2017年1月

2017/1/27 <中医学による活力の説明>

 

 思いついたこと、メモをグループラインに投稿するようになったら案の定、こちらに書くインセンティヴが減ってしまった。

 ただ、ラインへの投稿はあまりにもお手軽にできるため、ただのメモ、つぶやき、にしかならず、読んでも良く理解できない結果に陥りがち。

 中医学では、一つの事項を一瞬にしてそれを他の事項と結び付けるような脳の働きを”意”と呼びそれを”脾”と結び付けているようだが、それだけではアイデアは流れてしまうので、それをしっかり引き留めて(これが腎)、論理的に並べる作業も必要になる。

 

   と、ここまで書いて、以前、中国のテレビ番組で見た国学者による黄帝内経の講義で、中医学による人間の”活力”についての面白い説明があったことを思い出した(”思い出す”力は”意”の働き・・・だったはず)。それにしても”活力”自体の意味が分かるようで分からなかったなぁ~、ともう一度あの講義の該当部分を聞いてみたい衝動が生まれてきた。

 

 <ここでしばし中断。講義の該当部分を必死に探し出す。中国のテレビ番組には中医学に関する本格的な教養番組が多い。国家の統制が効いているから、番組の質が一定以上に保たれている。そして国の威信を向上させるような、伝統文化高揚目的の番組が数多く組まれている・・・・と、以前の記憶を頼りに検索をする。あった!、と早速見てみる。今聞くと前聞いた時よりも断然よく理解できる。折しも、『精気神』の『精気』を掴んだら『神』が掴めそうになり、ここで理論的な説明があれば感覚と理論の両面から挟んだすっきりした理解ができるのに、と『神』の説明を再度おさらいしようとしていたところだったので、冒頭から『神』の話があって、そのまま引き込まれてしまった。>

 

 以下自分なりのメモ。

 

 (なぜ黄帝内経を学ぶのか?のイントロとして)

 中医学では人間の”活力”といった(通常なら身体の臓器と関係ないような)ものまでも身体、内臓に引き付けて理解するのが中医学の最大の特徴。

  

  人間の”活力”を構成するものは次のような力(能力)。

  これらは臓器に宿る力で学習して得られない。本能的な問題。

  そして個別の力(能力)の説明あり。

 

 ➀魄力(≒迫力?)

  ・『魄』は肺の神。

       『神』とは精と気が満タンになったあとに外にあふれ出て現れるもの。

          言うなれば、光焔(燃え光る炎)の光芒(細く長く伸びる一筋の光)

   (『神』は冒頭写真の太陽柱で上に真っ直ぐ立ち上がる光の筋のようなもの?

     →なら神の元の精・気は太陽本体?。精が核、その周りが気、そして光線が神?

     →これはすごい!

      人間の核の構造もこうに違いない!、と感動して、また脱線しそうになる・・

      ここは美味しすぎておあずけ。今は深入りせず奥にしまっておくことにする。)

  ・『力』は腎精(力は腰から来る)

 

 ②精神(日本語でいう元気にあたる)

  ・『精』は腎の最も基本的な構成物質

  ・『神』は心の神(明)(心の神が明らか=現れたもの)

  ・すなわち『精神』は心と腎の相交わる能力 その能力の外に現れたものが精神

 

 ③胆識

  ・『胆』は胆精、胆気。決断力

 

 ④意志

  ・『意』は脾精の外に現れたもの=脾の神

     『脾』は運化(化学変化をさせて運ぶ)

          →関連付ける能力 脳の機敏な働き(記憶ではない)

  ・『志』は腎の神(明) 腎は収蔵(蓄える)を司る

  ・『意志』は運化能力と収蔵能力を合わせた総合力

    『意』がよく働く=閃きが良い

    『志』意(アイデア)を定住、掴んでおく力

   

 ⑤聡明さ

   ・『聡』耳で理解する →腎の気は耳へ通じる:腎の働き

   ・『明』目で理解する →肝の気は目へ通じる:肝の働き

   すなわち聡明さは腎と肝の問題。

 

 と、すべては五臓の働きに帰結するようになっている。

 普段何気なく使っている”明”の意味を再認識。”聡”は耳・・・、漢字は本当によくできている!

