2021/1/22 <ただゆっくり長く吐く 内側の観察 デルデル呼吸>

 

  太極拳の呼吸云々の前に、是非やってみると良いと思うのは、ただ吐いてみること。

 呼吸法というと腹式だの逆腹式だの腹圧だのややこしく考えがちだが、ただ自然に長く細く、ストローを使って吐いていくように吐いてみる。

 

 ず〜っと吐いていくと自分の体はどうなっていくのか?

 自分で自分の体の内側を観察してみる。

 最初は喉のあたりで吐いていたのが次第に胸になって胸がしぼんでいく。ああ苦しくなった〜、と思ったらあら不思議、そこから胸より下の胃のあたりが動き出して呼気をバトンタッチしてくれる。腹の出番なのね♪と見守ると、萎んでいく場所が徐々に下に移動していく。臍付近まで萎んだ時に二度目のああ苦しい〜。ここでギブアップか? と思いながらも少しだけ、と踏ん張ると、そこから突如、会陰もしくは骨盤底筋が下から盛り上がってきて、そこから下から吸い上げて吐き続けるような呼吸に変わってしまう。こうなると苦しさはなくなってかなり長い時間吐いていられる(下は吸っている?)。

 

 上のように書いてみるとよくわかるが、同じ呼気でもギアチェンジが3回ある。喉から胸に移る箇所、胸(胸郭)から腹に移る箇所(みぞおちのあたり)、そして骨盤を越えて下腹移る箇所だ。(右図でそれぞれ横ラインを入れてみました。)

 

 喉から胸に以降する時は通常特に苦しさがないと思うのだが、そこから先はちょっとした関門になる。

 というのは、鳩尾より下で(下に)吐こうとするなら呼吸筋、特に腹横筋が働いてくれる必要があるからだ。

 緑線を突破してからはウエストが絞られていく。腹横筋が頑張っている。

 これでしばらく進んで骨盤に引っかかった頃(ピンク線)ににもうこれ以上ウエストが絞れなくなる。代わりに骨盤(お尻)が膨らんでいく(会陰が引き上がる)。

 

 そんな線引きをしてみると、道教の修行の見取り図では中丹田、下丹田を上の図のように捉えているのが納得できる。

 

 そんなただゆっくり長く吐いた時の身体の観察を踏まえた上で、次のサイトで紹介されている『デルデル呼吸』をやってみるととても面白いことが分かる。

  https://kenka2.com/articles/183

 

 

 

 

 軽く吸ったあとに2段吐き。

 

 これまでの話に沿って説明すると、一段階目は吸った時に収縮した横隔膜が弛緩して戻るだけの反射的な吐気(上の図なら緑線まで)、そして、それから行う二段階目の吐きでは腹横筋が作動して腹が絞られていく(緑線からピンク線まで)。

 

 そしてそこからが面白い。

 デルデル呼吸は便を出すためのもの。

 ピンク線から下、会陰や肛門は松して緩めたままにしておかなければならない!

 

 考案者の荒木先生が書いていらっしゃるように『息を吐くことで出口が緩む』というのが自然な身体の反応。吐くは”松””開”、逆に吸うのは”緊””合” というのは太極拳の原理そのものだ。

 

 デルデル呼吸、排便の時に誰でもやっている方法ではないか?と思ったのだけれども、実際に試してみて、あれっ?と気づいた。息む時に無意識に息を堪えている・・・。

 二段階目に絞って吐いた時に無意識的に会陰や肛門が引き上がって出すまいとしているような動きをとっていた。上の記事には『私が100人の病院関係者にとったアンケートでは、8割以上の人が「息を吸ったところで止めて」息んでいました。』と書かれていたけれど、私も似たようなもの。

 なぜ出そうとして出口を緊張させているのだろう???

 その理由は(まだ)わからないのだけど、とりあえず指示通り、二段階目に絞って吐いた時に意識的に肛門を緩めてみた。結果は荒木先生の体験談そのもの。驚いた。

 

 このデルデル呼吸の2段吐きを使うと、師父が言っていたように、大は小よりも素早く用を足せてしまうかもしれない。「トイレに長い時間入っているのは小の時で、大は時間がかからない。」そう師父から聞いた時、大が出る瞬間の時間は小よりも短いけれど、そこにたどり着くまでの準備で時間がかかるのだから・・・と思ったけれど、デルデルを使うと準備の時間もあっけないくらい短くなってしまうのだ。せっかくトイレに入ってゆっくり落ち着いたのにあっけなく終わってしまうとなんだか物足りない、と思うのは私だけ? ・・・最近は公衆トイレで携帯を弄って遊んでなかなか出てこない若者が多いと娘から聞いたけど分かる気がするのです。密室で誰にも邪魔されず一人でいるのはホッとする。まさに松するひととき。ただ用を足すだけではないトイレ時間・・・

 

 と、話がそれましたが、私が大事だと思ったのは、自分が無意識に息を堪えたり緊張させたりしている瞬間を目撃すること。意識的に緩めることができれば、意識的に締めることもできる。師父が「会陰は引き上げておくべきだが、その中でも松緊がある。いつもキツくしておけば良いというものではない。身体が硬くなってしまう」そう言っていたのを思い出したのでした。

 

2021/1/21

 

①今更ながら呼吸について勉強して知った基本中の基本の事実。

 「呼吸の7割を担う筋肉は横隔膜」

 「横隔膜は吸う時に収縮する吸気筋。無意識的に吐くと下がった分が戻る(横隔膜の弛緩)」

 「安静時は吸気筋(横隔膜、外肋骨筋、内肋骨筋)は働くが、呼気筋は働いていない。」

 「意識的に吐いた時は筋肉の運動が起こる→腹横筋など腹筋群」

 (例えば https://namimail.net/archives/376 )

 

 そして、横隔膜の膜は私たちがリラックスしている時は下がっているけれども、緊張すると上がって肺を圧迫し、一回の呼吸で得られる酸素が減ってしまうという事実。(https://www.joho.or.jp/column/column-10

 都会生活でせかせか生活していると横隔膜は上がりっ放しなのか?と心配になってしまう。

 

 

②望まれるのは横隔膜が下がった位置にあり、そこから筋肉がしっかり収縮して吸気を行えること。

 ではどうすれば横隔膜がそのような位置になり、そこからしっかり動いてくれるようになるのか?

 いろいろ検索した中で見つけたワコールのサイトの中にある柿崎ドクターの記事にその答えとなるような方法が挙げられていた。

 https://www.bodybook.jp/doctor/117661.html

 

 

 

左のような図で説明されているゆる〜いエクササイズだが、やってみるとじわっ〜っと気持ちいい。言われれば確かに横隔膜が下がっているし、なんか気持ち良いからゆっくり呼吸をしてしまう。そのうちお尻の中がほわ〜んと痒くなったり・・・これを生徒さん達にやってもらったら、骨盤の中が痒い、と表現した人もいたけれど、それは骨盤底筋が動き出したからに違いない。

 

上の柿崎ドクターの記事に書いているように、横隔膜がしっかり働くにはサイド(腹横筋と多裂筋)と底(骨盤底筋)がしっかりしていなければならない。この体勢をとらせることでサイドと底を良い位置にくるようになっているから横隔膜も下がって気持ちよく動いてくれる。

 

 ・・・と、この体勢、どこかで見たような?

 そう、骨盤を立てるエクササイズ(2021/1/6のメモ)に似ている。

 命門を開いたまま敛臀と泛臀を行った形だ。

 お尻の下に5センチから10センチの厚さのタオルを入れているのもミソで、試しにタオルを外してやったら骨盤底筋が作動しませんでした(腰が落ちてしまって仙骨が伸びた感がなかった。やはり呼吸でも仙骨の伸びはキーになるよう)→横隔膜も下がらない。気持ち良さも低減。

 この微妙な腰や腹、骨盤の中の気持ち良さ、広がり、呼吸、リズムを味わってそれを立位で再現できるようになれば理想的。

 屋外の緑の多い場所で落ち着いてタントウ功をするのはそのような状態に次第になっていくのを待っていたのかなぁ、と思う。

 これはとても自然な方法。時間を気にぜずにゆったりやる。

 

 一方、このような自然な他力的な(無我的な)練習で手応えのない人は積極的に呼吸法を試すことも悪くはないかと思う。前回言及した「腹圧呼吸」などはその例だ。

 ただ、「腹圧呼吸」の難点はリラックスできないこと。前回紹介したスタンフォード式のものは実際に本を読んだわけでなく紹介する記事を読んだだけで断言はできないが、もしあの記事の中のイラストの指示のように吸気から始めるのだとしたら太極拳的にはお勧めはできないと思った。

吸う前には必ず吐く、吐いてから吸う、が健康上も大事なことだし太極拳の原則だ。

 たくさん吐けるようになればたくさん吸える。

 まずはちゃんと吐けるようになる。

 腹圧はその次の段階の話。

 もし未だ吐ききれない人が吸う練習を始めると体が緊張してガチガチになって動けなくなってしまう。

 

 太極拳では第一路で放松してしっかり吐く練習をする。

 しっかり足裏まで吐けるようになると足裏から自動的に息が戻ってくる(呼気が骨盤底筋にバウンドして吸気として戻ってくるような感じ 骨盤底筋は足裏と連動)。

 これができるようになると、套路で呼吸をひっくり返すことができるようになる→第二路(炮捶)の練習に進む目安になる。

 

 しっかり吐く、ということはコアの筋肉の腹横筋をしっかりと使うこと。

 太極拳をちゃんとやっていれば自然にコアの筋肉は強くなるから、いわゆる体幹トレーニングをやってもそこそこできてしまう。太極拳を長年やっているのに体幹が弱いとしたら呼吸の仕方の指導(すなわち丹田に気を溜めるための指導)をしっかり受けていない(指導者側からすればしっかり教え込んでいない)可能性がある。

 ・・・ということで、私も日本にいる生徒さん達に今更ながらどのくらい腹圧がかけられるのか簡単なテストをしています・・・

 次回のzoomレッスンでは皆の状態を確認した上で、腹圧と丹田の回転の関係、腹圧トレーニングをせずに太極拳の動きで自然に腹圧が高まってしまうようにするための要領を整理できたらと思案中。

2020/1/19 <静かな息→息の溜め→丹田・腹圧 >

 

  太極拳の練習では呼吸、息については細かい指示はない。

 大事なのは均等で乱れのない、相手に察知されないような静かな息だ。発勁する時は発声して呼気を強くするが、それ以外は静かだ。ブルースリーのように始終発勁して声を上げるようなことはしない。

 

 随分前の話だが、第一路の48式で蹴ったりしゃがんだりがとても調子よくできて自分自身うまくできたと悦に浸っていたら、すっと師父が来て、「呼吸が乱れてる。どんなに跳ねても息は乱すな。」と叱られたことがある。言われてみて、確かに顔は上気して、運動しました〜、いい汗かきました♪ という感じになっていた。言われてはっとした。 それからしばらくしてまた48式を師父と一緒にやった時、直後に師父が近づいて来た。「ああ、やばい!」とっさに乱れている息を隠そうと必死に堪えた・・・師父は何も言わずに通り過ぎていったけど、絶対バレている、そう心の中で思った、そんな記憶がある。

 

 朝の電車に乗り遅れまいと猛ダッシュで飛び乗った後、シーンとした車内でどうやって猛ダッシュしてなかったかのように呼吸を収め平静を取り戻すのか・・・一度ハアハア呼吸を乱してしまうと元に戻すのはとても難しい。走っている最中にできるだけ呼吸を乱さないよう、取り乱さず、クールに息をするしかない。

 

 静かな息、とは言っても、それは弱い息ではない。

 自転車を今にも止まりそうなぐらいとてもゆっくり操縦する時は、息を飲み込んだかのように腹の奥の方でし〜ずかに呼吸しなければならないが、その時の息は静かだけれども全身の息を一点に集めたかのような集中度、強さがある。(息を止めてしまうと腕がガチガチになってバランスを崩してしまうしペダルをうまく漕げない・・・子供の頃自転車の競技会に参加した時にかなり練習しました。)

 かなりやりこんだ卓球でも今思えば息はとても大事だった。台について相手の構えを見た瞬間に、「この相手なら大丈夫」、「この相手には敵わない」とはっきりわかることがある。これは犬同士でも同じだと思うのだが、目の鋭さ、落ち着き、雰囲気などで自分と相手のレベルを瞬時に比べ、一戦交えずに勝負が決まってしまうこともしばしばある。このような表面に現れる目の鋭さ、落ち着きの内側には必ず息の溜めがある。目線を反らさず対峙している間は呼吸はしない。我慢できなくなって目線をそらした瞬間に息は漏れている。隙が出る。”息を漏らさずに呼吸する”そんな場面だ。呼吸は腹の奥の方で行われていて鼻や口や肺の動きに現れない。腹の動きもほとんどない。そんな呼吸のことは丹田呼吸とか臍呼吸とか呼ばれてきた。

 

 現在。呼吸についての科学的な研究も進んで、大事なのは腹圧(IAP)を高めることだ、という見解が一般的になった感がある。丹田もそのようなものなのかなぁ、と思う(丹田は動かすことができたりなくすこともできるから全く同じ概念ではないだろうけど。腹圧を高める場所が丹田で腹圧が高まった時に丹田が感じられるようだ。)
 太極拳の練習をして腹圧を高めようと思ったことはないけれど、タントウ功のある段階で息をひたすら吐き続ける練習や吸い続ける練習をさせられたこともあったし、上述のような息を上げない練習、内功で吸気と呼気の割合を変えてみたり套路も呼吸を意識的に変えてやってみたり、そんな練習をしているうちに一般の人以上は腹圧が高くなったようだ。実際、気功を学び始めた頃、星野稔先生の教室で六字訣を息の続く限り発声するということを繰り返し行なっていたが、いつも最後まで残る声は星野先生の声で、私は星野先生の半分くらいの時間で息が途絶えてしまった。なんで先生はあんなに息が長いのだろう?と不思議に思ったものだ。けれども、同じ練習を今生徒さんたちとやってみると、私の息が皆より長くなっている。吐きながら吸っているような技(?)を身につけたからだろう。正直に吐き続けたらすぐに息が枯渇してしまう。

 吐きながら吸っている、というととても奇妙に聞こえるが、腹圧を下げないように吐いて吸っている、といえば何も不思議なことはない。ある程度は腹圧の話でクリアできるのではないか?

 タントウ功で自然に気を溜めて徐々に腹圧が高まっていく(丹田が形成されていく)というのが理想的だけれども、その過程の要領を外すとうまく丹田が作れない(ただ力を込めただけの石のような丹田を作ってしまったり、逆に、腹がいつまでたってもゆるゆるで気球のようにならないということもある)。少し腹圧について学んでみると、太極拳の練習が順調に進んでいるのかどうかわかると思う。自転車で止まりそうなぐらいスローで進むにもかなりの腹圧が必要で、腹圧が高いからこその静かな息なのだ・・・

 

 腹圧(IAP)と検索すればたくさんヒットします。タントウ功よりずっと即効性があるさまざまなエクササイズがあります。尤も、タントウ功は腹圧だけを狙っているのではないから仕方がない・・・ 腹圧を高める要領が分かったら、それをタントウ功や坐禅、そして動功、最後に套路に埋め込んでいけば良いのでは?(と簡単に言いましたが、丁寧に時間をかけて落とし込んでいく必要があります。)

 腹圧について 例えば https://www.lifehacker.jp/2018/05/book_to_book_stanford.html

 冒頭から、腹式呼吸と腹圧呼吸の違いが書いてあってわかりやすい。

 

 

2021/1/17 <「踵まで息を吐き切る」のに必要なこと>

 

  ブログの読者からとても嬉しい報告メールを頂いたのでその一部を紹介します。

 

 『北川先生、こんにちは。
   本当に素晴らしいブログを書いてくださり感謝でいっぱいです。ありがとうございます。

ここしばらくのブログを読ませていただいて、私史上最大の身体認識の更新が出来ました。
それは、息を吐き切った時の息の出口が踵だった…!!!ということです。座っているときも(正坐であっても) 息を踵まで吐き切る。というのが本当の息を吐き切るということだった。思えば《踵で呼吸をする》という言葉に初めて出会ってから、これは何のこと?と思って探求を初めて十数年経ちました。やっとこの言葉を体感することが出来ました。本当にありがとうございます。これは日常のありとあらゆる動作をするとき意識しようと思っています。歩くときも息を踵まで吐き切って一歩一歩歩くと、まるでジェットエンジンが踵についているようで面白いように進みます。
普段私たちは一息一息踵まで息を吐き切って生きている人はどれだけいるのでしょうか。せいぜい胸あたりくらいでしょうか。踵まで息を吐き切っていないから、下丹田が使えない。私も収臀が甘いのは息を踵まで吐き切っていないからだとやっと理解しました。・・・・』
 ここしばらくは「骨盤を立てる」ということについて様々な角度から書いていたけれど、この読者の方はそれを「息を踵まで吐き切る」「息を吐ききった時の出口は踵だった」とまとめてしまえたことに私自身感心してしまった。
 
 「息を踵まで吐き切る」ことができるようになるには「骨盤(仙骨)が立って伸びる」必要がある。敛臀と泛臀がうまい具合にできて仙骨に広がりができた時、それも、腹側から仙骨が広がるような状態を作り出すことが必要だ。
  では、上のような条件が整えば「息が踵まで通る」のか? 
  
