書くときは、少しでも分かってもらえるように、と一応気にして少し丁寧に説明している(つもり)。

 

 先日の日曜日は雨天だったため仕方なく屋内で練習することにしたが、黒板があることが分かり、急遽、学会での講義を思い出し、講義形式でレッスンを行うことにした。

ある程度練習を積んで体感ができた後、理論を勉強して、身体の理解を頭の理解に結び付けるのはとても有意義な作業。これまで何をやってきたのか、点々でバラバラだったものを少し線でつなげるようになる。(逆に頭=理論から入るとそれに邪魔されて体感が非常に得ずらくなるので要注意!順番は身体→頭、です。)

 

 先週あたりにLINEで『松腰』の話をして日曜日にもそこから練習を始めた。

 今日スカイプで生徒さんを教えていて、ますます『松腰』の重要性を認識。

 <ここからはLINEに書くように書いてしまいます・・・>

 

 まずは『松腰』(ソンヤオ)。

 立つにも動くにも、まずこれができていないとその後は全部”錯(ツオ)!”(間違い)になります。

 そして順番は➀『松腰』→②『塌腰』(ターヤオ)→

      ③『松胯』(ソンクワ)→④『坐 胯』(ツオクワ)

 

 日曜日には脊椎の位置を使ってざっくり説明しました。

 ①は腰椎1番から4番あたりの緩み (注:命門は2番と3番の間)

 ②は➀に加えて腰椎5番、仙骨上部の緩み (腰骨ラインは4番と5番の間)

 ③ 仙骨を緩めるに伴い骨盤を緩めていく

 ④(武術をやるなら)最終目標はお尻に坐る=おしりと太ももの境目にある承扶穴に坐る

 

 ➀→④で腰椎から尾骨までが開通するのですが、それに従い、腰椎から上向きに胸椎、頸椎が開通していきます。④が達成できたら、首は自然に立っているはず!(完璧な姿勢は首を立てる必要はない。裏返せば、通常私達は首を立てておく必要がある→首や肩に負荷がかかるのはある意味仕方ないのかも・・・)。

 

 そしてある程度練習をした人にとってとても大事なの『松腰』の感覚がとれるかどうか。

 これは、松腰をしたり、しなかったり(腰を緩めたり、緊張させたり)を小刻みにさせてみると、本人に松腰の感覚がとれているのかどうか、どの程度とれているのかが一発で分かる。これが緊張している腰、VS これが緩んでいる腰、とちゃんと分けて区別できるようになるのが第一歩。

後は松腰(緩んだ腰)のまま、深く坐ったり、動けたりできるかどうかの話。そのためには緩みの程度を大きくできる(=腰の隙間を大きくとれる)ことが必要になる。この隙間を開けていく作業が気を煉る作業と一致してくる(この連関が身体で分かる人はかなりの上級者)。

 

 今日のスカイプレッスンで生徒さんが開口一番、「先生、丹田に力をいれると腰が固くなるんです。」と言ったが、真実はまさにその真逆。

 ”腰を緩めれば自ずから丹田ができる”

 だから馮志強老師も、まずは松腰!と本の中でも何度も強調している。

 生徒さんに試してもらったら、確かに、腰を緩めれば丹田ができている!、とその場で実感。

 丹田は作りにいってはいけない。

 折しもLINEで虚無→無極→太極の図を検討していたが、無が極まると無極になり、無極お兄さんの腹に丹田が形成されていた。実はじっと静かに頭を空っぽにして立っていれば、自ずから丹田の位置にエネルギーが集まり、いつのまにか丹田ができてしまうということ。

 

 ただ、このご時世、ず~っと静かに何もしないで(何か月何年も)待てる人はとても少なく・・・

 みな、なにか”しよう”とする。

 だから教える時も、とりあえず、丹田が分かるようなことをいろいろさせてみていた。

 最初から腰を緩めろ、といってもどう緩めてよいのか、緩めるとはどういう感じなのかが分からないのが実情。ほんのり丹田なるもの、その隙間、空間のようなものができて初めて腰の緩み(隙間)が感じられる。

 腰の松(緩み)が分かるようになったら、それによって受動的に丹田を得て、あとはその丹田を両脚で掴まえる(この両脚で捕まえる要領・・・二本の割りばしで水あめを練る要領・・・はまた別の機会に:実は脚が丹田を掴む!)。

 

 丹田を腹圧だとかいうことを聞いたこともあるが、無理に腹圧をかけていては素早い動きはできない。ある先生はそれを戒めて「拘束丹田」と呼んでいた。日本流の丹田はともすると「拘束丹田」になってしまうよう・・・。

 丹田は受動的に作られる。

 そこにはもっとさらに重要な真実が隠されているよう・・・今更ながら感動的な気づき!