 

 

 ・・・今日は本当は今日の白熱したレッスンのことを書こうかと思ったのだけど、書き始めたら流れてしまった。これは『志』:腎の力が足りないということのようですが・・・。

 

 

2017/1/18 <ようせいフォーラム2017の案内 参加申込書>

 

  日本養生学会実行委員会より、今年3月4日に開催される「ようせいフォーラム2017」の案内のHP上の掲載に対し積極的な推奨を得ました。

 呼吸、調息法は太極拳の練習においても非常に大事なものですが、あまりに大事でかつ微妙なものであることから、通常は”自然に”と言うにとどめることが多いのが実態です。

 私自身今回の講演依頼を機に、改めて呼吸を意識的に見ていますが、自分がどう息をしているのか捉えるのも難しければ、それを言葉に出して表すのはさらに難しいというのを実感しています。毎日新たな気づき、発見があり、今は呼吸についてパンドラの箱を開けた状態のようになってしまいました。大会までに収拾して本番ではまとまりの話ができれば良いなぁ、と思っています。

 フォーラムは誰でも参加可能ですので(非会員は1000円の参加費)の、興味のある方は最後の申込書のフォーマットを使って直接事務局へ郵送又はメール連絡をして下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

                                  ようせいフォーラム2017のご案内(第2報)             

 

 

 

 下記の通り、日本養生学会第18回大会(ようせいフォーラム2017)を開催いたしますので、ご案内します。

 

 日本養生学会が目指すところは、人間の生(命、活)を養う考え方と方法を追求し、それらを現代社会に活かすよう努めることです。本学会では、その根本となる呼吸について考えることにしました。呼吸の追求は、未来の日本と本学会への礎になると信じております。

 

 

 

【主 催】 日本養生学会

 

【期 日】 平成2934日(土)~5日(日) 

 

【会 場】立教大学・池袋キャンパス 5号館&ポール・ラッシュ・アスレティックセンター

 

               171-8501 東京都豊島区西池袋3-34-1

 

               JR各線・東武東上線・西武池袋線・東京メトロ丸ノ内線/有楽町線/副都心線

 

               「池袋駅」下車 西口より徒歩約7

 

【参加費】 3,000円(正会員)

 

      1,000円(学生、非会員)

 

大会役員】大会会長     三本松政之(立教大学コミュニティ福祉学部長

 

実行委員】大会実行委員長  天野勝弘(スポーツパフォーマンスデザイン

 

      実行委員     佐藤節子(埼玉女子短期大学)

 

実行委員     平工志穂(東京女子大学)

 

実行委員     中谷康司中央大学

 

実行委員     越部清美法政大学)

 

      実行委員     金田洋子(表千家茶道教授)

 

      実行委員     水原佐和子(アルファ医療福祉専門学校

 

      実行委員     石水極子(東京大学非常勤講師)

 

      実行委員     古屋ひとみ

 

      

 

 

 

【大会テーマ】 「呼吸で養生(ようせい)

 

呼吸なしにひとは生きていられない。今日では日常生活での動き、からだづかいも変わり、うまく呼吸がうまくできない人が増え、心身の健康を損なっていることも多いといわれる。古くから中国養生法、日本養生法のなかで息を静かに、心をこめて回すことによって心を自在にコントロールでき、さらに、健康につながると呼吸法が多く取り上げられてきている。また、武術、スポーツ、舞踊、声学、演劇等の分野でも重要視されている。

 

今回のテーマは「呼吸で養生(ようせい)」を取り上げ、日頃、私たちはどのように呼吸しているのか、呼吸の仕方(胸式呼吸、腹式呼吸、逆腹式呼吸)によってからだ、こころにどんな違いをもたらすのか、呼吸法を考え、呼吸法の実践法を学びましょう。

 

 

 

【プログラム】

 

第1日目 34()

 

10:00~12:00       常任理事会 5号館2階・5212教室

 

12:3013:00     受付 5号館2階・5222教室前

 

13:0013:10    開会式 5号館2階・5222教室前

 

開会の辞:天野勝弘(スポーツパフォーマンスデザイン)