  実は、いくら仙骨を絶妙な状態に引き伸ばして立てられたとしても、そこを流す「息の力」がないと息は踵まで届かないのだ。なんとなく呼吸をしていても(子供ではない私たちの身体では)踵まで息は通らない。そこには「息を通そう」「息を吐き切ろう」という「意」も必要になる。
  ブログの中で内腿、裆の力を使うには内踵の力、内踵まで気を通す必要がある、と書いたけれど、それには「息」、それも「意識的な息」が必要だったことを上のメールでで気付かされたのでした。
  実際にタントウ功で気を踵まで通す過程を考えると、まずは(中)丹田に気を溜めて、貯水池ならぬ貯気池のダムを作り、それを必要に応じて末端に流すことになるのだが、特徴的なのは、まず丹田から下向きに足裏まで気を通すことによって丹田よりも上に位置する部位に気を流せることになるということだ。
 臍や気海穴あたりの中丹田から初めて下っ腹の関元穴、股関節の高さ(下丹田)以下まで気を落とし込めるようになると足裏に気が落ちる。中丹田と下丹田を一つの気でまとめられるようになるのが築基功の目的だったことに対応する。
 中丹田のダムから下丹田へと気を流して行く時のルールは、絶対に中丹田を枯渇させないこと。(一般的に骨盤の広い女性は下丹田に気を落とすことができるが中丹田を失ってしまう。反対に骨盤の狭い男性は中丹田からなかなか下丹田に気を落とせなかったりする。)
 中丹田のダムに十分な気の量が溜まっていれば、そのダムから落とし込む気(息)の勢いで内側から仙骨を伸ばして立ててしまうこともしばしばある。骨盤の中でどこかが開く音(ポキッとかめりっとか)がするのもしばしばある。外から形の微調整を加えてもらうのも必要だが、最終的には内気で内側を開通させることになる。外の形だけ整えても息が通らなければ内側は貫通しない(当たり前のことを言っている?)
  と、そんなことを読者のメールから考えたのでした。
  この方は随分長い間太極拳の練習をされてきたに違いない、私の”形に関する記述”で一気に内側の感覚を掴んだのだから・・・。
  それにしても自分の書いたことが実際に役に立っているのを知るのはとても嬉しいこと。見えないところで同じような問題意識を持っている仲間がいるのを実感します。
  私の関心が既に呼吸に移ったそんな矢先のメールでした。
  意識的に吐く、それがどんな意味をもつのか、そして太極拳でどのように使われているのか、そのあたりを次回から徐々に書いていこうと思います。

 

2021/1/14 <球体であること 腰を落とさない>

 

   1/7付のメモで股(裆)に力があるか否か?と5人の太極拳の老師の写真を載せたが、私の目では馮老師と陳項老師以外は裆の使い方のお手本にはならないと感じた。今では陳式でも参考になる老師は少なくなっているのだが、世界的に最も普及している楊式ではさらに太極拳の原則が曖昧になってしまった感がある。が、それは無理もないことで、そもそも師弟関係を結んで一対一で学ぶような技芸を広く一般的に普及させようとすれば一対一でしか学べないようなものは落とさざるを得ない。一般の人が真似できるような形だけが伝達されることになる。結局、伝言ゲームの末端に位置している私たち愛好者は出発点の真正な形から随分変化してしまったものを学ぶしかない。その中で太極拳の真髄を知りたいと思う人たちは、手探りで大元の”真正な太極拳”を追い求めて行くしかない。それはある意味で探求の道になる。

 探求の過程で、この人は知っている、と思えるような老師に出会えれば幸運だが、それでもある段階からは自分自身で経典などを紐解いて何が本当なのか何が間違っているのかを自分で見極めていく必要がある。太極拳のシンボルは陰陽図。それに相矛盾するものは太極拳ではないのだと私は思ってきた。どんなに素晴らしい動きでも、突出するような形、直線的な形は太極拳ではないだろう。

 私も若い頃はただのカンフーファンだったから、ジェットリーのように動くのがカッコいいと思っていた。真似ごとをしていた時期もある。何が外力で何が内劲かという区別があることさえ知らなかった。が、太極拳を真剣に学び出すとまず内劲で動くことを学ぶことになる。今になって分かることは、太極拳の形が球体なのは内劲で動くからということ、外の形は内側の現れなのだ。外側からどんなに球体に似せようとしても球体にはならない。内側からの膨らみによってしか形は球体にならないということだ。

 様々な老師の画像や動画を見てなぜ内側が分かるのだろう?と不思議に思うが、、実はダイレクトに内側を透視をしているわけではなく、外に現れている形が内側を示しているから内側(の力の使い方)が見えて(わかって)しまう。ある段階になれば誰でも見えてしまうことだけれども、そのような見える「目」を養うにはやはり本物を意識的に探して見ようとする努力が必要だ。

 

 ・・・と、中国のサイトで「楊式太極拳 大師」と画像検索して、これと思う画像があるかぼうっと見ていた。現代の楊式の形は大部分が直線的で背中が棒のようになっている(弓のようなしなりがない)・・・球の人はいないのだろうか? いや、いた! 見るからに大師なのは中央の白黒写真の老師。別格なのがすぐに分かる。集めた写真は下のようなもの。

 

 と、上の画像を見ていてふと思い出した言葉があった。

 「腰が落ちてはいけない」

 

 これはスポーツの世界ではよく聞く言葉。腰が落ちると身体が落ちてしまって速く動けなくなる。「腰を落とさない」というのは言い換えれば「骨盤(仙骨)を伸ばして立てる」「命門を開く」と同義で、内側からの内気で腰が膨らんでいる(ポン)の状態だ。同じことを異なる言葉で表している。

 

ちなみに「腰を落とさない」と検索すればたくさんのブログがあるのが分かる。

 左は陸上における「腰を落とさない」の記述(https://rikujo-ch.com/2020/05/21/sprint-ashihakobi/

 

 なぜ腰を落としてはいけないのか、調べれば他のブログにもいろいろ説明がある。

 

 私が学生時代にやっていた卓球もそうだし、バレエでももちろんそう。歩くにしても腰を落としてしまうと膝に負担がかかってしまう。裆の力がなくなる(骨盤底筋が緩む)のは言うまでもない。

 

 ところが、なぜか現在広く普及している太極拳は腰が落ちてしまっている形がメジャーになっている。とても不自然な形で動いていて、大会などでは不自然な形で普通の人以上に動けることが評価されているようにも映る。

 

 ちなみに私の師父は「気は落としても身体は落とすな」と言う。

 

 上の中国サイトにある画像を「腰が落ちている」「腰が落ちていない」という観点から振り分けると、それは「骨盤(仙骨)に伸びがあるか否か」「虚霊頂勁=身体に上下の伸びがあるか否か」という振り分けに他ならないことが分かる。

 腰が落ちてしまうと全身の縦のベクトルは下向きにしか走らない(内気で身体が膨らんでいない=ポンしていないのだから当たり前だが)。上の陸上のブログにもあるように、「地面からの反発力を得られない」ため、上向きのベクトルを得られない。結果として身体に上下の伸びがなくなる(弾性がなくなる)。そんな形で高くジャンプさせたりしゃがませたりしたら筋肉や関節に相当な負担を強いることになる。

 

 一般大衆化する前の楊式太極拳は上の白黒画像の3人の老師と推手をしている左側の女性のように腰は高く全身は球状だった。今の標準は不自然なくらい腰が落ちている。おそらく塌腰 敛臀を強調し過ぎて、円裆や提会陰を使って「抜背」が下だけでなく上にも引き抜くこと、結果として全身に張力(引っ張り合い)が働くことを軽視した結果だと思う。が、この問題もまずは腰や仙骨の伸び、骨盤の弾力性、という観点から調整すれば腰が落ちず股関節も使いやすくなり、背骨の伸び、全身の伸びが得られるようになると思うところ→だから「丹田」!(裏からいえば)ということだ。

2021/1/13  <日常的に骨盤を立てる 仙骨を広げる 丹田との関係>

 

 「骨盤を立てる」「仙骨を伸ばす」ということについてしばらくメモを書きましたが、それを読んで実践した生徒さんからこんなコメントをもらいました。

 

  『北川先生、ヤツギバヤのHPでのご指導、ありがとうございます。

  骨盤立て、まだ良く分かっていませんが、本日こちらは雪、先程まで雪かきしてました。

  骨盤を立てる意識を持って、雪かきをしてみました。

  今まで、雪かきの後は、腰痛あるいは腰の負担感が強かったのですが、本日は全く大丈夫でした。

  というより、普段、掃除機かけるだけで腰痛を起こすくらい、私は腰が弱いのです。

  私にとっては画期的一大事です。

  思わずご報告させて頂きました。ありがとうございました。』

 

  なんと、骨盤立てを意識して雪かきをしたとは!

  いや、言われてみれば、掃除機だってゴミ出しだって子供を抱えるのも皆同じ。およそ全ての動作は骨盤を立てて行わなければならないのでした。

  そうでなければどこか身体に負担をかけてしまう。

  骨盤を立てるテクニックに気をとられてなぜ骨盤を立てなければならないのか、日常生活にまで引きつけて考えるのを暫し疎かにしていたかなぁ。

  報告をしてくれた生徒さんに感謝です。

 

  そもそも私たち人間は二足で立ち上がっているという構造上、胴体の重さは背骨の土台にあたる仙骨にのしかかり、そこから重さが左右の腸骨に分散され両股関節、足裏へと抜けるようになっている。胴体の重さがうまく仙骨に乗らずに腰で止まってしまったら腰を痛めることになるし、仙骨に乗った体重がうまく両股関節に分散させられないと股関節や膝を足首を痛めてしまうだろう。それを適正な位置に保つのが、骨盤を立てる、仙骨を立てる、仙骨を伸ばす、広げる、ということ。

 

 

左の図はバレエのチャコットのサイトで掲載を続けているダンサーの藤野暢央さんのブログのものだが、そこでは同様のことを別の表現で説明してくれている。

https://www.chacott-jp.com/news/useful/lecture/detail011886.html

 

 

 

「仙腸関節の隙間にいかにゆとりを与えるか?」

 

 

「骨盤内部から仙腸関節を押し広げるように仙骨が広がるイメージ」

「脚が長くなる」「背筋が押し上がる」

 

そしてご自身の身体で仙骨の広がった状態を見せてくれている(左の写真)

 

太極拳はバレエと違って基本姿勢が股関節を緩めているから、背骨はもっと緩んで腰椎のカーブもほとんどなくなる。

 

が、仙骨、骨盤を立てるということについて言わんとしていることは全く同じだ。

 

 仙骨を伸ばす、広げる、というのを、太極拳では『斂臀』と『円裆』の組み合わせで表現していると思うのだが(正確には『斂臀』と『泛臀』の組み合わせだろうが、中国でも『泛臀』はそれほど強調されていない)、これをもし『円裆』を無視して『斂臀』だけをやってしまうと、上の写真の左側、仙骨をギュッと押し込んでお尻を締めた形になり兼ねない。お尻の肉を締めると股間、骨盤底筋=裆の力が使えなくなる。仙骨の伸びが失われ衝撃を吸収できない。飛んだり跳ねたりできなくなる。

 

 そして興味深いのは「骨盤内部から仙腸関節を押し広げるように仙骨が広がるイメージ」という表現。

 ”骨盤の内部”から広げる・・・それは太極拳的に言えば「丹田を使って仙骨を押し拡げる」ということになりそうだ。

 ただ、タントウ功ですでに股関節を緩めて立っている時は、 丹田の気を命門の方に寄せて命門を開いた時に(腰椎の湾曲を少なくさせた時、寝た時に背中がべったり床につく感じ)それと連動して仙骨も押し拡げられることになると思う。(腰を緩めて命門を開いて斂臀、それから円裆、と上→下の順番。それとともに息も腹から股間に向けて深く入るようになる。)

 

 仙骨を見れば(意識すれば)丹田は見えない(意識できない)し、丹田を見ていると仙骨は見えない。

 太極拳には上は虚霊頂勁から始まって、今回の斂臀や円裆、下は足の扣までいろいろな要領があるけれど、練習では意識する場所を各所変えていったりするけれども、最終的には意識するのは丹田一箇所。丹田で全ての要領をクリアできるようにしていく。

 

 全ての要領は丹田のためにある。逆から言えば、各要領の裏側には丹田がある。

 沈肩の裏は丹田。舌貼上顎の裏も丹田。曲膝の裏も丹田。松胯の裏も丹田。全ての要領は丹田に繋がる・・・だから全ての要領の裏側は丹田・・・これはもう、だまし絵状態?

 全ての要領が丹田に結びつけば、丹田さえ見ていれば全ての要領は意識する必要がなくなる。

 丹田一箇所で全てをクリアできるようになったら、きっと最後は、その丹田をも無くしてしまう・・・そんな状態になったことが遠い過去にあったかも?自分の身体がないかのように動けた、後から振り返るとミラクルのようなひと時。

 

 と、向かう道筋は分かってきたのだけど、各所の要領を丹田に結びつける作業がなかなか終わりません・・・が、これが完結したらそこから先は自動で起こっていくような予感。

  一つ一つ丁寧にクリアするしかなさそうです。

2021/1/10 <内転筋=裆で骨盤を立てる まとめ>

 

 2020/1/5以降のメモの流れは

 

   ①骨盤を立てるとは? 

  →仙骨を立てる=仙骨を引き伸ばす

  →腸骨側からtuck in(斂臀) 坐骨側から出っ尻(泛臀)のためのエクササイズ

  

 ②内転筋の股間に近い部分(裆)を使うと骨盤が立つという事実

  →内転筋の感覚を得るためのエクササイズ

 

 ③そして①に②をはめ込むことで腹筋に頼らずに仙骨を伸ばすことができる

  →斂臀+泛臀+裆 を同時に実現するエクササイズ。

 

というようなものでしたが、整理とまとめも兼ねて動画を撮りました。

 前半は上のエクササイズの説明、後半はその太極拳への適応例です。

 

 裆にあたる内転筋を使うには股関節から内踵まで気を流して内踵を使う必要があります。立位でやるとわかり辛いのですが、寝た姿勢でタオルを挟むと簡単に分かります。寝て得た感覚を立って再現すればうまくいく・・・感覚を失わないようにうまく立ってやってみて下さい。太極拳でなぜあれほど内踵が強調されるのか、動画で紹介したような動きを試して分かればしめたもの。

 内踵がないと内腿(裆)がない

 内腿(裆)がないと骨盤は立たない(仙骨は伸びない)
 仙骨の伸びと丹田は表裏の関係

 仙骨の伸びがなければ太極拳はただの体操になってしまう

 

 動画で説明したエクササイズで内腿(裆)の力を感じとったら、その時、腹はどうなっているのか、仙骨はどうなっているのか確認するとよいと思います。仙骨は腹の気で伸びている・・・タントウ功や坐禅で得る感覚と同じ。

  

2021/1/8 <裆の力を感じるエクササイズ 裆劲に必要な要領とは?>

 

  今日のzoomグループレッスンの内容の一部と補足。生徒さんたちへの課題・・・

 

 仙骨をストレッチして骨盤を立てるためには股間に近い内転筋の力を使うとよい。

 それを前提として、そのような内転筋の感覚を得るための簡単なエクササイズを今回もやってもらった。

 なお、内転筋の中で股間に近い部分に力が出る時は会陰が引き上がり骨盤底筋にも力が出る。このような股間の力を太極拳では裆劲という。したがって下の内転筋エクササイズは「裆劲の準備のエクササイズ」とも言えると思う。 

https://kaigo.news-postseven.com/9643/4
https://kaigo.news-postseven.com/9643/4

 

 エクササイズの方法は、仰向けに寝て両足首を揃えたまま膝を立て(右図)、太ももの間にタオルを挟んで”Vラインの内転筋” を起動させる、というシンプルなもの。

 そう言って早速皆にやってもらって、おもむろに質問してみた。

 

 「さて、太ももにタオルを挟んだだけで股間に近い部分の内転筋は起動したでしょうか?」 

 

 前回のレッスンでは要領を教えながら一緒にこのエクササイズを試したのだが、生徒さんたちはその後自分一人で試してみたのだろうか? 誰も質問に答えられないくて、真には理解していないことを確認。今回再びこの同じエクササイズをとりあげる価値はある。

 

 答えは、息を深く吐きながらタオルを挟まなければならない。

 この息がないと体幹の一部である股間(裆)の筋肉は作動しない。体幹(コア)を使うには必ず”息”が必要だということは頭の片隅に置いておくべき。

 

 では次の質問。

 このエクササイズではタオルを太ももで挟んでいるため、息を深く吐くと自動的に股間まで息が届くしかけになっている。

 が、もしタオルを挟んでいなかったら同じようにVラインの内転筋、股間の感覚は得られるだろうか?

 タオルを挟んでいるか否かで感覚の取りやすさは全く違う。一歩先に進みたい人はそういうことも考えて試してみるべきかなぁ。裆を使うのにいちいちタオルがなければできないのは困るし、実際、太極拳の場合は開脚の姿勢で裆劲を使うことがほとんどだ。

 

 この後のエクササイズの展開としては

 ①タオルを挟まずに冒頭の図のような体勢で裆劲を得る

 ②同じように寝た姿勢で、(タオルを挟まず)両足をセパレートしても同様の裆劲を得られるようにする

 ③立位になって両足を揃えてタオルを挟んで裆劲を得る (寝てやる形を立位にしたもの)

 ④ ③からタオルを除いて裆劲を得る

 ⑤立位で両足を開いて裆劲を得る

 

 ⑤ができれば太極拳で裆劲を使うことができるようになる。

 

 原型のエクササイズを立位にした③は比較的簡単かもしれないが、その他については息を恥骨まで吐き込む という要領以外に、もう一つ重要な要領を使う必要がある。そのもう一つ重要な要領に気づくかどうか?

 今日のレッスンの参加者はぜひ上の5つのエクササイズに挑戦してみてください。(ブログの読者の方も試してみて重要な要領に気づいたらメールを下さい。)

 

 なお裆の力が太極拳の中で具体的にどのように使われているのかはそのうち動画で示せたら良いとは思っています。

 裆の力は女性も男性も高齢になればなるほど重要になってくるので、日頃から衰えないように意識的に使う必要があります。寝る前にタオルを挟んでもよいし、昨日紹介した動画のように座って鍛える方法もあります・・・

 

 

2021/1/7 <内転筋で丹田を起動させる 内転筋で骨盤を立てる 股間の力>

 

  前回のメモの最後に、腹筋をぶるぶるさせずに両足を伸ばしていく方法について示唆したが、それはとりもなおさず丹田を起動することに他ならない。

 丹田の気を使った時は腹の中が「空」のように感じる。力を使っている気がしない。フン!と腹に力を込めた感じとは真逆で、これでいいのか?と思ってしまう。(この点について今日師父に尋ねたら、丹田の気を使っている時には丹田は感じられない、腹や腰は”空”、それに対して、丹田に気を戻した時(帰丹田)は腹に実体感がでる、ということだった。混元太極拳では毎式ごとに最後に「帰丹田」を行っているはそのため。丹田の気に関する最も基本的な原理を今日初めて頭の中で整理ができました。)

 

 丹田の気を使えば表層の筋肉だけに頼ることなく身体の中心に近い筋肉を内側から作用させられる。

 ではどうすれば丹田の気を使えるのか?というと、そこが微妙なところ。意識して使おうとすると腹が固まって却って気の流れが滞ってしまう。太極拳でも「踵から力を出す」という表現があっても「腹から力を出せ」という言葉は(聞いたことが)ない。腹や腰(中節)は”随(う)”という言葉で表現される。

 

 しかし最近、整体系の勉強をしていたら、身体の別の部位を使えるようにすることで間接的に丹田の気を使ってしまうことができることを発見!