 

 追記

 丹田を形成をする方法なるものの特集が『秘伝』という月刊誌に取り上げられていたけれども、その手の丹田形成法は日本独自のものでは?少なくとも馮志強老師をはじめ陳項老師や劉師父は丹田をどう作るかなんて話は一切しない。道家の考え方は、毎日静かに立っていれば自然に作られる・・・、そういうスタンス。天人合一。人の作為を嫌う。)

 

 

 

2017/3/15 <学会フォーラムが終わって・・・雑感)

 

 去る3月4日、養生学会のフォーラムで太極拳における呼吸に関し、短時間で収まりきらない内容の話を詰めに詰め込んで話してきた。

 直前まで何を話してよいのか、何を話してもとても枠内に収まりそうにないなぁ、と迷っていたが、私の前に講演した数名の学者さん達の話を聞きながら、最終的には、学者の中で注目していた”逆腹式呼吸”から、さらに太極拳で使う”丹田呼吸”へと導く話をしようと決めて壇上に上がった。

 詳細は割愛するが、武術で力を”発する”時には通常逆腹式呼吸を使う。これは、カンフー映画などでお馴染みの、少林寺の、「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ!」と声を出して突きをしてみればすぐ分かる話。ハッ!っと拳を出した瞬間、腹に気が落ち腹が膨らむ。これは逆腹式呼吸。

 太極拳はかつて開合拳と呼ばれていたように、開合の動きで成り立っているが、原則として開は吐き、合は吸う、で、普通(?)の人の感覚とは反対になっている。普通なら深呼吸の時、腕が下から開いて上に上がって行くときに息を吸い、腕が下がって来る時に息を吐きそうなものだが(順腹式呼吸)、武術的にやるならば、それは反対になる(逆腹式呼吸)。力を出すにはそうせざるを得ない、というのが理由で、これも身体を使って実験すればすぐ分かること(講演の時にも皆に身体で確認してもらった)。

 実際、呼吸というのは身体の動き、どう力を使いたいかによって自然に決まってくる。

 前進すれば自然に吐くし、後進すれば吸ってしまう。うつ伏せになろうとすると吐くし、仰する向けになろうとすれば吸う。ポンは吐くしリューは吸う・・・これは身体がやってしまうことなので、通常、太極拳の練習では呼吸は”自然に”し、無理に操作しないことになっている。

 

 が、ただ表面的な太極拳の型を学ぶだけならそれでもよいのだが、きちんと丹田から発する内気で動こうとするなら(これば本当の太極拳だが・・・)、まずは丹田に気を溜めなければならない。(学会で、「なぜ気を溜める必要があるのですか?」と質問されたが、気を流そうとしても流す”もの=気(実体)”がなければ何も流せないということ。*イメージ(意)を流しても気を流すことにはならないが、意と気がしっかり区別できないで練習している人がとても多いのが実情。)

 

 丹田に気を溜めて初めて丹田呼吸が可能になるのだが、丹田に気を溜めるために不可欠な要領で、学者さん達の視点から抜け落ちているものが数点あることに気づいた。

 最も大きいのは会陰の引き上げ。

 たとえ息を腹まで落とせたとしても会陰が上がっていなければ丹田を作ることはできない(だから、丹田をただの”腹圧”と解してしまうような誤解がおこるのかもしれない・・・)。

そして会陰の引き上げを前提とするならば、腹に息を”吸い込む”必要があるということ。

 くしゃみをして腹が膨らむのは逆腹式呼吸だが、そのような形で、私達は息を強く腹に吐き込むことは比較的簡単にすることができる(上の少林寺の突きの例)。

 しかしながら、息を吸ってその息を腹奥まで届かせることはそれほど簡単ではない。しかも、巷で言われているように、口で吸ってはいけません、鼻だけで吸いなさい、と、鼻をすするように息を吸っても息は胸止まり。絶対に腹まで届かない。

 実は腹まで息を届かせるには口による”吸う”動作が必要。(息を吸うのではなくただ"吸う”:お手本は乳児がお母さんのおっぱいを吸う動作。学会ではストローを吸う動作でそれを実感してもらおうとした。)それが分かると、太極拳の『舌抵上顎』の要領がいかに大事かが痛感できる。この要領があって初めて喉が開き、気道が開いて吸った息が腹まで届くようになる。また、空気の良い場所に行って、思わず「空気が美味しい!」と言ってしまう時、私達はどのような呼吸をしているのか?空気を食べればすぐに腹に届く・・・な~んて単純!(と私自身、それに気づいた時感激してしまった!)