 

大会挨拶:横沢喜久子(日本養生学会理事長)

 

13:1014:00  特別講演 5号館2階・5222教室) 司会:中谷康司中央大学

 

                   藤巻弘太郎(ぶばいオハナ歯科医院院長・日本体育協会スポーツドクター)

 

「歯と養生(ようせい)

 

歯、特にかみ合わせが姿勢や呼吸に及ぼす影響を中心に、自律神経活動と歯、運動と歯との関係についてもお話を伺う。

 

 

 

 14:10~17:30 シンポジウム「呼吸法を考える ~息すること、生きること~」 5222教室

 

 司会:佐藤節子(埼玉短期大学)、天野勝弘(スポーツパフォーマンスデザイン)

 

 

 

第一部:呼吸を実践する 14:1015:30

 

  梅木潤子(呼吸研究家・実践家)「腹圧からみた逆腹式呼吸の実技」

 

吉野一郎(丹田呼吸指導者 フルート・声楽インストラクター)「発声・演奏における呼吸法」

 

 北川延江(太極拳から学ぶ会)「太極拳における呼吸法(実技)」

 

 (休憩15)

 

 

 

第二部:呼吸法を考える 15:4517:00

 

久保田武美(医師)「丹田呼吸を科学する」20

 

 北川延江(太極拳から学ぶ会)「太極拳における呼吸法(講義)」20

 

 指定発言  中谷康司(中央大学) 他2

 

質疑応答 20

 

 

 

 第三部:これまでのデータ紹介(一部は一般発表で) 17:0017:30

 

  狐崎晶雄(理系研究者)「身体重心位置変化から位置づける呼吸法 方法論」10

 

  平工志穂(東京女子大学)「逆腹式呼吸中の心拍変動からみた自律神経活動」15

 

 まとめと連絡

 

司会:天野勝弘(スポーツパフォーマンスデザイン)

 

 

 

 懇親会 18:0020:00 立教大学(1食堂) キャンパス内 司会 越部清美

 

 会費5,500円 (学生2,000)

 

 

 

第2日目 35日(日)

 

9:0012:00 一般研究発表 担当 平工志穂(東京女子大学)5号館2階・5222教室

 

12:00~13:00 総会および昼食 5号館2階・5222教室

 

13:0015:30 実習 ポールラッシュ・アスレティックセンター内 P402&P403フロア

 

 ①永沼和喜、谷口美代子(気単会)

 

東洋医学的セルフケア「動きからターゲットとなる経絡を探る手法」

 

  みつけた経絡を様々な方法で自分で刺激し、症状を改善する方法を実習します

 

 ②みんなで動こう(太極拳実技を予定)

 

  

 

【参加申し込み】

 

 大会への参加申し込み、ならびに一般研究発表を希望される方は、213日(月)必着で別紙参加申込フォームを大会事務局宛にメールあるいは郵送でお願いいたします。

 提出先は以下の通りです。

  【大会事務局】〒167-8585 東京都杉並区善福寺2-6-1

           メール youseigakkai@yahoo.co.jp

 

 

参加費および懇親会費の徴収は、大会当日を予定しております。

 

事前に納入し、領収書が必要な方は、事務局までご連絡ください。

 

情報交換会の会費は5,500円、学生2,000円を予定しています。当日受付でお支払ください。

 

昼食時のお弁当を、本学会理事の羽根善弘先生考案の「あかひげ養生弁当」はいかがでしょうか。薬膳の考えを取り入れたからだによい食材を使ったお弁当です。1日目、2日目の昼食に1200円でご用意できます。特に2日目は昼休みが短くなっているので、オプションに参加される方は、お弁当の持参か申し込みをお勧めいたします。

 

 *実技研修の体操はマット上に寝転ぶこともありますので、動きやすい服装(特に運動着に着替える必要はありません)でお越しください。

 

 

 

 

ようせいフォーラム2017 参加申込フォーム

 氏  名    

参加状況

費用

チェック欄

大会への参加(3/45

 3,000円(正会員)

 1,000円(学生、非会員)