 早速何人かの生徒さんに試してもらったところ手応えはまずまず。私自身も感覚的に丹田を使うよりもそちらを使った方がしっかり正確に丹田(下丹田)が使える。

 

 その部位は『内転筋』。

 けれども、私たちが”内転筋”と思って使える場所とは少しズレているかも?・・・そこがポイント。

https://skatto-seitai.com/archives/202
https://skatto-seitai.com/archives/202

左の図は https://skatto-seitai.com/archives/202

 

上のブログを見ていただければ内転筋についてだいたいのお勉強はできるはず。

 

この中で骨盤を立て丹田の気を使うのにとても大事になるのが股間に近い部分をキュッと使えるようになること。

 

最もわかりやすいのは、仰向けに寝て両足首を合わせたまま両膝を立て、両腿の間にタオルを挟んで息を吐きながらさらに挟んでいく、そんな動作。息を吐きながらタオルを挟んで行った時に力のかかる場所、そこが要。かなり股間に近くて、Vゾーン、と表現してくれた生徒さんもいました。

 ここに力が入ると、腹や骨盤がしっかり安定するのが実感できます。

 そしてタオルを挟んで得た股間に近い部分の感覚を維持したまま前回の例のエクササイズをやってみると・・・両足を伸ばして行く時に股間が頑張ってくれるので腹筋が辛くない。

 <ここからは箇条書き>

 股間=恥骨に力がある=任脈の末端(曲池穴)まで気が通っている

 周天の準備としてタントウ功をする(築基功 百日扶基功)時の目標が、督脈側なら命門から長強穴まで気を通すこと、任脈側ならヘソから曲池。この間が開通すれば、へそより上は自然に通る、下一寸上三尺といわれる。

 すなわち、恥骨に力がある、ということは周天可能(気を回すことが可能)ということ。

 

 子供を見ると恥骨あたりのお腹に力がある。

 歳をとってくると力があるのは臍付近・・・下の下っ腹にどれだけ力を保持できるかが練功のポイント。エクササイズで一時的に恥骨あたりに力が出ても、起き上がってしばらくすると消えてしまう。立位で維持するのは難しい・・・これが太極拳の練習。

 

 下の動画はO脚解消のためのものですが、そのポイントになるのはまさに内転筋。

 こちらパリで観察して気づいたのは、脚の長いスタイルのよい男性はそこそこいてもよくみると結構O脚が多い!歳をとればとるほどO脚の確率は増えます。任脈の最終地点まで気が落ちなくなって股間に力がなくなり脚は開きやすくなる・・・その分、腹が出ます(苦笑) 

 O脚でなくても動画のように座れば骨盤底筋に力が出て骨盤が立ちます。

 

 

 動画では、①腹筋を使う ②股関節の回転を使う ③座ってやる と3種類紹介されている。

  

 ③は両足が開かないように両手で押さえる一方で、両膝を開こうと一人二役のエクササイズ。で両膝を開こうとした時に両腿の付け根(股間)がぺらっとめくれるように開くのが分かれば成功。膝を開こうとしているのになぜ股間が?なんて疑問は置いておいて、これが太極拳の 『圆裆』の核心になるのでとても重要です。

 内転筋の上の方が外旋する→すると股間、骨盤底筋に力が出る→これによって会陰の引き上げが可能になる

 そんなつながりです。

 

 ③で脚の付け根の感覚を掴んでから②をやると②の効果が分かりやすいかなぁ。

 ②の股関節の使い方は、楊式太極拳の起式で閉歩から左足を上げて左に広げて着地するところに使われているはずだと思うのだけど、それをちゃんとやっている老師の動画を探しだせるかどうか?

 興味本位で股間の力に注目してみた動画の断片・・・

 

  左上の馮老師は理想形でそれを標準と見做してはいけないのだけど、馮老師の股さばきを見たあとで、女性を見ると股間がとこにあるのか分からない。白い練功服の男性も股間近くの内転筋は使えてなさそうだ(太ももの上側が盛り上がっている=内転筋が使えていない)。右下の陳項老師はさすが。 ひょっとしたら今では内転筋を使って圆裆ができている太極拳の老師は少数派なのかもしれない。仙骨が伸びずに重心が落ちてしまいもはや機敏には動けない形(やりこむと身体を痛めてしまう可能性大)

  

<お口直し>

  ここ数日はまっている羽生くんの最新演技。内転筋、股間の力、という目で改めて見てみました。アイススケートはここが弱いと股裂きの刑にあってしまいそう・・・(苦笑)

  羽生くん、上半身の筋肉がとてもしっかりしたのが目立つけど、太ももの裏の筋肉もすごい(骨盤が立って体幹が使えている証拠)。

  太極拳の演舞を氷上でやっても滑らなさそうなのは上の馮老師と陳項老師。(自分でやるところを想像)・・・やはり股間付近の内転筋の力が地上以上にものすごく必要になるだろう。

  (↓ https://www.youtube.com/watch?v=XxxlkINbMls よりGIFを作成)

2021/1/6 <敛臀と泛臀を両立させる方法とその適用例>

 

 <昨日のメモのリキャップ>

  仙骨の上半分を上から下へ(敛臀)
  仙骨の下半分を下から上へ(泛臀)

 この二つを同時に行うと仙骨が引き伸びて立ったようになる。これが骨盤が立つということ。

 

 今日はどのような動作でこのような感覚が取れるのかという話。

 

 便宜的にヨガのガス抜きのポーズ(簡易版)のイラストを使って図示しました。(イラストはhttps://www.seirogan.co.jp/bf/yoga/basic.htmlより)

 斂臀と泛臀のエクササイズは両膝同時に、手を使わずにやります。

 ①寝っ転がって膝を抱えて身体に引き付ければ背中から腰がべた〜っと床につく。

 この時仙骨の上半分は、隣に接する腸骨のtuck inの動きに連動する(緑の矢印)。これが斂臀。

 

 ②そして脛を床に並行に維持したまま抱えた膝を伸ばしていくと、お尻は次第に床に近づいていく(オレンジの矢印)。これが泛臀。

 

 そしてこの2つを両立させるのは、①をやって②をやる際に、背中や腰が絶対に床から浮かないようにする、すなわち、斂臀を維持するということだ。

 

 上の図は片足バージョンだが、本当は両膝を抱えてやってみた方が①②を同時にやった時に何が問題なのかがよく分かる。

 ①から②で膝を伸ばし脚を伸ばしていくうちに腹筋が震え始めるはず。

 が、これを腹筋ブルブルで支えていたら仙骨は気持ちよく伸びない。腹筋をブルブルさせずにもっと楽に行う方法があって、それこそが仙骨を伸ばす、骨盤を立てるコツなのだけど、それは追々説明します。

 

 上の図を少し回転させると、膝上げ(提膝)、それから上げた足を下ろす動作になる。下ろす動作を発勁でやれば震脚になります。

 

 震脚も含めた発勁は、この①で溜めた気を②で爆発させるの丹田の爆発力で可能になる。

 

 ①→②に移行した時に、昨日揚げた右図のブーメランの角度が瞬間的にさらに開くような感じだ。

 

 「よーい、ドン!」、でかけっこをする際でも、「よーい」の時は斂臀、「ドン」の時に後ろ足を後ろにけることで泛臀を作っている。

 猫を見ていても敵に飛びかかる前は斂臀、飛びかかる時は泛臀だ。

 

 気を丹田に溜めるには斂臀が必要だが(上図の膝を抱えた感じ)、これでは手足が使えない(ダルマさん状態?)。四肢、末端へ丹田の気を送り出すには泛臀が必要になる。

 目指すのは斂臀と泛臀を両立させながら、溜める時は斂臀が強め、使う時は泛臀を強める。両者の割合を変える。決してどちらかをゼロにしない。発勁の時でも完全に斂臀を失ってはいけない。どちらかをゼロにしたとたん丹田が消滅し中正も失われる。

 (箱根駅伝を見ていても、最後までペースが乱れず余裕がある人は最後まで斂臀を残していられる人だ。疲れてきて斂臀が外れると(=息が腹底まで届かなくなると)泛臀のみの走りになって死に物狂いの形相になってしまう。ランナーは泛臀は当たり前なので、どこまで斂臀を維持できるか、巷ではそれをスタミナと呼ぶのか?

 

 太極拳の中には片足立ちがよく出てくるけれども、その時に、猫背になったり、あるいは抜背や斂臀にならないような足の上げ方(膝ではなく腿を上げてしまった場合など)をすると骨盤力が使えなくなる。床に寝っ転がって膝を抱えた時のような背中のべったり感を立位でもキープする必要がある(要は命門を開く!塌腰 敛臀結果として後頭部から踵までが一直線になる)。

 

 タントウ功で丹田に気を溜めていくと、順次、敛臀そして泛臀をしていくことになるのだが、上のようなエクササイズを行って骨盤の立つ(仙骨が引き延ばされる)感覚を味わっておくとタントウ功での微調整がしやすくなると思う。 

 

 ただ、上のエクササイズには注意点あり。

 寝て行う上のエクササイズで両足を床に水平のまま伸ばしていった時、腹筋がブルブルするような身体の使い方では仙骨は伸びない(骨盤が立ったとは言えない)。

 腹の中の空間が拡がって(=丹田に気が溜まって)楽に両足が伸ばせるポイントを探す必要がある。

 そのポイントを探すコツについては次回に。

 

2021/1/5 <骨盤を立てるとは? 仙骨の伸ばし方 敛臀&泛臀の理解>

 

  しばらく首や肩に注目していたが、複数の生徒さんから仙骨が気になると言われたこともあって関心は”骨盤”に移行。

 

 仙骨は背骨の土台でありながら、同時に、骨盤の要、楔でもある。

 いわば縦ベクトルと横ベクトルの交わる要所。

 頭の重み、身体の重みが背骨を伝わって降りてきたのを支えるのが仙骨。

 仙骨で受けた重みは左右の腸骨に分散され、そこから股関節を経由して両足へと流れていく。両足にしっかり落ちれば地面からの反発力=上向きの力、が働き、身体は張力を得ることになる。

 

 「骨盤を立てろ」と言われるのはなぜか? それはとりもなおさず上のようなメカニズムを働かせるため。それが良い位置にないと自らの頭や身体の重さでどこかに余計な負担をかけることになってしまう。

  

 では「骨盤を立てる」とはどうすることか?

 これについては様々な見解があるようだが、その中で私が腑に落ちたのは次のような表現だった。

 「骨盤を立てるとは仙骨を引き伸ばすように立てること」

 

 

 

 左が骨盤の図(https://www.nozomi-clinic-japan.com/senchokansetsu.html)

 

 私たちが真剣モードで身体を動かす時は無意識的に腹に気を落とすのだけれども、そのとき背骨の湾曲は少なくなり真っ直ぐ(弓状)に近づく(よーい、ドン!で走る時をイメージ)

 そんな弓状の背骨になる時、左図の仙骨の上部は後方へ、尾骨に近い部分は前方へ移動する。仙骨がそう動けば、骨盤も前側が多少上がったようになるだろう。

 

そして今回解剖学的なお勉強で知った新事実・・・

 

仙骨は5つの骨からできていて、子供の頃はこれらが別々の骨だった。今では5つの骨はしっかり癒着している。が、仙骨を立てようとする時は、左図のように、緑色の下向きの力と、橙色の上向きの力のような、相反する力を加えるということだ。すると仙骨は引き伸ばされたように立ってくるという。

 

 が、私は上の説明を聞いた時、矢印の向きが反対では?と思ってしまった。緑の矢印は上向きで橙の矢印や下向きででは?(左図の右側)

人によっては、単純に下向きに伸ばせばよい(左図の右側)と思う人もいるかもしれない。

 

 しかし、よく説明を聞いたら、伸びるのは仙骨の前側だという。そして自分の身体で、3パターンをやってみたら、確かに仙骨が伸びるのは一番最初の図。私が直感的にそうだと思った仙骨の真ん中から上下に力を分けるようなことはしようとしてもできるはずがなかった・・・。そして上から単純に下に引っ張り抜くような力をかけると、仙骨が際限なく寝てしまってズボンをお尻の割れ目より下までずり下げているような格好になりかねない・・・

 

何人かの生徒さんに上の図を見たら、直感的にすぐ理解できた人もいたからそのあたりは個人差もあるのかもしれないが念のため(自分自身のためにも)図を描きました。(フリーハンドで仙骨を描けないのでブーメランの写真で代用)

 

 

 

https://www.light-seikotsuin-morishita.com/2019/06/16/%E9%AA%A8%E7%9B%A4%E5%BA%95%E7%AD%8B%E3%81%A8%E3%81%AF/
https://www.light-seikotsuin-morishita.com/2019/06/16/%E9%AA%A8%E7%9B%A4%E5%BA%95%E7%AD%8B%E3%81%A8%E3%81%AF/

  仙骨は仙腸関節で腸骨に繋がっているから左の①の下向きのベクトルは分かりやすい。一方、②の上向きのベクトルに関しては、坐骨側には尾骨や恥骨があり骨盤底筋群が仙骨に繋がっている(肛門挙筋や××筋や△△筋・・・とりあえず図を見ます。)

 

  と、ここまできて、なぜ太極拳の要領に「敛臀「泛臀」という相反するものがあるのか、はっきり頭で理解できたのでした。

 ”仙骨を入れろ(内収)”=斂臀、という一方で、”尾骨を出せ、お尻を上げろ”=泛臀、と言われる。

 練習では、まず斂臀をして、それから気が股関節よりも下に落ちたら泛臀をすることになる。(瞬時に同時にできるのはマスタークラスだと思います。)

  そして泛臀は会陰の引き上げが核心的な要領になるのも今回のお勉強で確認できました。

 (ちなみに、私が見る限り、巷に広がっている太極拳は敛臀の段階で止めてしまっている。泛臀がないと骨盤がしっかり立たず身体が落ちてしまう。それが股関節やひざ関節を痛める原因になっているのだと思います。)

 

 仙骨の”前側”を引き伸ばすことで腹腔(腹の空間)が拡がるので、丹田がしっかりする感じがするのでしょう・・・それに、お勉強したところによると、多くの骨盤底筋が仙骨の前側に付着している・・・

 

 以上、「骨盤を立てる」ということについて理論的な説明を自分なりに整理しました。

 では、実際にどのようにしてそのように骨盤をたてるのか?

 それについての考察は次回書きたいと思います。

 

 

2021/1/1 <肩包体 いつも腰で打つのか? 相手に合わせる身体 >

 

 一昨日12/30付のメモで紹介した高岡英夫さんの提唱する『肩包体』。

 このような身体の捉え方に興味を持った生徒さんがいたようなので、元旦から動画検索・・・イチローの打ち方はどうなっていたのだろう?

 

 そうしたら打って付けの動画がありました。

 イチロー選手と川崎選手と松井選手のバッティングをスロー再生で比較したもの。

 https://youtu.be/aWYavV4hUFw

 

 

 動画を見て、ああ、なるほど、と納得しました。イチロー選手と川崎・松井選手の違いは明らか。

 

 上2枚がイチロー選手、左下が川崎選手、右下が松井選手。

 イチロー選手が「肩包体」で打っているのに対し、下の二人は(セオリー通り)腰で打っている。

 ↑ 似たような高さの球を打っているイチロー選手(上段)と川崎選手(下段)

 川崎選手は打ち始める時にバットを肩甲骨より下の背中の位置に合わせ(1枚目)、下半身と腰の捻りでバットを振っている(2枚目、3枚目)。打球直後の姿勢は腰にウエスト絞りのような捻りが入っている。

 これに対し、イチロー選手は全身の関節をうまく使って中正を損なわずに球にバットを合わせ(1枚目)、腕を肩の高い位置から落とすことなく体を水平に回転させている(2枚目、3枚目)。打撃直後も中正のまま、重心は完全に前足に移動している。

 

 

 こう見ると、川崎選手は絞るように捻って打っているのに対し、イチロー選手は身体を水平に回転させている。

 

 身体の内部の回転はおそらく左の図のようなものだろう。軸(ピンク線)を回すことにより緑線のようにスライスされた身体が回る。

 そしてこの緑の回転面はそれぞれ独立している・・・どこからでも回転させられる・・・ピンクの軸には目盛りがあってイチロー選手はそのどの目盛りも意識して動かすことができるのだと思う。

 

 このような身体を作ると、相手(飛んでくる球)に自分を合わせることが可能になる。

 どんなにタイミングを外されても瞬時に身体の中がバラバラに動いて全体で中正を作り出すことができるのだ。

 

 師父が以前、「肩を支点にして打てるならそこから打てばいい。いつも足裏(踵)や腰を使わなきゃならないなんて思っていたら臨機応変な動きはできない。」と言っていたし、ピアノでも、ヴィヴィアン先生から、「手首から先だけで弾いたり、肘から弾いたり、いろいろな弾き方があります。いつも全身で弾いていると聞いている方も疲れてしまいます。」と言われたことがあった。

 

 上の松井選手は腰から打つお手本のようなフォームだが、これはいわば全身の力を使った打ち方。投手の一球入魂に対してこちらも”一発勝負だ!”とでかいのを狙う。

 付け加えていえば、川崎選手が中正を崩しているのに対して松井選手は軸がブレていない。前脚の回転が川崎選手よりスムーズで、腰で打つ大技の模範的な打ち方になっている。

 

 

 イチロー選手の打ち方は、緑の輪っかを全部揃えて打てば松井選手のような打ち方をすることも可能だが、相手(球)がどう出てこようとも吹っ飛ばすような馬力がないと不利になる。

 そして二人の比較で気づいたのは、松井選手のようにお手本的に腰で打った場合、体重は完全には前足に移動しない。これに対し、肩を独立して動かせるイチロー選手の場合は打ち終わった時に完全に前足に体重が移動しきっている(左の写真)→ここからすぐに走リ出すことが可能。イチローの場合は打つことに全てを賭けているわけではなく、その先の走ることも念頭に置いた打ち方になっている。

 松井選手の打ち方は極真空手、イチロー選手の打ち方は合気道や太極拳的。筋肉パワーで勝負しないならその分身体をきめ細かく意識して使えるようにする必要がある。脊椎33個、身体の関節をどれだけ意識して動かせるか・・・イチローのトレーニングはそれを裏付けるようなものだ。

 

 

 こう見てくると、「肩包体」というのも、結局は、自分の体をより細分化して意識的に使えるようになった時に現れてくる感覚なのだと分かる。とってつけたように「肩包体」を作るのではなく、頚椎から胸椎の上部にかけて意識的に内側から動かせるようになってくると現れてくるものなのかと思う。太極拳や気功で使う「周天」でいえば、関門である首の「大椎穴」を突破できるかどうか・・・本来なら、坐禅やタントウ功で丹田の気を溜めてその気で関門を突破させるのだろうが、そこまで根気よく静功を続けられる人は本場中国でもなかなかいないようだ。 ということで、最近私は科学的アプローチも併用すべきではと模索中です。

2020/12/31 <肘が落ちないようにするメカニズムがやっと分かった2020年>

 

  今年最後の動画を撮りました。昨日書いた身体の意識の変化を套路の動きで示しそうとしたもの。

  腕を胴体に繋ぐための試みはずっと以前から紹介していましたが、しっかり繋ぐためには、腰から(広背筋)だけでなく、首、鎖骨側からも繋ぐ必要があるのが今年最後になってはっきりしたのでした。”肱”は上から下から作る、それが分かっただけでも今年の収穫あり♪

 

  バレエの世界では「肘を下げない」というのが練習でとても大事になっている。少し検索すると、「どうして肘が下がるのか?」とか、「腕を脱力すると肘が下がってしまいます」とか様々なブログがある。「肘が使えないと脚が上がらない」という回答もあり、これは太極拳で「肱」(二の腕)を胴体に繋げて使えるようにするのと全く同じことを言っているのだと分かる。二の腕、肘が繋げられないと、肘技だけでなく全ての拳や蹴りが正しくできない。

  例えばこのブログではそのしくみを簡単に説明してくれています。以前練習メモで書いた内容の復習にもなります。https://www.personalballet.com/blog/post-2466

  

  動画は雪だるまのような姿で胴体の動きの詳細が見辛いかもしれませんが、ある段階にいる生徒さんには参考になるかと思います(最後の方に首の筋肉の筋膜リリースも簡単に紹介しています。)

  来年もしばらくは身体の(歪みの)調整を太極拳に適用する試み続けそうです。最終的には太極拳を整体に使えるようになるかしら?

