腰の虚実(馮志強老師著『陳式太極拳入門』第三章6より)

第三章(六)『虚実の転換は全て腰にあり』

     全9段落から構成  

 

<第一段落>

 

*第一段落メモ <腰の役割と重要性>

 

腰は ①”一身の主宰”(身体を支配する)

   ②上下をつなぐ要(枢軸)

   ③左右の転換の中軸

   ④一身の中正と平衡を維持する。

   ⑤中気が注ぎ込み気が丹田に沈み、内気の出入りと上虚下実を作る。

     (中気の説明は各種あるのでここでは入り込まない)

→よって太極拳各家は腰部を格別に重視している。

それを表す言葉がいろいろある。

”命意源頭在腰際”、”刻刻留心在腰間”、”主宰於腰”、”転関財腰”、”有不得力、必於腰腿求之”、”緊要全在胸中腰間運化”、”八卦掌、五行歩、太極腰”、”活腰壮腎”等。

 

  

<第二段落>

 

*第二段落メモ <腰の虚実が一身の虚実を決める>

  ⇒第5段落以下で更に詳しく説明

 

 太極拳の虚実の転換は全て腰にある、ということは一身の全ての虚実は腰にある。

 

 腰の虚実がはっきり分かれていれば、全身の虚実もはっきり分かれる。

 腰の虚実がはっきりしていなければ、全身の虚実もはっきりしない。

→所謂”虚実ははっきり分かれていなければならない”、という太極拳の大事な要領はまずこの腰のことを指す。

 

腰に双重があるなら(虚実がなく均等に重さがある)、全身上下が双重となる。

 

 

所謂“双重の病これを未だ悟らず”というのは、まずは腰部の双重の病を悟っていないということだ。

 

身法の虚実の変換は腰にある。歩法の虚実の変換は腰にある。手法の虚実の変換は腰にある。即ち一身の主宰は腰にある。

       “此消息真参透,太极只在一(この解釈はまだ:宿題)

 

 

 

 

<第三段落>

 

*第三段落メモ <腰で動くための要領>

      

      松→塌→虚→活→転→霊

       ↕  ↕   ↕ 

      収 瘪 束

 

腰において転換する(腰で動く)にはまず、“松腰”、“塌腰”、“虚腰”が必要。

腰が、松(緩む)になれば、塌(落ちる)が可能。塌になれば虚になり、活(活きてくる)。

活なら転(回転)、そして霊(素早い)となる。

 

“松腰”の反対は“収腰”。

 腰椎の骨、関節、肉、筋、靭帯が緩んで開いているべきで、押え締めたように(収)なってはいけない。

 

“塌腰”の反対は“腰”。

 腰部は緩んで開き、(斂臀:お尻を内側に収める、と相まって)下に(すべり)落ちたように(塌)なっているべきで、へこんでいてはいけない。

 

“虚腰”の反対は“束腰”。

 虚は空である。腰部が硬くもなく柔らかくもなく折衷でかつ虚空を得るべきで、束ねられた(縛られた:束)ようになってはいけない。

 

収腰や腰、束腰はみな腰部が緊張しているため、太極拳が取るべきものではない。

 

 

 

<第段落>

 

*第四段落メモ <腰の緩みが上虚下実を作る>

     

      松腰→松腹→気沈丹田、気行帯脈転円

     + 松胯、坐胯、圆裆

     ⇒ 腰勁→両股→足の裏 <上虚下実>

 

腰部が緩んで開けば、腹部もまた緩まる。

そうすれば腰腹はすっかり緩んで真ん丸(渾円)になり、気は丹田に沈みやすくなるし、気が帯脈上を円を描いて回りやすくもなる。

これに股関節の緩み(松胯)、股関節を(緩め沈めて)座るようにすること(坐胯)、股を丸くすること(圆裆)を合わせれば、腰の力は下に貫き、両股に力がでて、気が足の裏まで落ちる。

これによって下半身がどっしりとし、上虚下実となる。   

 

 

 

 

<第五段落>

 

*第五段落メモ <塌腰と斂臀の効果>

 

  ① 斂臀→塌腰

  ② 塌腰斂臀→尾闾中正、骶骨有力,命门松开

      ③ 塌腰敛臀 + 会陰内収、頂勁虚領 

             → 脊椎中正、中気が背中を貫通、全身が勁でつながる。

 

腰が塌腰(落ちた腰)であるためには斂臀(引っ込んだ尻)でなければならない。

斂臀ができれば塌腰ができる。

 

塌腰斂臀であれば自然に尾骨が中正になり、仙骨に力が出る。腰の後ろの命門も自然に緩んで開く(松開)。

これに会陰の内収と頂勁虚領(頭のてっぺんへ力が通り、首の力が抜けすっきり立っていること)が組み合わされば、脊椎が自然にまっすぐ立ち(竪直)、中気(中丹田の気)が背中の上下一千を貫通し、上下前後すべてを勁でまとめることができる。こうなれば動いた時にとても自然でどこにも偏りがなくなる。

 

 

 

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2012/3/20

日本養生学会第13回大会で研究発表をしました。

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