参 加

不参加

一般研究発表(3/5

大会参加費に含む

する

しない

情報交換会(3/4

5,500

2,000円(学生)

申し込む

申し込まない

第1日目(3/4)の昼食

1,200

申し込む

申し込まない

2日目(3/5)の昼食

1,200

申し込む

申し込まない

オプションへの参加(3/5

大会参加費に含む

申し込む

申し込まない

要望・質問など

チェック欄にをおつけ下さい

 

提出締め切り 213日(月)(必着)

 

 

 

 

2017/1/18 <呼吸法フォーラムでの発表原稿メモ>

 

 この3月頭に養生(ようせい)学会の呼吸法にかんするフォーラムで実技と講演を担当することになった。そろそろプラグラム用の原稿を提出しなければならないところ、このブログをノート代わりにして頭の整理をしてみようかと思う。

 

<実技編>

 ➀太極拳は武術。套路は技をつなげたもの。技を伝授する時に漏れがないよう、一つながりにつないで覚えやすくした。

 基本的には技をかける(=力を発する)時は呼気になる。もし律儀に一つの技毎に吐いてしまうと丹田に気が溜まらない 

  → 実践で検証:連続打ちを呼気でやるのと吸気でやるのにどのような差があるか?

 

 ②太極拳を普通のスポーツや運動との違いは、練習後に体内の気の量が増えるように練習すること。吸った状態、もしくは息を腹に蓄えた状態を長めにとる。

 入れる(吸う)→蓄える→流す(吐く)→出す(吐き切る、会陰を緩める:放松)の4段階。

 

 吸う:腹で吸う(丹田呼吸)。これを可能にするには命門の開きや会陰の引き上げが必要。

 蓄える:この段階が要。取り入れた空気を丹田(腹)に蓄える。ここで息が気になる=気息。

 気を煉る、気の量が増える。

 吐く:文字通り吐くのではなく、丹田から体中に気息を流す。

 吐き切る:濁気を体外に出す(そして新鮮な気を再び湧泉から吸い上げる)

 

 →この4段階を実践(練習をしたことがない人がその場で感覚をとれるのだろうか?)

 

 ③動功を使って呼吸を調整

  開合功(臍の開合) 双腿昇降功(腹に息が入る感覚が分かりやすい) その他

 

 ④時間があれば六字訣

 

<講義編>

 ①呼吸と丹田の関係

 ②外呼吸と内呼吸 後天の気と先天の気 会陰(下丹田)と命門(後丹田)の重要性

 ③哼哈二気の妙

 ④呼吸の四相:息について 風・喘・気・息

 ⑤吸い方の要領 吐き方の要領

 

 以上、思いついただけでも既に与えられた時間内で消化できるかどうか?

 当日までにきっとまた内容が変わってしまいそう。

 

 

2017/1/12 <共通の語彙を増やしていく>

 

 昨年年末の忘年会の時に生徒さん達とグループLINEを開始。それ以来、ちょっとした気づきはその場でLINEに書いてしまい、こちらの練習メモに書くインセンティブが減ってしまった。

 毎日新しいことが出てくるのだが、それを”つぶやく”だけならともかくも、これを説明しようとすると相当な労力がいる。

 説明しないでも分かること、説明しないでも話が通じる仲間が増えればよいなぁ、と生徒さん達を教えてきたが、何時の頃からかいくつかの共通の語彙ができ、外の人が聞いたら理解困難な会話を自然にできるようになってきた感がある。

 

 そんな語彙のうち、代表的なものは”丹田”。

 内功に興味があって練習に来た人は最初誰しも「丹田って何?」という疑問が頭の中にある。

 練習して数か月の間は、きっとほとんどの生徒さんは私の”丹田”という言葉を身体では認識できないまま、ただ頭で丹田らしきものを思い描いて練習し続けている。中には口に出して「丹田って何ですか?」と聞く人もいるが、多くは聞いても無駄、と理解していてただ分かる時期が来るのを待っている。