  

バレエの世界では「肘を下げない」というのが練習でとても大事になっている。少し検索すると、「どうして肘が下がるのか?」とか、「腕を脱力すると肘が下がってしまいます」とか様々なブログがある。「肘が使えないと脚が上がらない」という回答もあり、これは太極拳で「肱」(二の腕)を胴体に繋げて使えるようにするのと全く同じことを言っているのだと分かる。二の腕、肘が繋げられないと、肘技だけでなく全ての拳や蹴りが正しくできない。

 

 

  例えば下のブログではそのしくみを簡単に説明してくれています。(左の二枚の画像はそのブログに掲載されているもの)

  以前練習メモで書いた内容の復習にもなります。

 

https://www.personalballet.com/blog/post-2466

 

 


  下の動画は雪だるまのような姿で胴体の動きの詳細が見辛いかもしれませんが、ある段階にいる生徒さんには参考になるかと思います(最後の方に首の筋肉の筋膜リリースも簡単に紹介しています。)

  来年もしばらくは身体の(歪みの)調整を太極拳に適用する試み続けそうです。最終的には太極拳を整体に使えるようになるかしら?  

2020/12/30 <全身の見取り図の更新>

 

 これまでの舌貼上顎や首の筋膜リリースと鎖骨回しの話にはオチがある。

  一連の実験エクササイズの結果、自分自身の身体に対する認識が思いがけず更新されたのだ。それはひょっとしたら2020年の一番大きな収穫かもしれない。

 

 私はこれまで身体を「頭、胴体、下半身」と線引きし、「腕は胴体についている」、と当然のように思っていた。しかし、先週、鎖骨回しをやっていたら、あれ?っと、その感覚が変化したのに気づいた。

 ・・・脇のラインで身体は上と下に分かれている

 ・・・腕は脇の高さ(の胸のライン)より上にある

 ・・・腕は頭部にある?

 

 感覚の変化を図にすると下のようなもの。感覚が変化したら認識が更新された。

 

 認識が変わりつつある時、私の頭の中には以前読んだ高岡英夫さんの著書にあった図がおぼろげに浮かんでいた。何だったかな、あの図は? 当時は感覚として全く分からなかった肩周りの図、だけども、今認識しつつあるものはそれと関連しているようだ・・・。

 

 その後、生徒さんにその話をしたら、早速該当部分のページを写メって送ってくれた。「肩包体」というらしい。

 左の図、そしてそのあたりの完結な説明はhttps://ameblo.jp/tetsuyao424/entry-12122917608.html 

 

 高岡英夫さん自身の説明は

https://www.ultimatebody.jp/rensai014.html

 

 

 

  高岡さんの記述はとても難しくて、まだ体感のない部分については理解が及ばないのだが、イメージ的には下のようなものだろう・・・ 

 

上の写真、一般の人より腕の付け根、脇の位置が高くて、脇から頭頂まで(デコルテと頭)が一体化している、もっと単純んいえば、「首が胴体にしっかり差し込まれている」のが見てとれるだろうか?

 

左の写真のように比較すると一目瞭然。

(私も含めて)大多数の人は首の付け根で切れ目ができてしまう(胴体と頭部がしっかり繋がっていない、首が独立してしまっている)。 首がしっかり胴体に埋め込まれると頭部がふらふらしないし、頭の重さを首が支えなくてよい(胴体が支える)ので理論上は首こりや肩こりと無縁になるはず。

 そうだ、あの人・・・

 やっぱり思った通り・・・。あんなに首の長い羽生君だけど、踊っている時の姿は、首がない!

その分脇の上がって腕の位置は高く、腕も長くなる。

 

 太極拳にはバレエやフィギュアスケートのようなピルエットやスピンがないので分かりにくいが、もし自分がピルエット(スピン)をするなら、とやってみようとすると、とたん、顎をひいて頭を亀のように胴体に引き込もうとするのが分かるだろう。そして腕も高い位置(脇の位置)に構えるだろう・・・この腕の位置が太極拳で最も多様する位置。

 

 

左のボリショイの生徒達をみると、腕が落ちてしまっている子もまだ多い。脇の位置がしっかりするには、足で床をしっかり押せるようになるのが最大の前提条件。

 

その上で、舌貼上顎、下顎内収をして沈肩、含胸、をすると足で床をさらに押せるとともに首がしっかり胴体に打ち込まれて一体化するようになる・・・しばらくここを練習して定着させていきたい。

 とは言っても、首がないとはいえ、左のようなチコちゃんでは困る。

 チコちゃん、デコルテがない・・・胸が開いていない、肩がない・・・

 チコちゃん似だと言われるのは単に頭の形や大きさだけではないようだ(苦笑)

 肩や胸はまだ開発できるかなぁ〜。

 

最後にツィスカリーゼでお口直し。

ただ関節が伸びる、のではなくて節節貫通した柔らかさ。力技に見えない。

 

上の女装姿はパロディだけど、もともと女性のような身体のしなやかさを備えている。

胸や肩の開き(内側で貫通させるような開き)は頭部を軽くする(虚霊頂勁につながる)上で太極拳でもとても大事になる。

 

<以上、いつものことですが、ブログを書きながら私自身が勉強しています・・・今年も終わりますが自分の日常は変わらず。>

2020/12/28 <鎖骨から腕がぶら下がる>

 

   舌の練習から首肩周りへ注意が移り、そこでまず注目したのが首の斜角筋と胸鎖乳突筋。これらの筋肉は息を吸うサポートをする筋肉だ。頭を引き上げる筋肉でもあるから頂勁(頭頂から力を引き抜く)にも関係してくる。

 これらの筋肉が硬かったり縮こまっていると頭が前に落ちて姿勢も悪くなる・・・本を読んだりスマホをしたりする時の姿勢はほとんどの場合、胸鎖乳突筋は縮んでる・・・筋肉は縮まずゆったりしていることで自然に伸縮をしてくれる・・・が、ただの首回しでは粗雑過ぎて何をやってるかわからない・・・ということで、まずはこれらの筋肉を整える筋膜リリースを試してみた。

http://breathok.com/respiratory-muscle
http://breathok.com/respiratory-muscle

やり方は以下の通り。

①斜角筋は首の横、胸鎖乳突筋は首の斜め前(ともに筋肉が走る位置)の皮膚を薄くつまんで持ち上げて少し上方に引っ張っておく。(筋肉の膜を持ち上げておくことで下にある筋肉の動き、すべりが良くなる。)

②そして斜角筋の場合はそのまま首をゆっくり横に倒していく。引っかかって止まったら息を深く吸う。すると肋骨の上の方が持ち上がるので、そのままさらに首を倒していく。

胸鎖乳突筋の場合は首の斜め前の皮膚をつまんで持ち上げたまま首を立てたまま横に回していく。同じく詰まったら息を深く吸って胸骨が動くのを感じてさらに横に回していく。

 

 これを生徒さん達にやってもらって感想を聞いたら、何が効いているのかわからない人も案外いたので、ここから解説を加えてみた。

 ポイントは、斜角筋(いわゆる肩こりの位置。アンメルツヨコヨコですりすりしそうな場所?)は首を倒して息を吸うことで”肋骨”までつなぐこと。

 そして、胸鎖乳突筋(これは鏡で前から確認できるVの字の筋肉)は首を横に回して息を吸うことで”胸骨”までつなぐこと。

 

 斜角筋も胸鎖乳突筋も耳の後ろから出発しているが、それがそれぞれ、肋骨と胸骨まで繋がっている感覚が得られると、首肩の世界が変わる。

 

 実は、この筋膜リリースをする前に皆と試した『鎖骨まわし』。

 

 まず鎖骨は左の上図のように左右一直線になっているのが理想的。

下の写真のようなVの字の場合は肩が上がっているから、息を下ろして肩を下げ、胸を開く必要がある。

 

 そしてできるだけ上の図のようにしたら、そこから左右の眉毛のように見える鎖骨を、左右一緒に前回転(バタフライ)、後ろ回転、そして左右交互に前回転(クロール)、交互に後ろ回転(背泳)、と動かしてみる。

 

 さて、どのくらい回るか?

 と、試してみると、鎖骨を回そうとしてもどこを回してるかよく分からない、というのが正直なところ。生徒さんの中には思いっきり肩を上げたり下げたりして回している人もいた。

 

 そしてここで冒頭に紹介した斜角筋と胸鎖乳突筋の筋膜リリースの登場。

 首の後ろから始まるこれら二つの筋肉が実は肋骨や胸骨まで繋がるという感覚を得た、その直後に上の鎖骨回しにもう一度挑戦してみると・・・

 

 明らかに回し方が異なるのだ!(と私もびっくり)

 

 

 筋膜リリースで右図の青線、緑線のような筋肉の心地よいストレッチ感を得た後で、いざ、鎖骨を回そうとしたら、鎖骨眉毛の下側のライン(黄線)が率先して動いていた事実。

 そしてクロールさせたり背泳させたりしているうちに、あれ、なんだかこれは含胸をしているのと同じことでは?と気づきだす。

 そう、やっていることは、沈肩、そして含胸に他ならなかった・・・

 が、これは所謂デコルテをゆったりきれいに開いているのと変わらない。胸の中に(何かを 気を?)含むから広がる・・・そんな含胸。そのまま胸に含んだ気をさらに下に下ろしたら、丹田にぐっと収まる:気沈丹田。

  

 今までこのような首から鎖骨周り(胸の上部)はほとんど素通りしていたということ。

 

 そういえば何年も前に師父が「華蓋穴(任脈上のツボ)は開いたか?」と聞いてきて、こんな場所が開くとか開かないとか、訳わからない、と思ったことがあったけど、あの時言っていたのはこのあたりの感覚だったのだ、と今になってやっと分かる。

 

  この鎖骨沿いの下のラインが動く(意識できる)ようになると、腕がぶらさがったようにぶらぶら動く。生徒さんの中からも同じような感想があった。

  なんでぶらぶらになるのか?

  

  鎖骨は腕の一部分、左右の鎖骨の間(眉なら眉間)が左右の腕の出発点。

  だから、右腕を動かす時も左腕を動かす時もまずは鎖骨眉の眉間から動かす。(・・・と理屈は知っていたけど、実際にできるようになるには今回のような太極拳の練習ではやらないようなことをしなければ私は分からなかった(苦笑))

  腕の骨は鎖骨からぶら下がっているから、鎖骨を動かすと腕がぶらぶら動いてしまうということ。

  

 馮老師は肩関節が特に柔らかいことで有名だが、老師のチャンスー功は見ても何が凄いのか分からなかった・・・が、今もう一度見てみると、、鎖骨につながった肩甲骨が回転しそれに伴い腕がぶらぶらしている。その他の単純なチャンスーの動きも、鎖骨に注目すると、老師がその中心から腕を操作しているのが分かる(実際には丹田→鎖骨の間→腕へと気が流れている。丹田が出発点)。チャンスーが手足、腕脚のものではない・・・軸のものだ、ということがこの動画で学べるのだが、それにはある程度経験、実感がないと見抜けないだろう。

https://news.infoseek.co.jp/article/otonasalone_136925/
https://news.infoseek.co.jp/article/otonasalone_136925/

 

 最後に私的な駄目押し。

 左は「首が痛い人は鎖骨が固い」という表題でかかれたブログで見た骨格模型図。

鎖骨と肩甲骨と上腕骨の繋がりがよく分かる。

 

鎖骨と肩甲骨はぐるっと繋がっていて、胸郭の上に防弾チョッキのように乗っかっている(胴体に骨で接着しているのは胸骨との関節一つだけだそう)。そして上腕骨は鎖骨と肩甲骨に繋がっている。

 

この図を見る限り、なんだか、上腕骨の付いた<鎖骨+肩甲骨>を脱ぎ着できるようではないか? 

服を脱ぐようにこの鎖骨セット一式を脱いでしまったら・・・

 

こんなシンプルな構造。

 

これなら、もし首を横に向けたら、当然胸骨が影響を受ける・・・というか、胸骨も回ってしまいそうになる・・・なのに、胸骨を前に向けたまま回さないでおこうとするなら、脇や腹筋で軸が回転するのを防がなければならないだろう→首を横に向けたら、丹田に力がこもる(丹田の力が必要)。

なのに、通常、私たちが顔を横に向けても腹になんの力も要らないのはなぜ? 鎖骨や肩甲骨が乗っかってるからだろうが、問題なのはそれによって、首から胸骨(や肋骨)までの筋肉の繋がりが遮断されたようになるからではないか? 筋膜リリースをした後に首を回すと腹(丹田)に力が入ることに鑑みると、首の動きが腹まで伝わらない原因はそのあたりにあるのではないかと思う。

 首を倒すのも同様。鎖骨肩甲骨なし人間だと、首を倒したら倒した側と反対側の肋骨が上に引っ張られるからそれを平行に保とうとすると腹で引っ張り下げておく必要がある→丹田に力がこもる(力が必要)

 

 目標は、鎖骨や肩甲骨の損害でその周辺の筋肉が動きを阻害されないようにすること。だから太極拳では常に『松』、筋肉の力を抜け、というのだろう。『松』ができれば筋膜リリースは要らない(苦笑)

 

2020/12/26 <舌貼上顎の意義>

 

  先週は腹斜筋エクササイズから思いがけず舌の問題が発生したのだけど、舌抵上顎というのは舌骨の位置を整えるということに他ならない。

 ボイストレーニングなどでは舌骨を動かしたりするトレーニングがあるようだが、私たち一般人は通常舌骨を動かそうなんて思わない。舌骨は喉仏の少し上に位置する。喉のツボとしては有名な天突穴があるが、この舌骨の位置は廉泉穴にあたる。(下の図は常々使わせて頂いているAIMY鍼灸整骨院のものhttp://www.aimy-ss.jp/NINMYAKU.html

  太極拳の要領の中で『下顎内収』というのがあるが、これを単純に”下顎を引くこと”と理解して、二重アゴになって喉が潰れるほど顎を引いてしまう人がいる。『下顎内収』はそれと同時に後頭隆起(脳戸穴や玉枕穴)を少し引き上げることによって『頂勁』(百会に向かって勁を通す)を直接的に導くものだから、顎を引きすぎてしまっては意味がない。『下顎内収』で意識すべきは上の舌骨の位置、廉泉穴で、ここを内側に引くようにすると良いのだが、外から引いても百会に勁が伝わった感は出にくい。

 一方、『舌抵上顎』『舌貼上顎』を使った場合は、それによって下顎も内収になるし後頭隆起も自然に引き上がって頂勁の感じも出てくる。内側から廉泉穴を引っ張ったようになるのも分かる。この一つの要領で頭部の大事な要領がクリアできてしまう。

 

  ということで、『舌貼上顎』にはそれ自体に『下顎内収』と『後頭隆起の引き上げ』が含まれているから、それがきちんとできればそれだけで『頂勁』を導くことが可能だ。

  ただ、完璧な『舌貼上顎』をやるのはそんなに簡単ではない。舌先は上顎に貼り付いても、そこから舌を後ろにスライドしていって舌の奥までべたっと吸盤のように貼りつかせるには首や背中を内側から開く必要があるのが分かる。結局、沈肩、含胸ができないと理想的な『舌貼上顎』はできない。できてしまうと、師父が言っていたように、首や肩が問題でなくなる(首こり肩こりの問題は生じない)、というのは分かるし、それを腹まで繋げば気沈丹田になってしまって、最後は丹田だけ注意しておけばいいのだというところまでは分かった。が、私自身、やっと練習中にそれを意識し続ければどうにかできる、という程度で、日常生活の中でそれをずっと維持することはまだまだ無理、生徒さん達に尋ねたら案の定、舌の奥は貼りつかないという人もいた。

 

  そこで、『舌貼上顎』をもう少し楽にできるようにするために、もう少し肩周りを開く(ほぐす)べきだと矛先を首肩に転じることにした。

  そういえば、私が太極拳の練習を始めた頃、克服したいことが3つあった。それは寒さへの恐怖、便秘、そして首と肩のコリ。最初の2つについては師父との練習で気づいたら克服してしまっていたのだが、最後の首コリ、肩コリはまだ克服できていない。卓球で随分前肩になったし、と言い訳してきたが、やはりそろそろ本腰入れて取り組まなければならない。師父のように、「自分には肩こりはない」、と言い切れるようになったらどんなにいいだろう・・・

 

 そんな経緯から先週後半は自分の勉強も兼ねて肩周りの特別な練習を生徒さん達と一緒にやっていました。その結果、どこまでが頭部でどこからどこまでが胴体か、といった身体に対する意識が変化。「肩はない」という師父の言葉の意味が突然分かったそのあたりの練習については次回書きます。

  

2020/12/23 <手足を引き抜くには命門の開き=腹圧が必要>

 

  12/20の動画で、私が手足を突っ張って起き上がる動作を見せましたが、それを真似してやって見た生徒さん複数から同じ質問をもらいました。

 「起き上がるのはできるのだけど腰の下が少し浮いています。それでよいでしょうか?」

  

 質問をもらって、大事なことを言い忘れていたことに気づきました。

 腰の下が浮いたとしたら、気を引き抜いて(節節貫通で)起き上がってはいないです。ピラティスのロールアップや通常のバイシクルクランチのように腹筋を締めて(縮めて)使っている。

 引き抜くには命門から仙骨まで床を押し続けていなければなりません。

 

 これが太極拳の『命門を開く』という意味で、これがないと脚も伸びないし足裏で地面を踏めない(青線)。手に引き抜く緑線も現れない。

 すなわち、全ては<命門・腰・仙骨で押すことから始まる>といっても過言ではないということ。ただ、頭部を持ち上げるには舌抵上顎が必要で、この舌を胸の中まで繋いで(含胸になります)舌の力で胸から頭までを持ち上げることになる(と、やっと分かりましたが動画の私はそこまで分かっていなかったのでやっていません。胸から頭については小グループに教えながら実験中。)

 

 まずは命門!

