2025/1/20 <膝の軟骨を若返らせるトリセツ>
先週木曜夜に放映されていたNHKのトリセツ「膝若返り」はとても興味深い内容だった。(一週間はNHKプラスで見られるのでぜひ見て下さい)
要点は2つ。
①軟骨のハリを甦らせるための「ゆる屈伸」
②膝を守る「ひざ肉」(内側広筋)の簡単な鍛え方
でした。(https://www.nhk.jp/p/torisetsu-show/ts/J6MX7VP885/blog/bl/pnR8azdZNB/bp/pELRvjgqAw/)
なんと、どちらも太極拳の基本的な動き!
ならば、太極拳は膝に良い運動。膝を養う運動のはず・・・
が、実際には、太極拳をやり込んで膝を悪くする人はとても多い。
中腰姿勢だから?という単純な原因ではないことを、上の番組は教えてくれています。
もう一度、基本に戻る必要ありです。
①のゆる屈伸 ↓
2025/1/11
昨日の話題、『虚霊頂勁』 について追加。
虚霊頂勁ができているかどうかは、比較をしないと分かりづらいかと思うので、①本家本元の楊式太極拳の師と、②国家制定拳の有名な老師の形、動きを比べてみた。(民間派VS学院派)
①杨振铎 https://youtu.be/yyrOvfCYvM4?si=kJLQMgxrlf2hH5Bi
②李德印 https://youtu.be/RxQhocwB568?si=ZoBpYNC8xKULfok0
下はそれぞれの搂膝拗步の動きの一部。
この目の使い方の結果、上の連続写真でわかるように、楊老師の頭の高さは一定(頂勁になっている)が、李老師の場合は次第に頭が落ちてしまっている。
2025/1/11
昨日の話題、『虚霊頂勁』 について追加。
虚霊頂勁ができているかどうかは、比較をしないと分かりづらいかと思うので、①本家本元の楊式太極拳の師と、②国家制定拳の有名な老師の形、動きを比べてみた。(民間派VS学院派)
①杨振铎 https://youtu.be/yyrOvfCYvM4?si=kJLQMgxrlf2hH5Bi
②李德印 https://youtu.be/RxQhocwB568?si=ZoBpYNC8xKULfok0
下はそれぞれの搂膝拗步の動きの一部。
2025/1/9 <虚霊頂勁 首を立てない 上丹田と目 うがい体操>
太極拳の基本姿勢を学ぶ時、最初に言われるのは、「虚霊頂勁」ではないだろうか?
まず「虚霊頂勁」があって、それからその他の要領が続く。つまり、厳密に言えば「沈肩」をするにも「含胸」をするにも、「松胯」をするにも、「虚霊頂勁」が必要だということだ。
が、実は「虚霊頂勁」は全身の気がある程度貫通しないとその感覚は得られない。最初はなんとなく、そんな感じ、で始めるしかない。そして体の上部から下部へとそれぞれの要領をある程度クリアして、足裏に気がしっかり落ちて根が張っると、頭頂の感覚はまた変化する。
一般的に陥りやすい過ちは、「虚霊頂勁」の後ろ半分、「頂勁」だけをやってしまうことだ。そうすると、”首を立てた”感じになる。
簡化24式を練習している人に多いのが、重心が後ろ過ぎることだが、それは目が眉間に集まっていないせいかもしれない。両目でただ手を追っていては頸椎の開発はできない=虚霊頂勁はできない。
両目で手を追っているような動きの場合、一時停止でよく見ると、実際にはちゃんと手を見ていないということが多々ある。
頭部に関連する骨は頸椎一番(環椎)から胸椎3、4番までで、首は胸椎から始まると思っている方が使いやすい。
下にその辺りを説明した腰の王子の動画を紹介するが、これまた、学べることがいっぱい。
立腰体操をしたらうがいがちゃんとできる体になる、と言うが、同じように、太極拳を練習してもうがいが上手になる。というのは、立腰体操は全ての脊椎関節のバラバラ化を図った体操で、太極拳は脊椎関節をバラバラにして貫通させる周天を前提として組み立てられている拳だからだ。