 (注:子供が深く眠っているときのように、安静状態で自然に腹で吸っているのが最もよい呼吸。それには静かにしてホッとして待たなければならない。タントウ功や坐禅はそんなるのを”松”して待っている。本当は舌やら喉やらなんやらの”要領”ではないのだが、学会用に、"要領”だけ話しました。)

 

 

 その他にも命門や腰の要領は抜け落ちていたけれど・・・。

 丹田は何も臍の下にバッチ(もしくはベルトのバックル)のように形成されるわけではない。

 丹田は伸縮可能で、限りなく小さく(重く)することもできれば、帯脈(腰回り=ウエスト回り)をパンパンにするほど膨らますこともできる。

 命門の方に出すこともできれば、臍の方に寄せることもできるし、右の腹下(鼠蹊部沿い)や左腹下、など、動きに応じて動かすこともできる。

 ここから先は学会で話さなかったが、丹田はもともと太極図で表されていて、陰陽に分かれている。だから実際に使うときは丹田を二つに割っていることが非常に多い。二つに割るからこそ左右が分かれ、身体がスムーズに動くことになる。常に一では身軽には動けない。太極拳の二路の練習になればそれが更によくわかる。足技、蹴りなどをやっても”分ける”必要性が分かる。

そして丹田は二に分けなければ練り練りできない・・・気を煉る話(内気を増やす術)。

このあたりは今自分の生徒さんに教えているところ。(ここから先はまた気が向いたら書きます)

 

  なお、太極拳では呼吸器で行う呼吸を”外呼吸”、肺に入った後、血管に乗って全身の細胞に酸素が巡る動きを"内呼吸”と呼んでいます。各細胞内では血液に乗って運ばれた酸素と栄養素が反応してエネルギーを生成しますが、内呼吸はそのエネルギー(気)産出をも含んだ呼吸とされています。(このあたりは私もまだまだ勉強と実験が必要・・・)

 

2017/3/2 <養生、健康法との違い>

 

 ある生徒さんが養生法についてのブログを書こうとしていることを知り、そこから会話が発展。

日本では養生という言葉はあまり馴染みがなく、普通は健康法という言葉を使うのではないかという疑問が湧く。

 折しも明後日は養生(ようせい)学会のフォーラムがある。

この学会がわざわざ養生(ようじょう)と書いて養生(ようせい)と読ませたのには特別の意図があるからに違いない。

 養生と健康法は同じ意味なのか?

 そのあたりを中国サイト(百度百科)で調べたら(自分的には)驚きの事実が...

 

 概要は以下のようなもの。

 

 養生はもともと道家による延命益寿(命を育み、体質を強化し、病気を防ぐ)のための様々な方策。

 その方策は大きく3つの側面からなる。

➀保養

 生命の法則に遵った適度な運動。

 これにより内側の身体の機能から一番外側の皮膚に至るまで休ませて(『休養生息』休んで休ませて息を生じさせる)、身体の機能を回復させる。

②涵養 (水が自然に染み込むように少しずつ徐々に養い育てること)

 視野を広げ心を開き、静養によって修心修神の目的を達成する。

③滋養

 その時、その場、その人に適した食べ物を、天地四時の規則に従って食べる。

そして最後に、結局は養生とは五臓を養うこと、と締めて終わっている。

 

 これは巷の健康法と根本的に全く異なるもの。

 ①身体の側面では、運動によって身体を休めそれによって元気を回復させる、という、通常の”鍛える”感覚とは全く異なる運動を指している。跳んだり走ったりするような運動ではなく、まさに”内功”。 これでは一般化して普及させるのは無理だろうなぁ。

 そして②の精神修養。静によって神(上丹田)を養い心を安定させる。どんなに身体を調整しても情緒不安定だと五臓を害してしまう。情緒を安定させるには静かにするのが大事。この視点も通常の健康法の視点には含まれていないと思う。

 ③の食事療法については、実践しているかどうかはともかくも、知識としては知っている人は多いと思う。

 

 やはり➀と②が特徴的だが、この太極拳の練習のベースはまさにそれ。

 休息と静、がポイント・・・・練習を大きく見直さなければならないかも。

 

 

 

 

 

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練習のバイブル本

 『陳式太極拳入門』

       馮志強老師著

ようせいフォーラム2017プログラム
3月4日(土)にパネリストとして参加しました。
ようせいフォーラム2017プログラム.pdf
PDFファイル 3.1 MB

 

2012/3/20

日本養生学会第13回大会で研究発表をしました。

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