 上の絵を90度回転させて立ち上がらせれば、立位になります。タントウ功でも片足立ちでも、命門の押し、開きがないと始まらない。そして腰の押しは『塌腰』、仙骨の押しは『敛臀』、ここが一直線になって押します・・・が立つと何を押しているのか感覚がとれないかも?

 立った時は外を押すのではなく、腹で背骨を押して内側から命門、腰、仙骨を押している感覚です。分からなければ、再度上の図のように寝てみて、手足に力を引き抜く時に自分の腹や腰がどうなっているか観察してみればいい。背中がダイレクトに床を押しているわけではなくて、腹圧で命門、腰、仙骨が床を押しているのがわかるはず。それがわかれば、それを立位でやればできあがりです。

 これが足に気を下ろし、そして踏めるようになるための要領です。

 普段からそうやって立つように訓練すべき・・・仁王立ちへの第一歩かな。

 

2020/12/22 <中国サイトの『舌抵上顎』の説明>

 

  『舌抵上顎』は太極拳に限らず中医学に基づく気功法において非常に大事な要領なので、中国サイトを検索すべきかも、と検索をしたら、Baidu百科に説明があった。https://baike.baidu.com/item/%E8%88%8C%E6%8A%B5%E4%B8%8A%E8%85%AD/10569252?fr=aladdin

 

上のサイトにある右の絵が『舌抵上顎』。

 

「舌の先端が上歯茎を支え、舌の中央はアーチ型になって上顎を支える。」とある。

 

 

 右の絵のような「舌先だけば上歯茎についていてそれ以外の部位が上顎から離れてしまっているのは正しくない、誤解だ」と書いている。

 

 

 しかしながら、冒頭の絵を見ると、昨日紹介した動画などで理想的な舌の位置とは微妙に違うよう。舌が気道を塞ぐようにピタッと吸盤のように上顎貼りつく位置は冒頭の絵よりも舌をさらに後ろにずらしたところになる。

 冒頭の絵では舌先が前過ぎて、舌中央は上顎に貼り付いても舌奥が上顎奥から離れてしまう。舌と上顎の間が真空状態(舌が吸盤状態)にならない。

 

 とはいえ、このサイトによると、このような功法を実施することにより「任脈督脈が繋がり全身の経絡が通るので上下の気血の流れがよくなる、脳をリフレッシュして体質を強化する、唾液を含む体液を増やすなど多くの効果がある。」と書かれている。 

 

 なおサイトの下の方には「子供の頃は口が舌を含んだようになっているから唾液が多い。無理に舌を巻き上げようとすると力が入って口の中が乾いてしまう。だから練功の時は無理に『舌抵上顎』をすべきではない。入静状態に入るのが妨げられてしまう。後ろの督脈が任脈に接した時、舌が自然に磁吸力を得て上顎に貼り付き、よって督脈と任脈が貫通する。」とある。

 そういえば、私もタントウ功の時に突然舌が膨張したようになって上顎を押し出した記憶がある。それを師父に報告した際、師父が、「全身の肉に気が通った証拠だ。”舌は肉の余り”と言うのだから。」と言ったのも併せて覚えているが、だとしたら、舌がぴったり吸盤のように貼りつくように無理にトレーニングするべきではないのだろうか?

 

 こういうところが、全体、総体、wholeとしての身体の状態を良くしていくことで局部の状態も自然に整うという気功法を貫くのか、それとも、特定の部位のエクササイズを組み合わせることによって総体的な能力を高めようとする西洋的、科学的トレーニングを採用するのか、というジレンマに陥るところ。

 師父のような一昔前の中国人老師は中医学的気功的な発想一本で貫く。経絡の話はしても筋肉の話は全くしない・・・まずは任脈督脈を貫通させてそれからその他の経線を通していくうちに次第に横線の繋がりが出てきて最後にはきれいな球体の身体をつくる。それができれば身体にできないことはない・・・簡単にいえばそんな考え方だ。だからタントウ功や坐禅で身体の中の気の量を増やして経絡を自らの気で開けていくような功法が使われてきた(周天)。

 だけども、周天をするにはかなりの時間を静功に費やさなければならなくて、忙しない現代人(現代中国人も含めて)にはあまり向かないのかもしれない。たとえやっても指導者が身近にいないと道に迷ってしまう可能性も高い。

 一方、西洋系はパーツパーツのエクササイズをを高めることによって総体を上げるというやり方。エクササイズのやり方、目的、効果がはっきりとしている。頭で理解しやすいし効果も感じやすい。ただ身体の底力、エネルギー量をどうやって養うのかは後回しにされがち。

 

 私は両方を併用するのが良いと思うし、実際、最近は併用する人が多いと思う。
 局部的にできないエクササイズがあった場合(例えば今回の『舌抵上顎』がぴったりできない場合、一生懸命それができるように舌の練習をするのではなく、それができない要因となっている首肩を開くための経絡の開通ができるようにタントウ功や坐禅をさせて、腹の気(丹田の気)がそのまま舌に直通で繋がることがうっすらわかる頃には『舌抵上顎』ができそうになるだろうし、その意義も身体ではっきり感じることができるだろうと思う。曲芸のように『舌抵上顎』ができても使えない・・・『舌抵上顎』は任脈と督脈が一通り(大体)通りました、という印として現れるもの・・・けれども、もう少しで任脈と督脈が繋がる段階にある人にとっては、この『舌抵上顎』自体を意識的に練習することで任督が開通してしまうだろう。 も少し深追いすべきなのか、深追いせずに別のことをすべきなのか、そのあたりの判断も練習には大事になってくる。も少し追いかけたら振り返ってもらえるのか、追いかければ追いかけるほど逃げられるのか・・・若い頃の恋愛ゲームのようだ。その塩梅を見て導けるのが良い指導者だと思うが、良い指導者になるのもなかなか難しい。生徒一人一人を”見る”眼が必要になる・・・

2020/12/21 <ピラティスの比較から 腕、足、そして舌>

 

  昨日の動画を見て「あれはピラティスのロールアップですね。」と教えてくれた生徒さんがいた。そこでピラティスではどうやっているのか見てみたら面白いことに気付いた。

 パッと見て気付いたのは、手の指先が伸びていて、足はトウの人もいれば、ドゥミポワントのような人もいれば、最初から膝を曲げている人(できない人用か?)もいるということ。

 手の指をまっすぐ伸ばして起き上がる方が、(私がやったように)手首を折って上がるより楽だと生徒さんが言っていたので私もやってみた。確かに楽・・・でも、何故だろう?

 

 手の指を真っ直ぐに伸ばして起きると、明らかに腹直筋(シックスパックになる表層の腹筋)が使われるのが分かる。これに対し、手首を曲げて(フレックスにして)起き上がった場合は腹直筋が使われない。腹の中の筒(腹圧)でドンと上がってくる感じになる。

 

 そして実際にロールアップの動画や説明を見たら、なるほど、これは「ロールアップ」という名前の通り、脊椎を一つ一つ意識して起き上がってくるもので、「息を吐いて頭をいれたまま腹を締め、腹筋を使って背骨を丸めて足先まで起き上がります」(http://ja.eatndiet.com/roll-up-and-down/)とある。

 やはり腹を締めるものらしい・・・

 

 では私がやった手足をフレックスした状態で起き上がってくるものはどういうことだったのか?

 

 生徒さんの中には起き上がってこられない人もいたのだが、私の動画を見て、「腕は肩甲骨だけでなく腰まで繋いでしまうのだ」と気付いて真似をしたら(お腹はきつかったけど)起き上がれた、という生徒さんがいた。骨盤まで腕をつないだらできました、という人も。

 つまり、一つは腕の繋ぎ方がピラティスやバイシクルクランチと違うということだ。

 これは太極拳で二の腕を広背筋にしっかりつないでおく、という要領を使っているか否かの違い。上のピラティスの動作は腕がどれも肩甲骨止まりだ(だから腹筋を締めて使う運動になる)。

 

 そしてもう一つ、足がフレックスか、それとも指を伸ばしているかの違い。

 足をフレックスにすると手もつられてフレックスになるが、この時、中途半端なフレックスではなくしっかりフレックスをすると、起き上がる時に、腹の筋肉を縮めることができないし、太ももの前側の筋肉を縮めることもできない。内側の気を爆発的に貫通させるしかないが、その時に非常に大事になるのが、”舌”で上顎の奥の方をしっかり推すということ。舌の力がないと頭や肩あたりが持ち上がらない。

 これに対し、指を適当に伸ばしている場合は、腹筋を使って上がってくるので、舌は軽く前歯の後ろについていればよくて舌で推している感覚はない。(逆に舌を上顎に貼り付けたままだと起き上がれないのでは?)このように踵を使わずに足の甲側だけ使うと太ももの前側の筋肉が使われてハムストリングスは使わないことになる。

 

 ここで注意するのはフレックスの形。太極拳でも立った時の足首はバレエダンサーのようにしっかりフレックスしているのだが、フレックスをすると踵の骨が引き出されてその分土踏まずが上がり、蹬脚で蹴ったときのように気が足裏から発せられる(だから足首のフレックスの対になる手首のフレックスが”掌”として威力を発することになる。)

 そしてバレエダンサーのポワントだが、これは踵を巻き込んだまま足の甲を出した結果爪先が伸びたようになっている。いわばフレックスの踵のままフレックスとは反対向きに足の指を伸ばしているので、このような足(トゥシューズで立った時)の場合は踵を巻き込んでいる限り、舌は上顎の奥を押して百会を上げ(頂勁)る。

 

 と、そんな比較をしていたら、改めて「舌抵上顎」「舌貼上顎」を見直すことになってしまった。

 

 馮志強老師のテキストには、身体を引き上げる箇所は三つ、会陰と舌と百会だ、と書かれていた。これを読んだ時、舌? と頭の中にクエスチョンマークがついたのを覚えている。

 会陰の引き上げは練習中だけでなく四六時中、寝ていてもできるようになれ、と随分躾けられたが、舌についてはそこまで厳しく言われたことはなかった。けれども、師父がしゃべっているときに下から見上げてみていると、舌の位置が日本人より随分後ろにあることは知っていた。

 私たち日本人は nとngの違いがほとんど聞き取れない。例えば「林(lin)」と「霊(ling)」(ともに2声)を続けて言ってもらっても私には違いが分からない。師父は、「林linの時は舌先が上顎の前歯のすぐ後ろにくっついているけど、霊lingの時は舌の奥が上がって舌先は離れている。」と見せてくれたけど、nの時は口があまり開いてなくて、ngの時は口がぽわんとしてる、くらいで区別するしかない(苦笑)

 

 そして舌を上顎に貼り付けておく、というのは、まさにそのngの発音の時のように舌の奥が上顎の奥に貼り付いて気道を塞いでいる状態なのだ→だから鼻でしっかり呼吸をすることになる。そして、それだけで丹田が膨らんでし・・・

 このあたりは以前ヨガのケーチャリームドラを紹介したことがあったので、それともオーバーラップするのだけど、今回知ったのは、舌の定位置は舌先が上顎につくというのではなく、舌全体、特に舌の奥がぴったり吸盤のようにくっついていなければならない、ということ。

 昨日の動画のような起き方をすると嫌でも舌の奥が頑張らなければならないが、普段から無意識でもそうなるようにすることが、呼吸、首こり肩こり、前肩、咀嚼、・・・そして美顔、のためにも必要だということ。

 太極拳の「舌貼上顎」は別に太極拳特有の要領ではなかった・・・いや、その他沈肩も含胸も、思いつくものは全て太極拳の要領ではなくて人間の正しいポスチャーの要領・・・今更ながら。

 

 舌の正しい位置については下の動画が危機感を煽るかなぁ。このくらいでないと人々の興味をそそらないのかもしれません・・・

 

 

 この下の動画は舌の位置による顔の骨格への影響を語っています。

 舌が上顎に貼り付いて鼻の周辺を内側から押し上げることで魅力的な顔になる・・・ということよりも、鼻と目がしっかり使えるようになる、というところがとても大事だと私は思います。 

 例えば右の演技直後の羽生君、ぜったいに口でハアハアしない、呼吸を乱れさせない鼻呼吸、そしてしっかりした眼神・・・口の中で舌は絶対にそうなっている・・・

 普段見ないタイプの動画ですが、説明がわかりやすいので紹介します。

 さらに興味があればオーソトロビクスの先生の動画も。
 歯科医によれば、マウスピースをすると寝てる間も舌が正しい位置にくるそう(私は体験済み)

2020/12/20

 

  昨日のメモではきっと言いたいことが伝わらないだろうと思ったので動画を撮りました。

 

  蛇足かもしれませんが、撮りながら、昨日の写真の中の青いタンクトップの女性は、寝た姿勢から起き上がったのではなく、座った姿勢から(撮影のために)あのポーズを撮ったのだと気づきました・・・両肘をあのように180度張ったままでは起き上がれない・・・座位から倒れていくなら180度張った方が体幹を崩さずにいられる。

 

  腹筋を締めずに腹圧で腹を膨らませたまま起き上がるには手足を引き抜くのがコツ。

  結局、クランチをする前の姿勢(セッティング)ができるかどうかが鍵になるよう。

  脚が腹から足裏(足先)へと引き抜けるか?

  腕が腹から掌(手先)へと引き抜けるか?

  脚も腕も腹から引き抜ければ、手から足までが一つの気(エネルギー)で繋がってしまう。

 

 

 実際に立位の太極拳でそれを経験するのは難しいのだけど寝た形だと分かりやすい(のは何故だろう?)

 まあ、布団の中でやる大きな伸びもそんなもの?

 椅子に座ってでもそんな伸びをしていたかもしれない・・・子供の頃は。

 

 動画を二つに分けています。

 後半の<腹斜筋ー内転筋>の太極拳への適用は、四隅勁になるようです。となると四正勁の時もすでに背景に四隅勁が働いている(だから球になる)と感じますが、そのあたりはいずれ師父に確認します。

 動画見直して気づきましたが、腹斜筋の動きを見せようとし過ぎて気沈丹田ができていません(苦笑)本当は最後に気をぐっと腹底に沈めなければならない。気をつけます。

2020/12/19 <バイシクルクランチを太極拳的にやると楽チンになる>

 

  今日は少人数の生徒さん達に、バイシクルクランチを太極拳的にやるとどうなるのか→張力を働かした変型クランチ、を教えてみた。

 通常見るクランチとの違いは、足をフレックスにして片足を伸ばしきって床を踏んでいるかのように力を引き抜くこと(突っ張ること)。併せて、二の腕を広背筋と繋いだ上体から手からも力を引き抜き切ること。手から、そして足から力を引き抜くことで、全身が上下に引き抜かれるようになる。

 これをやってから、片脚の膝を曲げて頭を曲げた膝の方向に向けて上体を起こすと・・・苦しくない!長時間そのままでいられそうになる。

 対比として、通常のクランチのように、足(feet)を意識せずに適当に浮かせて腹筋だけを割る意識で片膝曲げて上体を起こしてみると、ウッとキツイはず。

 

 太極拳でなぜ地面を踏み続けることが必要か、というと、これがないと、足⇔手、足⇔頭頂の引っ張り合い(張力)が出てこないからだが(頭の場合、引っ張り合いで頭頂に達したものを”頂勁”、そして頭から気を引き抜いたのを”虚霊”と表している。手足については似たような表現はあるのかしら?)、立って太極拳をやってもなかなか全身の引っ張り合い、力を引き抜いた感覚は得られない。しかし、このようなエクササイズだとその感覚が得られやすいというメリットがある。

 ただ、やり方が問題。

 ラジオ体操も太極拳的にやればまったく別物になるように、クランチも太極拳的にやると筋肉的にも使い方が全く変わってしまう。

 上は画像検索して出てきたバイシクルクランチの写真の一部(それぞれリンクを貼っています)。

 どれもギュッとか、ウッという感じできつそうなのだけど、左下の青いタンクトップのお姉さんだけがなぜか異質。はぁ?という抜けた表情でまったく苦しくなさそうだ。

 ここに違いがある。 このお姉さんの伸ばした足先はしっかりポワントで脚を伸ばしきって爪先から気を引き抜いている。そして腕。脇が完全に開いて広背筋→二の腕→肘へと気が引き抜かれている(これだけ脇が開いて両肘が180度に開くのは只者ではない?)上下にピンと張られたロープの中でこの運動をすると、歯を食いしばるほどの苦しさはない。腹の中は捻れず、腹腔が気で満たされたまま(腹圧が高いまま)その周りの筋肉達が層として回転する。

