養生の大原則

太極拳を学ぶ大きな目的の一つに養生があります。

養生法とは健康を保ち、増進する方法ですが、太極拳や気功の練習はその重要な一部分に過ぎません。

これだけをやっていれば健康になる、身体が強くなる、という訳ではないので、ここで養生法について簡単にまとめてみたいと思います。

 

<養生のための4大要素>

 養生の重要な要素は、①休息、②飲食、③練功(内気の調整)、④情緒(精神)の安定です。どれが欠けても養生法は不完全なものになります。

練功を始める人は、その他の要素についても注意するようにしていくことが必要になります。

 

①休息

 良質の睡眠をきちんととること。睡眠がきちんととれなければ身体は蘇りません。

 ただ”寝る”という自然なことができなくなっているという事態は忌忌しき問題。

 寝れない場合は生活パターン、精神状態に問題があります。

 また、疲れた時は、昼間でも少し横になって身体を休めることが大切。

 頭も身体も疲れさせ過ぎてはいけません。

 

②飲食

 一日三回、決まった時間に決まった量を食べる。

 飢えさせてはいけないし、食べ過ぎてもいけない。

 美味しいものを追求するのではなく、身体に必要なものを食べる。

 酒、たばこ、薬は控える。

 ・・・と、言うのは簡単ですが、食文化が成熟、爛熟した現社会において、食べ物の誘惑は私達を翻弄し、単純な飲食生活をするのが難しくなっています。

 欲にかられず、凝り過ぎず、一口一口感謝しながら食べられるのが理想。

 

③練功

 上の①、②がうまくできてこそ、練功の成果があがります。

 練功をした後に軽い疲れがあるぐらいがちょうど良く、疲れすぎて動けないのは、自分にとって練功の量が多すぎるか、休息や飲食に問題あり。

 季節や自分の状態に合わせて練功の仕方も変えていくようにします。

 毎日身体を調えながら自分の身体と対話します。

 

④情緒の安定

 過度の強い感情は内臓に負担をかけます。ホルモンバランスが崩れ、気血の流れも変わってしまいます。所謂ストレスが身体に与える悪影響は西洋医学でも証明されています。

 心を広く保ち、小さなことを気にせず、おおらかにしているのが健康の秘訣。

 人を憎んだり、怒ったり、文句ばっかり言っていては、心も身体も(顔も)歪みます。

 

と、養生法の4要素について簡単に書きました。

通常練習で行っているのは③の練功にによる身体の調整ですが、練功が進めば進むほど、他の3つの要素の大事さが分かってきます。そして結局、一日24時間が修錬の場だということになってくるのです。

 

巷には、「こうすれば健康になれる!」とか「ああすれば病気が治る!」とか、「これで若返った!」というようなとても短絡的な謳い文句が溢れていますが、少し良識があれば、正道はすべてのバランスにあることが見抜けるはず(これこそ『中庸の道』!)。

悪い習慣については、一つ一つ少しずつ正していけるようになると、身体にも良いし、自分自身に対する自信につながると思います。

完璧な人はほとんど存在せず、みな大なり小なり悪い癖があります。

仏教でも、人間は習慣によって成り立っていると捉えているように、習慣を良きものにしていくことで人間自体も変わってきます。

練功をしながら、少しずつ良い習慣が多くなっていくようにしたいものです。

(仲間たちと一緒にやっていくのは大きな助けになるというのが私自身の実感です。)

 

以上

 

 

 

 

 

 

『今日のメモ』毎日の練習は気づきの宝庫。太極拳の練習の成果が何に及ぶかは予測不可能。2012年9月〜のアーカイブは『練習メモアーカイブ』へ

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2012/3/20

日本養生学会第13回大会で研究発表をしました。

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