 練習では丹田以外にも股関節やら腰やら膝やら肩やら、と全身くまなく調整、開発していかなければならない。たとえ最初は丹田を知りたくて練習を始めていたとしても、その他にも注意を払う箇所が多く、なんやかんや練習を続けているうちに、いつの間にか丹田のことを気にしなくなっていたりする。そして、終に、丹田のことを全く気にしなくなってしまう・・・丹田について質問する気にもならない、その時、その人は丹田を知っているということになる。

 

 質問をする必要があるのは、それを知らないから。

 一度知ってしまうと、質問をする必要がない。問いが溶ける。悟りと同じメカニズム。

 

 その他にも、”気を通す”、”身体の中を開ける”、”気を煉る”、”丹田と労宮を合わせる”、”足の裏が地面に貼り付く”、”丹田を移動させる”、”丹田を左右(前後・上下)に引き伸ばす”、あたりの言い方についてはほとんど(頭の中の)疑問なくして身体で操作を試みることのできる生徒さんが多くなったと思う。(大まかな目安として練習継続期間2年くらいか?)

 

 難関なのは、あの有名な太極拳の姿勢を表す熟語達。

 

 虚霊頂勁 両目平視 舌抵上腭 下顎内収

 沈肩墜肘 松腕垂指

 含胸抜背 塌腰敛臀  命門松開 松胯 坐胯 圆裆

 

 これらの語は代々言い伝えれてきた大事な要領で、どの一文字も疎かにできない。

 一見何ともない、両目平視、でさえ、この”平視”の”平”にどれだけの意味が含まれているか、何に対して平らなのか、がはっきり分かるには随分時間がかかる。

 

 舌が上腭を”抵”するとはどういうことか?

 これが分かると直立における舌の意義がはっきりする(人体を上に吊り上げている3つの部位の一つ)。

 

 なぜ肩は”沈”で表現され、肘は”墜”なのか?

 

 胸を”含”するとは?

 

 きっと私の生徒さん達が分かるようで分からないのが沈肩や含胸。

 塌腰、敛臀、松胯、圆裆、あたりも本当に理解できるにはあと一歩か二歩。

 私自身は昨日になって、首は”立たせる”のではなく”抜く”ものと確信したが、すると”抜背”の”抜く”の感覚が今まで以上にはっきりした。背骨は決して真っ直ぐに”立てる”ものではない。

 

 ”抜く”についてはこれから生徒さん達に徐々に説明を試みる予定。

 やはり皆チンプンカンプンかしら?少しでも手がかりを与えられるとよいけれど・・・。

 

2017/1/4 <新年初練習のメモ>

 

今日は今年初の練習日。天気が良く暖かい。風もなくまさに練習日和。

 

しばしレッスンがなかったためか、教えながらいろんな気づきが湧き出てくる。

暴走して生徒さん達が置いてけぼりにもなりかねない。

できるだけ自分で自分を制止させようと(途中までは)思っていたが、どうだったか・・・。

 

今日のレッスンで話したことなどを思い出してメモしてみる。

 

1.まず気になったのは”鼻”。

 鼻梁は真っ直ぐ。

 鼻の付け根(眉間の奥:上丹田)から取り入れた気が、スッと下丹田までどこにも引っかからずに届くのが理想。

 普通はその境地にはなかなか至らないので、鼻梁を真っ直ぐにして、軽くフン!と鼻頭に力を入れてみれば中丹田(=臍下丹田)に力が入るのが分かるはず。まずは鼻頭から中丹田までの通路を確保する練習をする。

 鼻は無駄に顔のど真ん中にあるのではない。

 力のない鼻は丹田に力のない証拠。

 

2.鼻は息に関わるが、その息が丹田に到達する途中に心臓がある。

  ”心の火を下降させる”というこの練習の大事な要領は、息が降りる際に、息を使って心の塊をほわっと開き溶解させて気体のようなものに変え、それからその心の気を息とともに下へ降ろして胃の気、それから丹田の気とミックスさせること、と言えそうだ。

 心の気(火)を下降させずして丹田が育つことはない。

 六字訣のKeを言いながら心を開けて下げるのも方法の一つ。

 