 これが太極拳の身体の使い方でやるクランチだ。

 

 通常のクランチだと腹筋がギュッと締まるが、太極拳的だと腹圧を高めて内側から外向きに筋肉をストレッチ(伸ばす)するようになる。息も前者だと吸いながらではできないと思うが、太極拳的だと吸気でできてしまう(吸気の方が吐気より楽チン)。

 

 今年の10月5日のメモでイチロー選手の筋トレマシーンを使った画像を載せたが、イチロー選手の筋トレはおしゃべりしながらでもOK。普通の筋トレは笑顔でおしゃべりしながらはできない。

 上のクランチも同じ。青いお姉さんは息切れせずにおしゃべりしながら何セットかクリアできそうだ。

 

 実はこのクランチの足を引き伸ばして踏むということ、そして腕の引き伸ばし方、そして、身体をまっすぐ起こすのではなく捻って起こす(腹直筋ではなく腹斜筋を使う)というのが太極拳の片足立ち、蹴り、そして拳、全てに共通する重要な要領・・・と私もこれをやってみて気づいた。太極拳はいつも背骨を捻ってキメている。真っ直ぐでは何の力も出ない・・・

 ・・・と、このあたりは、実際に私がやって動画に撮って説明しないと文章では分からないだろうなぁ。が、動画に撮るにしても、理路整然と説明できるかどうか? 足を引き抜く、だけでも大きな一つの論点。手を引き抜くのを教えるのは更に大変な論点。腹斜筋と内転筋が鍵になる、というところも四隅勁との絡みで第論点。顔を横に向ける(顔の向き)というのは背骨の軸の回転につながる・・・それらがこのバイシクルクランチの中に合わさっていた。要点だけでも分かるととても面白い話。気が向いたら動画を撮ります。

 

2020/12/17 <腹斜筋エクササイズから首の問題へ>

 

  最近は数人の生徒さんに実験台になってもらっていろいろなエクササイズを試してもらっているが、その中で脇腹の腹斜筋を鍛えるためのエクササイズは肝心の腹斜筋に効いていないようだった。

https://jitaku.hatenablog.jp/entry/2018/05/21/111358
https://jitaku.hatenablog.jp/entry/2018/05/21/111358

紹介したのはバイシクルクランチ(左写真)の変形型。

このような形で右手で左膝を抱いて膝を左胸に近づける。顔は左を向いて、そのまま左手を伸ばしてぐるぐる回す。

太極拳で手をぐるぐるさせるのと同様の原理で、手で遠心力をかけることによって内側が絞られて内側から筋肉を鍛える(調整する)やり方だ。

 

 実はこの生徒さんに試してもらった変形バイシクルクランチは主に腹斜筋に効くと銘打っているが、実際には腹筋を総動員する。

 

http://www.aloha-pilates.com/14583907901746
http://www.aloha-pilates.com/14583907901746

真正なバイシクルクランチでは胴体を強く捻って息がこもるので(横隔膜が動くような呼吸をする余裕がない)、胴体の表面にある腹直筋や外腹斜筋が縮む方向に鍛えられても、奥にある腹横筋を内側からストレッチすることができない。

 

変形型は腕をぐるぐるすることで腹の奥からじわじわと腹圧を高めていって、内側の腹横筋から外内腹斜筋を内側からストレッチして鍛えていくように計算されたものだった(左図参照)。

 

太極拳やバレエなど、中正を保って動くものは腹圧を高めて筋肉を内側から伸ばすような鍛え方になるようだ→呼吸の仕方が大事になる。

 

腹筋の話はここでは置いておいて

このエクササイズを生徒に試してもらったら、皆が口を揃えたように、首と腹、特に首が辛い、という感想だった。

 

  腹も、腹の奥や中央部分で、腹斜筋の部位に効いているという感想はなかった。

 

  そんな感想を受けて、まず首が痛いのはなぜか?そこを考えた。

  それは首だけで頭を支えているから。

  

https://radia-gym.com/blog/179403.html
https://radia-gym.com/blog/179403.html

 

頭は首の筋肉だけで支えている訳ではない。

 

脊柱起立筋をしっかり使えば、仙骨まで首になる♪

 

(図を見る限り)頭を回転させたらこの筋肉達も動く。

 顔を右に向けたのに、お尻の仙骨あたりが引っ張られた感じがしないとしたら、左図のピンクのライン(最長筋)が作動していない、ということでは?

 

 と、ここで背骨を伸ばして椅子に正しく座り直して頭を右に向けると・・・確かに仙骨あたりに引っ張られた感がある。

  猫背でパソコンを打っているとその感覚は得られない・・・備え持った筋肉を使い切るには正しい姿勢が必要と実感。(正しい姿勢が分かるためには正しい姿勢になるための筋肉を使わなければならないのだけど、その筋肉がどうやったら使えるかが分からないからないから困っている・・・正しい姿勢になれば正しく筋肉が使える、というのは使えない論理・・・)

 

 

  ではどうやったらこの脊柱起立筋を使って骨盤から頭まで繋がる感覚を得られるのか?

 

  ここで最近本棚に眠っていたバレエの教則本をパラパラめくっていて印象に残っていた絵を思い出した。早速該当部分をもう一度読み直す。

  あ〜ここにヒントがある!

 

 『インサイド・バレエテクニック』Valerie Grieg著 より。

 

 一文一文が吟味されて書かれていて読みとばせない、名著なのがよく分かる。

 この1ページの中にも大事なことがいろいろ込められていて、自分のその時のレベルに応じて読み取れることも変わってくる。

 

 さて、ここで実験。

 絵のようにバーを持って立ち、まず頭を真後ろに倒して身体を反らしてみる。

 それから、絵のように、頭をどちらか横に向けて倒してみる。

 その違いは?

 

 このページの最後に書いている通り、真後ろに倒していくと、頭の重さで途中で首がガクンとなる(首がだらりとぶら下がってしまう)=脊柱起立筋の繋がりが切れている。

 しかし、絵でやっているように、頭を横に向けて後ろに倒していくと・・・あら不思議、さっきよりもずっと楽に反れる。頭の重さが気にならない。

 

 試してもらった生徒さん達も驚いた小さな発見。

 何故だろう?

 ここでキーになるのは、図示されている胸鎖乳突筋だろう。

 ページの左上に小さく書いてある。「セナカを反らし始める時、この筋肉(胸鎖乳突筋)で頭を支えます。」

 

 生徒さん達からは、頭を横に向けて反ると、肩甲骨が分かる、とか、腕の付け根が引っ張られる、安定する、といった声があった。私自身も右脇と左脇が引っ張り合いになって貫通し胸が左右に広がる感じがある。頭を真後ろに倒すと、肩や胸が縮んで窮屈なのとは真反対だ。

 

 脊柱起立筋の作用は脊柱の伸展、すなわち反る動作として作用するとのこと。

 でも、このように頭を横に向けて反らしていくと脊柱起立筋が頑張っている感覚はないのだけど・・・

 

 と、そして気づいたのは、上の胸鎖乳突筋の存在。

 耳の後ろから鎖骨まで繋がるこの筋肉が端から端まできちんと使えるようにすると、首肩、そして頭のの位置が正しく調整されるということ。

 頭首肩のアライメントが整うと少なくとも頚椎から肩甲骨下縁あたりまでの脊柱起立筋はきちんと使えるようになる。姿勢が正しいからその部分の筋肉はオート(自動)で意識せずとも作用してしまう。

 あ〜、こういう手があったのね。(と一人で納得)。

 作用させたい筋肉に着目するのではなく、別の筋肉に着目して間接的に目的の筋肉を作用させてしまう・・・

 

 今日はこの反るエクササイズが面白くて何度もやっていたら、歩く時の姿勢も変わってしまった・・・師父の歩き方のよう。

 頭を横にして反らして肩や胸がすっきり広がったら、身体を真っ直ぐに戻した時もその感覚を保持する。胸鎖乳突筋の首の二本の筋がしっかり使えていたら沈肩、含胸はオートでできてしまう気がする。

 

2020/12/15 <前胯の松のスポットを探す>

 

 

  動画の説明

 

 ①前脚の内腿の付け根(前胯)の松スポットを探す
  付け根に向かって自分の身体の重みを(怖がらずに)落としていく

  内腿のスジを伸ばす意識よりも、そこに体重をかけて身体を落としていく意識が大事。

  腹の気(丹田)を鼠蹊部まで落とし込んでいく(中丹田の気を下丹田へ落とし込んでいる)。

  俯くと腹が凹んで重石がかからない。

 

 ②後脚の内腿付け根(内胯)の松スポットは大腿骨を少し外旋することで得られる。

  足首をしっかりフレックスした上体で踵を内側に向ける(つま先が外に向く)

  →内踵で内腿付け根が合う 

  膝を緩めると内胯の松スポットが広がる。

 

 

  ③胴体は常に左右の内胯の松スポットに差し込まれて乗っかったようになる。

  そのまま動く

  体重移動は左右の前胯の松スポット間の移動になる

  →内腿付け根(前胯)と内踵の合が前提(以前カエルの例で説明した通り)

  

 

  ④前胯の松スポットに限らず、関節の隙間はエネルギーの貯蔵庫。発勁の時にそれらを使う。発勁せずに体内で気を循環させる時は緩みを維持し続ける。

 

  文章で説明するとややこしいが、空手の型と比べるとイメージ的に違いがはっきりすると思う・・・(写真にそれぞれリンクを貼っています)

 

  

 

 空手が太極拳と違うところ・・・パッと見てすぐわかるのは、空手は額に青筋が立つような気合い(?)があること。このやろ〜!という気迫で戦っていく(かのよう)。身体はギュッと締まる。拳もギュッと握り、腕には筋肉のスジが立つ。

 身体を硬く鋼のようにした場合、腹は緩まない。腹もギュッと締まる。ギュッと締まると気は動かない。丹田の気はギュッと圧縮されたまま。

 こうなると、丹田の気が股関節、鼠蹊部(内胯)まで落ちていかない。股関節(胯)の松のスポットが現れない。筋骨皮に頼ることになる。(ひょっとしたら真の空手の達人はもっと腹を緩めて股関節まで気を落としているのかもしれない・・・にしても、この帯のせいで、かえって帯より下に気が落ちなくなっている気がしなくもない・・・帯がなければ胴体が分断されることなく骨盤底筋まで胴体として使いやすいだろうけど・・・そもそもパンツを履いたところでアウトなのかもしれない 以上独り言)

 頭や腕、上半身に力が入ったらすでに気は上に上がってしまっている→上実下虚

 演武だからわざとものすごい表情をしているのかもしれないが、ものすごい表情をしたまま私自身、動画に撮ったように前後開脚をしても内腿付け根の緩んだポイントは見つけられない。緩んだポイントを見つけるには表情も緩めなければならない。(試してみて下さい!)。顔も緩めないと気は腹底までおちないのだ・・・面白い♪

 心を平静に保たないと気が沈まない、という点からすると、心の平安を得るには太極拳の方が理に適っているかなぁ。エネルギー発散の必要な若者や鬱になりそうな人は空手の方が合っている。心が外向きか内向きか、性向もあるのでどちらが良い悪いではなく、対比することでお互いに自分の特徴が分かると思います。

 

 関節のスポットに入り込んで涼しい顔して動くには身体を信頼して力を抜かなければならない。身体の内側に入り込んでいく意識、太極拳ではそれが必要になる。

 たかが内腿付け根の松だけど、それを探してそこに入れるか否かで外見上同じようでも質的に全く違う現象が現れてくる。

 

2020/12/13 <腸腰筋のストレッチから内腿付け根の隙間へ>

 

  腸腰筋のストレッチの定番の形は前後開脚の途中のような形になるのだが、この時多くの人のネックになるのが内腿の付け根が硬かったり痛かったりして伸びないことだ。が、伸びないからといって俯いて腰を丸くしてしまうと内腿付け根はギュッとさらに硬くなる。

 

 腸腰筋ストレッチの形は例えば次のように図示されている。

https://nobiru-karada.com/stretch-iliopsoasより

 

腸腰筋がストレッチされた形は、お腹がぐっと前にでて腹が立ち上がったような状態になる。

 

もしここで、骨盤をさらに前方に移動させて、前脚の内腿の付け根が前脚の踵につきそうなところまでいけたなら、前脚内腿付け根にぽっかり隙間が空いてとても楽チンになるのが分かる。ここが恥骨側から感じる胯(クワ)の松。前クワの松、と師父がよく言うもの。

骨盤を前方に移動させても分からない場合は曲げた膝をほんの少し外に向けて内腿付け根を開いてあげると隙間が現れたりする。

 前クワの松は立位で感じるのは難しいが、このように思いっきり開脚をすると分かりやすい。

 

 そして、後脚について言えば、上の図のようにつま先をまっすぐ後方に伸ばしたところから、つま先を外側に90度向けて踵を出すようにすると後脚の内腿の付け根の隙間スポットが現れる。(少しキツイかも)

 

 太極拳の前後の弓歩はこの前後の脚の内腿の付け根の隙間で立っている。

 前後の重心移動はその前後の隙間から隙間への移動だ。

 弓歩で後の足のつま先が外を向いているのはこの内腿の付け根の隙間を作るため。

 前側の内腿の付け根の隙間で恥骨から腹を立て、後ろ側の内腿の付け根の隙間で腰がしっかりする(つま先を外に開いて踵を引っ張り出すことで踵から腰に力が伝わる)。

 

 太極拳の場合はヨガのように筋を伸ばして身体をいろんな方向に曲げるわけではなく、常に、隙間(松のスポット)を探して、エネルギーをひとまとめにすることを狙っているように思う。

 ただ、隙間を探すにはある程度体中の筋が伸びなければならない。ガチガチの身体では隙間が見つからない。

 まずは松して筋を緩めるのが大事だが、ある程度緩んできたら、少しずつ隙間を見つける練習が必要だ。圧腿や開脚、坐禅など、筋を伸ばす基本的な練習は太極拳の練習と並行して毎日少しずつやっておく必要があるなぁ、と私もその必要性を痛感しています。放っておくとすぐに硬くなる(苦笑)

2020/12/11 <骨盤から腸腰筋へ>

 

  骨盤の話はそのまま腸腰筋の話へと繋がる。

 

http://www.aioota.org/blog-clinic/post-2701/
http://www.aioota.org/blog-clinic/post-2701/

 この腸腰筋の図と昨日の骨盤のABCラインを照らし合わせると、Cラインを意識できるには大腰筋(の腰椎接着部)、Bラインは腸骨筋、Aラインは大腰筋と腸腰筋(の小転子接着部にかけて)、が適度にストレッチされる必要がある。

 

 すなわち、ABCライン、全てを同時に感じて『骨盤』で座ったり立ったり動いたりする、ということは、常に腸腰筋を使っている、ということだ。

 

 骨盤で動いていると『脚』の意識がほとんどなくなってしまう。

 骨盤を動かすともう足裏、骨盤から足裏までは素通りしたようになる。

 若い頃卓球をしていた時、すでに調子がいい時、悪い時、の差があることは気づいていたが、今思えば、調子が良くて自分でも不思議なくらい身軽に動けてしまう時というのはこの骨盤で動いていたのだと思う。

 一度太ももや膝が気になり出したら脚は重くて素早く動けなくなってしまう。脚は骨盤まで釣り上げて置かなければならない。

 

 知ると意識が変わる事実、それは、骨盤を上下半分のラインで分けた時、上半分は胴体、下半分は脚の領域だということ。股関節は骨盤の上下半分のラインに位置する。

 脚の付け根(大腿骨骨頭)は骨盤のほぼ中央線上にある。だから、脚を使う時は骨盤の中を動かさすように意識する必要がある。これを間違えて、太ももの途中の骨あたりから動かそうとすると大腿骨が完全に動かず関節で捻れが起こる。脚と胴体の連結も切れるし怪我の原因になる。骨は付け根、関節から動かすのが鉄則。骨の途中から動かすのはNG。

 

 そして”会陰の引き上げ”というのは、会陰を大腿骨骨頭のラインまで引き上げることでそこから脚を使えるようにするものだ。即ち、骨盤内の大腿骨骨頭から脚を使おうとしたら会陰は引き上げなければならないし、大腿骨骨頭から脚を使おうとすると会陰は引き上がってしまう。

 

 骨盤のABCラインをはっきり意識できるようにするには腸腰筋がしっかり張る必要がある。

 坐禅でしっかり腰を立てるにも、そして立つのも歩くのも、腸腰筋のパーンとした張りが必要。
 そして太極拳で強調される、松して丹田に気を溜めるというのも腸腰筋をパーンと張らせるためのものだと思う。広義のポン、身体の膨らみだ。

 

 検索するといろいろなサイトで腸腰筋の説明がなされている。

 以下腸腰筋についての資料集め。

 

 腸腰筋と姿勢の関係は、例えば https://physioyusuke.blog/iliopsoas-stretch-training/

ではこのように完結に説明してくれている。

 

ヨガのサイト https://yogajournal.jp/1936 では左のような図で女性に恐怖感を与えているが、ヒップアップしようと収縮しすぎると、上の図のような反り腰になってしまうので注意。

 

反り腰も猫背も腸腰筋がうまく使われていない証拠。

https://kyousaku.karadane.jp/articles/entry/care/self/006403/

左の図:https://hajime-karada.com/shisei-4 より

 

胴体と脚を直接結ぶ筋肉は大腰筋。

このだら〜と見える大腰筋をどうやって強力なゴムにしてゴムとして使えるようにするか?

 

 猫背やO脚、腰痛、ぽっこりお腹の原因にもなる・・・

 

←オーソドックスなストレッチ法

 

https://www.medicalview.co.jp/50th/exercise/p05.shtml

 

 

 

 

 この時にお尻を持ち上げて腰を反らさずに、心持ちお尻を下げて(斂臀)命門(腰椎2番と3番の間)を開くようにする(腰椎のS字カーブを減らすようにする)と、大腰筋のストレッチが強くかかる。

 

 実はこの姿勢は太極拳の前方へのジー。拳や掌での発勁に骨盤の力を使う、と書いたが、それは大腰筋のゴムパンチのようなものかも?

 

 理想的な歩き方も大腰筋のゴムの引き伸ばしとパチン!と戻る動きの繰り返し(下の図参照)

 https://www.hone-u.com/column/cate0b1zb/noteal1zb.php 

 

 これらの資料を踏まえて、太極拳の動きでそれらがどう使われているのか、どう練習すべきなのか、生徒さん達に教えながらも少しはっきりさせていきたいところ。

2020/12/10 <骨盤を意識した練習>

 

  骨盤をAライン、Bライン、Cラインと分けて感じることができるようになると、太極拳の練習が効率よくできることを発見。

 それを使ってタントウ功、動功、そして調子に載って套路の動作まで動画を撮ってしまいました。

 太極拳は骨盤運動に他ならなかった・・・

 下丹田は骨盤の中にあるのだから当たり前といえば当たり前なのだけど。これは大発見♪

 これまで意識的に骨盤を分けて感じようとしたことがなかったからそれに気づかなかった。

 宮川眞人さんの骨盤体操のおかげ。大収穫、自画自賛♪

 

 ただ、生徒さん達が分かるのかどうかが問題。

 結跏趺坐が組めないと(両脚を組んで骨盤が立たないと)Cラインが意識できないのかもしれない・・・

 ただ太極拳の套路だけを練習していてもなかなか骨盤周りは開かない(つなぎ目の関節が動かない)ので坐禅を併用する必要があると思う・・・

 

 注意としては、骨盤の腸骨の部分を→のように左右に開いてはいけないということ。股関節を緩めようとしてよくやってしまう間違いだ(私もやりました)。

 これをすると大腿骨の骨頭とそれがパカっとはまっている寛骨臼(ピンクの丸)の間の角度が変わってしまい、股関節があたかもネジを斜めに差し込んでぐりぐりしているように使われてしまう。骨盤の捻れ、脚の捻れ、そして股関節や膝の変形に繋がるので要注意だ。股関節を緩める時は腸骨(Bライン)を開いてしまわないこと。動画では「Bだけで動かない」「ABC全てをひっかける」というような表現で説明しています。

2020/12/8 <骨盤の力=胯(kua)の力>

 

  一部の生徒さんに試してもらった骨盤体操。宮川眞人さんの最近の本に載っていたものだ。

 

 宮川さんの第1冊目の著書『誰も書かなかった整体学』はバイブル本的存在で今回パリに来る時も持ってきた。購入した当時は難解で身体として理解できることがとても少なかったのだが、太極拳をやりすすめる中で時折本の中の記述や図を思い出したりしてその部分をもう一度読んでみたりしながら、ゆっくりと検証しつつその理解するようになってきた。

 宮川さんの理論の根幹にある、”身体の中心は腰椎4番5番、その弾力が身体の良さを決める” というのは、腰が命の太極拳の理論そのものだし、”身体を内に絞る力”というのも太極拳の”合”の力で、チャンスーにおいては特に”絞り”の力が露わになる。

 この点についての話はここでは置いておいて・・・

 

 最近はバレエから見た整体に着目しているが、股関節の硬さや骨盤の歪み、足首の捻れ、身体の左右差、捻れ、という問題を抱える生徒さんが多い。”捻れ”という言葉で宮川さんのことを思い出し、少し検索をしていたら、最近、『ゆがみをとる骨盤体操』という本を出されていた。早速Eブックで購入してそちらの本にのっている実技を試してみた。実技はYoutubeでアップされていてどれも2、3分の簡単な体操だ。結跏趺坐を組めることを前提とした体操で、地味にキツイ。けれど、やると、とても効くのが分かる。師父から坐禅は毎日組むように、と言われてきたけれど、それがただ入静状態に入ったり、気を溜めたりするだけでなく、身体の歪みをとることになるのだということはこれまでほとんど意識していなかった。

 骨盤Aライン、Bライン、Cラインを意識して・・・とやるのだが、それを意識して骨盤体操をした後で太極拳の套路をやったら、なんだ、太極拳も骨盤体操そのもの・・・Aライン、Bライン、Cラインを順番に、組み合わせながら動き続けているに過ぎない。

と、それはそのはず。太極拳『腰胯』の運動だ、と言う時の『胯』(Kua)は中国語では寛骨という意味なのだから。

 

左は中国のサイトhttps://baike.baidu.com/item/%E8%83%AF%E9%AA%A8 から

 

「胯骨は寛骨(腸骨と坐骨と恥骨が癒合してできた骨)」

「骨盤は胯骨と仙骨から成る」

とある。

 

 

 

 

 

上のサイトにある骨盤の図。

1は仙骨、2は腸骨、3は坐骨、4は恥骨。

骨盤体操で意識させているのは、仙骨の上辺のCライン、腸骨の上辺のBライン、そして鼠蹊部、恥骨へと繋がるAラインだ。

 

仙骨を除く胯(2+3+4)が運動する時は仙腸関節も稼働する必要があるから、胯の運動は結局は骨盤の運動に他ならない。

 

と、認識を新たにしてこの3つのラインを意識しながら套路をすると、A、B、Cを意識的に分けて動かすことでそれぞれ発勁ができるのが分かった。これが胯の力・・・そもそもエネルギーは関節に溜められているから、胯を構成する骨のそれぞれの関節(仙腸関節や腸骨と恥骨、腸骨と大腿骨、恥骨と大腿骨、そして右恥骨と左恥骨のつなぎ目)を一斉に動かせれば胯の総体としてものすごい力が出るだろう。発勁では胯と裆の力が非常に大きいというその意味が実感として分かるようになった感あり。(裆勁はと坐骨と恥骨/腸骨/大腿骨との関節で作りだすのではないかなぁ、この図を見る限り。今後意識的にやってみる必要あり。)

 

 ということで、Youtubeの骨盤体操を紹介します。(全部で10個あります。)
 本来はタントウ功や内功、太極拳をしていればこのような体操は一般の人よりもやり易くなっているはずなのだけど、もしそうでないとしたら、このような体操を試した上で普段の太極拳の練習を見直す必要があるのでは? そうでなくてもある程度太極拳の練習が進んだら坐禅の練習を取り入れるのは昔の中国では一般的だったという。すぐに結跏趺坐ができなければ、片脚だけ上げる、あるいはあぐらの姿勢でもよいので毎日坐るトレーニングが必要。股関節、骨盤は、坐った方が練習しやすい。気が下丹田まで沈ませられるかどうか、坐禅をすれば一目瞭然。

 身体にも良い。精神状態もよくなる。坐禅、侮るなかれ。

 

2020/12/5 <手首越しに指を見る、目線の伸びと身体の伸び>

 

   今日生徒さんを教えていてついでに喋った話。なるほど〜、とすぐに分かる人も多そうなので書きます。

 

  『手首越しに指を見る』という話。

  出どころはおそらくバレエの教材だったと思うのだけどはっきり覚えていない。が、それを知って試してみたら、あら不思議、手が向こうへと引きに抜かれて腕が長くなる・・・ 。

とても簡単な実験なので試して見ると面白い。

自分の目の前に片腕を上げ指先まで伸ばす。

まずは自分の中指の先端を見る。

その後今度は、手首を見てその先にある中指を見る。

腕がぐぐっと引っ張られたように少し長くならないだろうか?

 

 

  この目の使い方は太極拳の凝神、収眼(両目を眉間の奥で一点に集めそこに収めておく)を”軽く”やったもの。

  目がダイレクトに指の先端を見てしまうと、腕は棒のように固まってしまう。

  しかし、手首を経由して指を見ていくと、目線の伸びと連動するかのように、手首から先が水を吸ってぐんと立ち上がる切り花のように内側からぐんと伸びる。手首から先が伸びると腕自体も引っ張られて伸びたようになる。

  目線の伸び=意の伸び、は手首から指に向かう”気=エネルギーの流れ”をもたらしているようだ。

 

 太極拳では凝神をした後、その眼で腹の丹田を内視する。

 外界を見る時は ”丹田越しに”外界を見る。

 丹田越しに指を見た場合、”手首越しに”見るよりもその目線はずっと長くなる。

 

 ここで注意。

 ”手首越しに”指を見る、というのは、手首と指の2点を見ているのではない。

 この”越しに”という言い方が妙なのは、そこに、手首を見つつそこから指まで線状に目線を引き伸ばして行く様が含まれているからだ。

 目線が一点(例えば指先)にある場合は、目線に伸びはない。目線に伸びがなければエネルギー(気)に伸びがない=動かない。目線に伸びを作るには、2点間、A点→B点の間を、目線が最初のA点を外すことなくB点に移動していくことが必要だ。A点からB点に移るにつれ視野は拡大していく。点ではなく、線に、そして面に視野は広がるべき。

 

  太極拳を学ぶ時に、目は手を見るように、と教わって、本当に目で手を追っているような人を多く見かけるけれども、それでは全く凝神ができていなくて丹田を内視することもできない。目線に伸びがないから身体も精密なお人形さんのような動きになってしまう。

 

 両目を一点に集めたところが上丹田。”神”と呼ばれるエネルギー=意のエネルギーの場所だ。

 この”神”(意エネルギー)によって気(肉体を動かすエネルギー)が動く。

 神の拡大は気の拡大を導く。(文章で書くと難しいことのようだけど、注意して私たち自身の身体を観察していると、興味があることに出くわした時パッと目が開いて視野が広がり、とたん身体のエネルギーが湧き上がってくることが分かる。以前養護施設に入っていた義父をお見舞いに行った時、たまたまその日にサンバを踊るお姉さんたちが慰問に来ていたのに出くわしたのだが、露出度の高いサンバのお姉さんたちが部屋に入ってくるや否や、それまでしょげたように俯いていた老人男性達の顔がパッと持ち上がり、それまでにはなかったほど目が輝いて、とても嬉しそうに身体を動かし始めたのを覚えている。消えていた電球に火が灯る、その様を”出神”(神が出てくる)と表すが、それによって身体も元気になる、神→気、の現象を目の当たりにしたのでした。)

 

 目線が一点集中だと”伸び”や拡がりがないので、身体の伸びも現れない。(だからパソコン作業をすると身体が固まるのだと理解。)

 身体の伸びには目線の伸びが必要のようだ。

 それは運動も然り。もし身体の内側のエネルギーの伸縮がないのに外側の身体(筋骨皮)を伸ばしたり縮めたりさせるのは外側の身体に負担をかけてしまうだろう。枯れ木を一生懸命伸ばしたり縮めたりしていたら折れてしまう・・・まずは水や養分を与えてしなるようにしなければならない。

 

 手首越しに指を見る

 たったそれだけなのだけど、その含意はとても深い。

 実際には、その”手首越し”を肘越し→肩越し→ダン中(胸)越しと距離を広げて行き、最後に”丹田越し”に指が見れたなら、見るのと同時に身体は拡がってしまっているだろう。節節貫通も実現してしまっている。

 なぜタントウ功で丹田の内視をひたすら躾けるのか・・・実は、動いた時にその内視が身体の伸びを作るのだとはこれまで気づいていなかった。大発見!

 

 と、究極的な現象はともかくも、手首越しに指を見る、面白いので是非、試してみて下さい。

2020/12/4 <どうやって腕を振るのか?から学ぶ>

 

   主人が気に入ってみているマラソンのYoutubeチャンネル。喋りが芸人のようでテンポが速い。いかに速く走るか、と考えている人だから喋りも速いのか?、なんて思いながら覗き見してみたら、あら、また面白いことをやっている。

 

 動画では、速く走るには腕の振りが大事、腕の振りによって脚が前に出やすくなる、という腕→脚の連動を前提として、ではどのように腕を振るのか?を解説していた。太極拳的に言い換えれば、上が下を引っ張って上下相随をさせる時(例えば白鶴亮翅)、腕をどう使うのか?という問題。

 

 

 

 

 詳しくは上の動画を見てもらえばよいと思うが、ざっくりまとめると、

①腕を肩から振るのではなく、”上半身全体”で振ること。

②しかし上半身全体で振るといっても、ゆさゆさ揺らしてしまってはエネルギーがロスする。厳密にいえば、”背骨の中心から”腕を振ること。

③ではどうやって背骨の中心から腕を振るのか?

 ポイントは3つ 体幹の安定、肘はコンパクトに90度、 拳はグッと握ってリラックス

 

 これまた太極拳の要領と全く同じ。

 表現の仕方は違うけれども同じことを言おうとしているのが分かる。

 ”肘の角度が”コンパクトに90度”→肘が垂れると腕が体幹に連動しない(二の腕=肱が広背筋のスイッチをいれられない)。(太極拳の場合は様々な腕の動きがあるから肘の角度は様々だが、それでも肘がコンパクトに操作できなければならない。)

 ”拳はグッと握ってリラックス”→太極拳の空拳になるが、空拳の意味を改めて気づかせてくれた表現。いったんグッと握ってリラックスさせると二の腕と広背筋の連動がはっきりする!(なぜか分からないけど 苦笑)

 

 <注:以前メモで書いたが、二の腕=上腕の小結節に広背筋が付着している。肘が落ちると付着付着部の筋が緩んで上腕を動かしても広背筋がうまく作動しない。感覚的には、肘が張って二の腕の皮膚が張っていると広背筋が作動する。二の腕が弛んでしまうような腕の使い方では広背筋が起動しないということ。逆にいえば、広背筋、胴体、体幹から腕を使っていれば二の腕は弛まない、ということ!>

 動画のちょうど真ん中あたりに上のエクササイズがあるので是非試してもらいたい・・・

 太極拳は最初から最後までこのエクササイズで起こる胴体のタイトな感覚がある。この締まり、効いた感がないと太極拳とはいえない。ただの中国風体操になってしまう。

 

 そして、このエクササイズではへその向きを固定して上腕を動かすことによって体の捻りを感じさせているが、この時の自分の体を更に詳細に観察すると、確かに体は捻られているのに体の奥の中心は外側の体の捻りに負けまいと踏ん張って止まっているのが見えるはず。捻られいるのに捻られていない。簡単に「体をツイスト♪」と言っても、そのツイストは更に内側の不動点を前提としている。体を雑巾絞りのように捻ってはいないのが分かると思う。

 

 このあたりが太極拳の動きの核心で、最終的にはその意識は不動点に収まるのだろう。

 

 両腕を重ねて肘を捻る動き、これを何度も繰り返して次第に高速になったら、あら?これは卓球の速打ちだ!と昔の懐かしい記憶が蘇ってきました。皆同じ動きだった・・・

 

2020/12/3 <太極拳の身体の使い方を太極拳の外から見る試み>

  

 今日一部の生徒さんに紹介して反響の高かった動画。

 まさか前屈に首が関係しているとは・・・と、私も最初驚いた。

 これは筋膜リリースの理論に基づいた手法だが、身体の背面、足裏から頭頂までは膀胱経が通っているから、このラインを緩めたら前屈がし易くなるのは何も不思議なことではない。ただこの手法が面白いのは、ただ摘んで持ち上げるだけ、というところ。

 硬いスジをひたすらがんばって伸ばすようなストレッチ(拉筋)だと、ともすると一部分のスジだけを無理に伸ばして痛めてしまうこともある。圧腿で膝の裏が伸びないからと無理やり伸ばす前に、膝の裏が伸びないのは膝の裏だけの責任ではないことを知る必要がある・・・これも周家一家の一つの現れ。

 

 筋膜については私も完全に理解はしていないのだが、検索をすると下のような図がイメージ図としてよく挙げられている。(https://be-loved-by.jp/menu_category/releasecutter/ 及び、https://estehigasiku.nagoya/menu/body.html より)

 

 上の右の図を見ると、まさに『周身一家』ではないか! と思う。

 

 太極拳には身体を正しい位置、状態へと調整する”整体”の要素が大きく、経典にはそのための要領が逐一記されているのだが、その言葉は抽象的で分かる人にしか分からない。(できるようになって初めて分かる。できないうちは分からない。できてから分かったのでは意味がないのでは?という議論もあるが、できるようになった時に、ああ、これがあの△△(例えば含胸)なのだ、とチェックするために経典があるとも言われている。ガイドブックの要素よりもチェックブックの要素の方が大きい。)

 『含胸』だの『抜背』だの、分かるようで分からない言葉のオンパレード。

 『松』はその最たるもの・・・

 

 私が子供の頃は足腰を鍛えるためにとすぐに運動場でうさぎ跳びを何周もさせられたけれど、今ではそんな非科学的な量だけをこなすような練習をさせる指導者はいない。身体についての研究が進みますます合理的なトレーニグ、エクササイズが編み出されている。

 上の太極拳特有の言葉のように見える語句も、今では他の分野で別の言葉で、もっとわかり易く説明されていることも多くなっている。そのようなものを参照するのも助けになるのではないかと強く思う今日この頃。

 太極拳を学ぶからといって太極拳だけ見ていては逆に道を逸れてしまいそうな気がする。一生懸命練習しているうちにいつの間にか大会で良い成績をとるのが目標になってしまったりしたら太極の道から逸れてしまってはいないだろうか?