3.肋骨を束ねる。『束肋逗乳』

  肋骨が開かないように両手できつく押さえたまま息を吸うと会陰が引き上がる。

  武術では下手に肋骨を開くと隙を取られてしまうのでほとんどの場合肋骨を開かないように躾けている。両手を万歳しても肋骨が開かないようにすることはこれまでも随分教えてきた(つもり)。肋骨が開くと肩も上がってしまう。手が高く上がれば上がるほど肋骨はより強くすぼめなければならない。手を上げるのにこれほどにも腹の力が必要だったとは・・・、という感覚があれば正しく練習できている証拠。

  一般的に加齢とともに肋骨が開き気味になり閉じることができなくなる。すぼめる練習をして開合ができるようにしておくことが大事。(内気がとても少なくて肋骨がすぼんだままの場合は内気を育てる練習が先決。)

 

4.足裏が地面に貼りつく。

  足裏まで気が落ちて足裏がしっかりと地面に貼り付いた状態というのは、いつでも”飛び出せる”状態。その場でダッシュが可能。もし瞬間的に動けないとしたら丹田→足裏のどこかで気が停滞している。

 足裏まで達するためには、ある意味丹田(特に後丹田:命門)で身体を吊っておくことが大事。二つの腎が空気袋のようになって身体をふわっと軽くしている。

 すると気が足裏に届き、両脚がとてもしっかりするのだが、不思議なのは、足裏が地面にしっかり貼り付いた状態はまさにリニアモーターカーのよう(と今日気づいた!)。

 地面と足裏の関係が磁石のプラスとプラスのようになってギリギリのところまで接している(接しようとしている)・・・とても根付いているのにすぐに動ける不思議な状態。

 

 と、このあたりから生徒さんを置いてけぼりにして暴走・・・次の話題へと続いた。

 

5.”牙轻扣”(歯は軽く被せ合わせる)

  上下の歯は決して強く噛み合わせてはいけない。経典の要領は”軽く””被せる”。

  ある時、上下の歯は合いそうで合わないギリギリのところが最適ではないかと気づいたが、これも磁石のプラスとプラスのような関係だった。

  最近歯医者の話で知ったことだが、通常私達の上下の歯は噛み合わせていない状態になっている。上下の顎の間には舌があり、舌が上顎の定位置(舌打ちをするときに舌が打つ場所)に収まっていれば上下の歯が噛んでボロボロになることはないし、かと言ってだらしなく口が開いてしまうこともない。(舌の要領は”舌貼上顎”)

 

6.任脈を通す。

  任脈は鼻の付け根から会陰まで。

  一般的な腹式呼吸なら鼻の孔あたりから臍下あたりまで。

  太極拳でちゃんと動くなら鼻の付け根から下丹田まではつなぎたいところ。

  鼻から入った息がどこまで届くかを皆で実験してもらい、その後、体勢を変え、少しばかり無理矢理反らせたりして下丹田まで息が入る感覚を何人かの生徒さんに実感してもらった。

 問題はその感覚を維持したまま通常の直立姿勢がとれるか?

 →完璧なタントウ功の形がとれなければ無理、ということが分かったようだ。(腰はもっと開かなくてはならない、首もかなり立てなければならない・・・)

 

  師父に聞いた話では、中国の健康法では、朝起き抜けに咳をして、胸部のみならず腹部までも内部から振動させて邪気を外に出すというものがあるらしい。

 咳が腹部に響く感覚を得るのはそれほど難しくないと思う。

 そして師父が小学生の頃の記憶では、健康診断の時に裸にされて、女医さんの前で咳をさせられ、その咳で陰茎が動けば健康、動かなければどこかに問題あり、とされたらしい。これも任脈が通っているか否かの簡単な診断法。

  男性が小便をする時に腰を反らずに(命門を開けた状態で)尿を出せるようにするのも任脈を鍛える練習。いちいち腰を反って腎の気を使って排尿していては腎の気が早く衰退してしまうということらしい(任脈の力の弱い幼児や老人は腰の力を使わないと排尿できないとか)。

  女性が立って排尿するという練功も任脈を鍛える練習。

  任脈を通すには腹式呼吸が大前提になる。

  毎日の生活の中で任脈を通す機会を逃さないようにしたいもの。

 

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2012/3/20

日本養生学会第13回大会で研究発表をしました。

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