 たまにテレビで小さい子供が、将来の夢は?と聞かれて、「○○のオリンピック選手になることです!」と答えたりするけれど、まあ、子供なのになんて枠に嵌められた小さな夢を語るのだろう?と逆に可哀想になってしまう。幼い頃から私たち大人達に俗なことを吹き込まれたのね・・・と。

 ということで、今は太極拳の外から太極拳の動きを見るような練習をしています。少人数の生徒さんをモニターに使って。

 成果があればまたメモに書きます。

2020/12/2 <周身一家、整勁、靠、上下相随、腕と脚の連動>

 

   太極拳で『周身一家』(全身で一つの家になる)ということは、『節節貫通』(全身の関節を貫通)して身体の内側の力(内勁)が分断されずに丸ごと全体の力(『整勁』 whole energy)になるということだ。

 といってもこの状態は完成形、目標であって、なかなかその境地に達するのは難しい。

 たまに調子の良い時に脚も腕もなくただ自分が思った通りに自分の身体が動く、という感覚があったりしても、それも長続きはしない。ふと気づくと相変わらず、膝がこうだとか、腰がこうだとか、目線はこうだとか、パーツパーツを意識している自分がいて、自分と自分の身体が分裂していることに気づく。

 家には今ちょうど5ヶ月になった子犬がいるのだけど、その子犬の走り方を見ていると、おお、これこそ、『周身一家』と思ってしまう。小さな弾丸のように走るのだ。大きな犬がわっさわっさ揺れて走るのとは全く違う。脚も腕もなくてただ突進!このまま体当たりか?と思うような走り姿。イノシシに近い・・・ 
 

 『周身一家』は言い換えれば『一動而无有不動』(一つ動けば動かないところはない)で、これを『整勁』という。

  鶏が歩く時に首を前後に振るのを止めたら鶏は歩けなくなってしまう。

  一つの歯車が動けば全部の歯車が連動して動いてしまう、そんな構造をしているのが本来の身体だ。

 

  イノシシとか『整勁』から思い出したのは靠。体当たり(靠)は太極拳の八法の一つだ。太極拳が接近戦に強いのはこの”靠”があるからだ。師父も言っていた通り、空手だと相手に抱きつかれたらなす術がないが(もちろんそれは空手のルールに反するのだけど)太極拳であればわざわざ相手に接近して相手の蹴り技を無効にして自分が靠をすることも可能だ。

   そして、靠は”体当たり”だけでなく、胯の靠 頭の靠(頭突き)、膝の靠、スネの靠、肩の靠(肩でも部位によって数種類)、背中の靠(背折靠)、胸の靠・・・と相手に接した場所はどこでも靠ができるようになっている。というよりも、相手に接した場所はどこでも靠ができる、発勁ができる、というように身体を作っている。手が相手に接すればその靠は拳や掌になり、足が接するならその靠は蹴りになる。つまり、拳も肘も蹴りも広い意味での靠の一種に過ぎないということだ。

 

  前回パリに滞在していた時、混んだメトロの中で私がドアに向かって立っていたら私の背中に後ろからたいこ腹を突きつけてくる男性がいた。それは私が師父から靠を習って間もない頃。今こそ靠の出番♪、と私は背中でその男性のお腹に靠をしたのだが、男性は私の靠に対し、後ろから優しく腹の靠で返してきた。なぬ?と私は再度背中で靠。そしたら男性も負けずに腹で返してくる。信じられない!と私はまた背中で靠、男性も腹で靠。これを数往復した時、やっとメトロは次の駅に止まってドアが開いた。私は少し腹が立ってここで降りてしまおうとドアに向かいながら振り向いたら、なんと、そこには顔を赤くした初老のおじさんが、私にグッド👍と両親指を立てて笑っていた。うわっ、ただ遊ばれてた・・・私の靠はあのたいこ腹に対してはマッサージ程度のものだった?と、私も恥ずかしくて思わず笑ってしまった。日本だったら痴漢騒ぎになるのかもしれないのにこっちではジョークになってしまう?

 

  いや、それよりも、今思い出すと、靠であのおじさんを弾き飛ばすとなると、相当な発勁をしなければならなかった・・・靠だけで戦おうとしたらまさに整勁(丸ごとの力)対整勁。おしくらまんじゅうでだれが勝つか、そんな素の力比べになってしまう。

 

  が、太極拳の根底にはその素の力があって、それを土台にして技(の妙)が成り立っている。(一に功夫、二に胆力、三に技巧、と言われる時の”功夫”が鍛えて身につけた整勁。)

 パンチ(拳)にも靠の力を乗せているのが太極拳の拳の特徴で、だから拳の威力の7割は下半身だと言われるのだ。

 

  周身一家になるには、上下相随を達成しなければならないが、腕は足が地面を推さない限りは全く動かないし、脚は腕が動かなければ動かない。足が先か、手が先かと頭で考えると混乱してしまいそうだが、”力は足から、手は力を導く”と思っていれば問題ないはずだ。(『力于脚跟』『梢领中随根节催』)

  

  具体的にいえば、

  腕を回した時、動かした時に脚が動いてしまいそうになる(けれども足で地面を踏ん張って頑張って動かさないでいる)なら上下相随。

  腕を回した時、下半身が石のようにビクともしないなら上下は分断している。

  脚を動かした時も同様。脚を動かしたら腕が動きそうになってしまうのが自然(上下相随)。

  脚を動かしているのに、肩甲骨がピクリともしないようなら(歩いているのに肩甲骨が全く動かないなら)上下は分断している。

 

  腕と脚が連動するかどうかから動きをチェックするのも一つの練習方法。

  どうすれば腕⇄脚になるかを探っていけば、太極拳の様々な要領(沈肩墜肘 含胸抜背 塌腰松胯・・・)そして腹・腰=丹田、に行き当たっていくだろう。

 

2020/11/28  <前腕骨間膜をストレッチすると指に気が通る 回外と回内>

 

  前腕の橈骨と尺骨の間の膜をストレッチさせるには”手首を開く”ようにする。手の指を開いてしまうと手首が締まってしまうからそこは注意が必要。

  楊式では掌が多様されるが、掌でも拳であっても手首を開いて前腕の骨間膜を広げて肩から拳まで捻れなくズドンと貫通するようにする。掌根で発勁できないような弱々しい掌で打っても痛くも痒くもない。手首を開いた時に、掌根のジクソーパズルのような骨達(手根骨たち)がバラバラになって隙間が開くような感じになったら自然に5本の指は開いてしまう。

 

 右上の手のイラストは「いちあっぷ」(https://ichi-up.net/2017/094)に載っていたものだが、イラストを描く人たちはこんなにも人体構造を勉強し把握しているのかと脱帽!私はただただ感謝して参照させてもらっている・・・

 ここで注釈が書かれているように、指の骨は手首を起点に生えている。手首を広げれば放射線状に五本の指は広がる。私たちが間違えがちなのは、手を広げようとして指を広げがちなこと。違いは歴然。

 

  なぜ前腕の骨は2本あるのか? それについては左の図を使って説明してくれているブログ(https://ameblo.jp/lymphcare7shalom/entry-12346246357.html)で簡潔に説明されている通り。2本ないと手首が回転しない。尺骨が肘関節に接着していて、橈骨は尺骨を跨いで回転するような感じになっている。

 前腕を操作する時に尺骨を基軸にする、というのもそこから納得がいく。

 

  親指を外側に向けるようにすると橈骨と尺骨は平行・・・回外

  親指を内側に向けるようにすると橈骨と尺骨は交差・・・回内

 

  太極拳で言うと、順纏は回外、逆纏は回内になるが、逆纏で回内になる時も完全な回内にならないように肘の中や脇の中を開いて隙間をとる(上腕は内側で内旋したようになる。 隙間は死守する。

  こんな使い方はいろんなスポーツやリハビリなどでも指導されていて太極拳に限ったことではないようだ。

オレンジページのネットには左のような古武術の知恵を使って重いものを保つ術が紹介されていた。

理屈は同じ。

 

https://www.orangepage.net/daily/334

 

”手首を返すと、肩甲骨が開き背中に適度なハリが生まれる”

 

→まさに太極拳の腕の作り方と同じ。

 

*骨間膜の機能について

https://physio-fukuoka.jp/startle/archives/6470 より)

『骨間膜の主な機能は橈骨を尺骨に結びつけ、いくつかの手の外在筋に対して安定した付着部を提供するとともに上肢への力の伝達を担うことです。』 上肢への力の伝達! 手首ー肘ー肩 骨間膜はここまで繋ぐ。前腕だけ=小手先で動かないのが身体を崩さない秘訣でした・・・気をつけねば。

 下はアレキサンダーテクニックを使ったマウスの持ち方。

 その他、武道、投球、・・・いろいろあるが、日常生活の細々とした作業で意識的に練習して捻れのない腕の使い方(ということは腕に止まらず身体の使い方になってしまうのだが)を癖にしてしまうのが良さそうだ。

 

 書き終わって、3日前のメモの4人のピアニストの写真を見たら、巨匠二人(ホロヴィッツとルービンシュタイン)の腕は捻れがない。ランランは回内のまま弾いてるような(だから手首がゴツゴツ硬い)。残りの女性は左腕が捻れてる・・・というように、腕の捻れが全くないのは巨匠級かも。

2020/11/28 <前腕から通す ねじれのない腕 骨間膜を広げて使う>

 

 今日のzoomレッスンでは”腕をどうやって作るか”、ということに焦点を当て、腕が作れてしまえば、体幹、腰、腹、脇、肩、すなわち、上半身が整ってしまう、というところまでもっていくのが目標だった。いろんな側面、切り口から試してみたので毎度のことながら生徒さんたちはついてくるのが大変だったかも。

 ちょっと心配なので、私も自分が何をやったのか振り返ってみた。

 以下メモ。

 

①前腕:尺骨の手首側の先端と肘側の先端を意識することによって、前腕が捻れるに真っ直ぐ使えるようにする。手先まで腕を真っ直ぐに伸ばして、尺骨を軸にして前腕を回転させると上腕も連動してひっくり返る。

手・前腕・上腕が、あたかもフライ返しでホットケーキを裏返すようにひっくり返るようになる→肩関節から腕が捻れずに回転→これが太極拳を含めた身体操作の正しい腕の使い方の基礎になる。(やっていることは前腕の骨間膜を適度にストレッチして腕を使うということ。スマホやパソコンで腕が捻れて腕がだるくなったりする人は前腕が捻れて骨間膜が固まってしまている。テニス肘、腱鞘炎の原因にもなる。女性の腕に捻れが多いのは細かな家事が多いからかなぁ)

 腕が真っ直ぐな状態で肩から上腕、前腕、手がズドンと一本の木のようにすることができなければ、肘や手首を曲げた状態で使った時にすぐに”節節分断”になってしまう。

 太極拳は関節を緩めた状態で始めるけれど、その前提として、まっすぐ伸ばした時に脚も腕も突っ張れなければならない(以前のシュナウザー犬の立ち方を参照)。

 脚も腕も突っ張れると胴体が四肢になる。

 そこからその突っ張り感が失われないように恐る恐る手首や肘や肩や背骨、などなどを緩めていくとタントウ功の形になる。

 

 ある程度練習が進んだら、丹田→末端 から、末端→丹田、も組み合わせて練習するのが効果的。トンネルを開通させるために、両方向から掘っていくようなもの? 

 

 他の点についてはまた書きます。

 

 その後 前腕について言い足りなかったこと、撮りました。

2020/11/25

 

  関節を伸ばす時は、もちろん筋が伸びるのだが、その時に意識がスジを伸ばすところにあると、身体の内側の操作ができない。

 外から見ると同じような関節を伸ばす運動であっても、本人がどこを意識しているかで身体の作用する箇所が変わってくる。

例えば、右のように血圧を測る時のような腕の形で、そこから肘を曲げていく時、上腕二頭筋を鍛えて力こぶをつけようと思えば、その箇所を意識して肘を曲げればいい。もし前腕を鍛えて太くしようと思うなら意識を前腕の筋肉に置く。

女性は上腕の力こぶも前腕の太さも要らない・・・と思ってなるべく筋肉を使わないように肘を曲げようとするなら、関節の中を意識してそこをゆっくり曲げていけばいい。速く動かすと筋肉が作用してしまうから、ゆっくり注意深く動かす必要がある。

  関節の中から動かすと全く筋肉は必要ないのか、というと筋肉が全く動かないのに身体が動くなんてことはあり得ない。身体の奥の方で動かそうとすればするほど、身体のコアに近い、自分が意識的には動かせない筋肉が作動することになる。

   

  今では様々な身体のコアを鍛える方法が紹介されているが、太極拳ではそれを「意」を使って「松」することで行おうとした。

 「松」することでお手軽に使える大きな筋肉の働きをブロックして、「意」で内側を見ることでコアに近い部分を作動させる。

 「松」だけでは力なくだらけたようになってしまう。

 「意」でしっかり内側を刺しておく必要がある。

 

  「意」はどう働かせるのか?

  これは目、上丹田と大いに関係があって、凝神から始まってそれを腹の丹田につなげるのだけれども、これがちゃんとできている人はどの分野であってもマスターの域に達しているのではないかと思う。外形的には、百会がぶれない、真っ直ぐ立てる、目が泳がない・・・。

 文章よりも映像で比較するとすぐに分かると思う。

 

  ノリで動いたり、内側に入り込んで酔って動いてしまうと(即ち、無意識的に動いていると)頭がブレる、目がブレる、目が泳ぐ。

 頭を振ると深い意識は使えない。内側にこもって前方を見るのを忘れると酔ってしまう。脳脊髄液は脊髄を通って仙骨まで降りていき循環するようだけれども、マスターたちのお尻はしっかりどっしりしている(立った場合は足がしっかり地面を踏んで仁王立ちになっている)。ここは大きなポイント。下半身がどっしりしていないと頭や目はブレてしまう。

 

 瞑想は百会がきちっとキマらないと瞑想にならない。座禅で頭がブレていたら頭の中は妄想だらけか眠気に苛まれている。

 演奏で言えば、頭(目)がブレるときっちり内側を見られないから、音の粒の表面を聞いて演奏することになる。すると聞いている側も音の中には入れない。ただの音の流れだけを聞くことになる。一方、音の粒の内側を聞いている人の音はアルデンテのよう。内側と外側、両方とも聞くことができる。意識が内側と外側のちょうど良いバランスにいる・・・瞑想と同じ・・・外から見ると目線は鼻先に近くなる。

 

 

 スジの意識なのか、関節の内側の意識なのか、

 音の表面を聞くのか、音の粒の中を聞くのか

外の意識で外を操るのか、内側の意識で外を操るのか、

 

 太極拳の練習は形から始まって気、そして意識へと進んでいく。

 

 バッハのシャコンヌはやはりバイオリン!と見ていたら、ああ、はやりハイフェッツは姿勢からして偉大なるマスターだ。馮志強老師と同類。上のホロヴィッツも同類。ハイフェッツとホロヴィッツと馮老師の夢の共演♪ なんてないのだろうか?

 それに比べ、五嶋みどりは内側に入り込みすぎてちょっと不安。花が一旦開いて、それから頭を垂れてしぼんでいく感じがしなくもない。芸術家にありがちな入り込み過ぎなタイプ。上のランランは心配無用?ノリノリでやっていくかしら? (ピアニストにはうつ病とか精神病がありがちだが、オペラ歌手には滅多にいないと聞いたことがある。やはり観客に向かって真っ直ぐ立って堂々と歌うというのは外向きで陽気な要素がある。ピアノやバイオリン、俯いて観客を見ずに自分の世界にどっぷり入り込んでいくと精神的には不安定になっていく。だから、そういう意味でも姿勢はとても大事。どれだけ内側に入り込んでも外との関連を外さない。紐の切れたタコのようになるとここに戻ってこれなくなっておかしなことになる。瞑想でおかしくなる人のパターンと同じ。)

 

   最後はやはり大好きなハイフェッツ。立ち姿も太極拳のマスター並。足がしっかり地面を踏んで虚領頂勁。 こんなマスターと生で会ってみたかった・・・

 

2020/11/24

 

  関節に息(気)を通す、という意識はとても大事で、これによって、同じ動きが全く別物になってしまう。

 それは何も太極拳に限ったことではなく、ヨガやバレエ、その他スポーツ、楽器演奏、料理人、書道家、お茶、お掃除・・・およそ身体を使うもの全てに共通するものだ。いわゆる達人、名人と呼ばれる人達は、身のこなしがシンプルで力みがない。「松」の境地なのだ。力んで”凄さ”を見せる人達もいるけれど(最近の指揮者とか?)、それは、名人ではなくてパフォーマーなのだ。

 

 私が最初中国武術に興味をもったのは少林寺のリーリンチェイのファンになったからだが、実際に習い始めてしばらくは派手な拳法が好きだった。内家拳は見ても何が凄いのか分からなかったしカッコいいとも思わなかった。その価値観が変わるには10年弱必要だったと思う。そうすると、音楽や絵などの芸術、その他の見方も変わってしまった。

 見たいのは、味わいたいのは、その人の内側、根底の途切れのない意識の透明感のようなものなのだ。表面に現れ見えるものはその意識の現れだ。

 

 内側の意識が身体に現れるまでには相当な修練を積む必要があるが、その修練は”どうやって身体を鍛えるか”、ではなく、”どうやって無駄な動きをなくすか”、”どうやって癖を取り除くか” という消去法のようなものになるのではないかと思う。無駄を落としてシンプルにするうちに身体のコア、内側が鍛えられてしまうのだろう。

 だから、太極拳では、「松しろ」と言うのであって、「丹田に気を溜めろ」とは普通は言わないのか? 松すれば丹田に気が溜まる。松するということは余計な力を抜くということ、削ぐ方向だ。もし、「丹田に気を溜めろ」というと、力んで丹田に気を溜めようとして、結局、隙間が見つからなくなってしまう。・・・・このあたりが、老子の道徳経っぽくないかしら? ・・・そこには自分の力で攻めまくってもどうしようもならない、ギブアップして手放して自然に遵う(太極拳であれば身体に遵う)、自我を手放す、そんな面が隠れている。

 

 

  と書いていたら、随分前の話だが、一時ハマって毎日見ていた書道の動画のことを思い出した。田蕴章という書家の『毎日一題毎日一字』という動画だ。当時は优酷でしか見られなかったけれど今ではyoutubeでも見られる。話の内容もとても豊富で道具や書き方だけでなく、歴史に残る中国の書家の逸話や現代の書家の問題点、中国から日本の書家をどう見ているか、なども含まれていた(といっても全て忘れてしまったが・・・)。

 で、何よりも私が好きだったのは、この老師の筆先の動き。目が吸いつけられて画面を食い入るように見ていた・・・なんて美しいんだろう、と。筆先が生きてる。筆先まで気が達している。濁りがない。

 中国の書法を知って気づいたのは、本当は書道はもっと自由で生き生きした生命力溢れるたくましいものだった、ということ。私が小学校で習ったものは格式張っていて面白みがなかった。形の均整がとれていても勢いがなくスカスカなものは美しくはない、字も気勢なのだ、と知った時、グンと興味が増した。

 動画の第1課で、書道は『永』の字に含まれる八法から始まる、と知って、墨と硯を用意して、第一画目の点を毎晩書いていたこともあったなぁ。老師のような三角の点を毎回同じように書くことはできなかった。 今ならもう少しマシかなぁ? 

 太極拳と書は太極拳とピアノよりも近距離にありそうだけれども、道具にハマると散財するようです(苦笑)

  

『今日のメモ』毎日の練習は気づきの宝庫。太極拳の練習の成果が何に及ぶかは予測不可能。2012年9月〜のアーカイブは『練習メモアーカイブ』へ

YouTube『スタディタイチ』チャンネル→こちら

 

練習のバイブル本

 『陳式太極拳入門』

       馮志強老師著

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2012/3/20

日本養生学会第13回大会で研究発表をしました。

発表の抄録、資料はこちら