動画で王子が説明しているように、脊椎関節は動かしやすい箇所と動かしにくい箇所がある。頸椎で言えば、頸椎3、4、5番は使いやすく、頸椎1番2番、胸椎1、2、3番はほとんどの大人は動かせない。結果として頸椎3、4、5番が過剰な負担がかかる。
虚霊頂勁は頸椎の1番と頭蓋骨の間の関節(環椎後頭関節)が意識的に動かせることが前提になる。目はそのラインで動く。
まずはうがいでその辺りの練習をするのも良いかもしれない。目もしっかり動くだろう。
2025/1/7 < 按(アン)の仕方から学ぶこと>
毎週火曜夜に行っているグループのオンラインレッスン。現在は4人のクラスで進行中だが、その中に全くの太極拳初心者で参加した生徒さんがいる。
スポーツクラブで簡化24式を習い始めたところ、というところで参加したのが2023年の10月。そこそこ太極拳をやった経験のある人たちに混ざっての参加だった。
私が教えるのは内側から動くということ、スポーツクラブなどでは学べない太極拳の本当の体の使い方。だから、丹田とか、気とかがマストになる。
最初はチンプンカンプンのようで、私も少し不安になったこともあったが、グループで他の生徒さん達のアドバイスももらいながら、よく頑張っていた。
そして昨日のレッスン。
腕を下げる動き(アンの動き)を厳密に教えてみたところ、きちんと気を腹底まで落とせたのはその彼女だった。
太極拳の基本の動き、ポン・リュー・ジー・アンは、単なる腕の動きではない。内側の気の動かし方だ。
ポンの時は、会陰を引き上げて内気を上方に動かす
リューは、眉間のツボを引く、
ジーは、両肩甲骨に挟まれた脊椎のツボを開く
アンは、胸のダン中のツボから関元穴まで気を下ろす
このような内気の動きが腕の動きとなって現れるのだ。
この4つの中で最も単純な動きが、ポンとアン。
簡化24式の起式にもある動きだ。
が、ポンとアンがちゃんとできるようになるにはかなりの練習がいる。
最初は上の動画のように形だけ真似をしたようになるのは当たり前。
これはまだ太極拳とは言えない。
アンができないとポンはできないので、私はまずアンだけ教えてみた。
アンは上から下に気を下す動き。含胸をして気沈丹田を行う。といっても、この場合の丹田は臍下丹田ではなくて、関元穴、膀胱、あるいは子宮の高さのツボだ。ここまで気を下げられれば、両手は胴体の延長になる。
上の動画のような動きでは、腕はいつまでたっても、肩から上げて肩から下げる、という、四肢運動を脱却できない。(せめて胸鎖関節から使えればよいが、胸鎖関節から腕を使おうとすると含胸をする必要がある・・・大衆に広めるために制定された太極拳では含胸の要領は削除されているように思う)
オンラインに限らず対面でもこの気の動きを教えるのは難しい。
気を下さなければならないのに、上の動画のように腰を下ろて体まで下ろしてしまうとお尻や腿に座ってしまう。体重は常に足裏に落ちなければならない。体を下ろさずに気を下す、というのが分かるまでに時間がかかるのだが、冒頭に紹介した初心者だった生徒さんが昨日見事にそれをやってのけた。
うまくできた彼女に、そのままポーズをとらせたまま、「どんな感じがしますか?」と聞いたら、「きついです。汗が出ます。」と一言。これは、横隔膜を下ろして腹圧を上げて骨盤底筋まで気を下ろした時の感覚だ。
太極拳の動きの中には、白鹤亮翅のように、片手は上にあるが、反対の手はアンをしている、というものがたくさんある。意識すべきは上の手ではなく、アンの手だ。アンを意識することにより、気が骨盤底筋まで沈み=足裏まで気が達し、それと同時に地面からの反発力を得て、上に上げる手の威力が増す。
腕の動きは腕でやるのではなく、胴体の中のポンプで行っている。
これが”分かる”ようになれば、太極拳に入門した、という。
同じ生徒さんが、練習の最後に、「あのようなアンの状態をとった時に、股の奥に少し空間が空くような感じになります。」と言っていたがそれは下丹田(会陰を引き上げ、かつ、胸や腹の気を骨盤底筋の近くまで下ろしてきた時にできる空間)の感覚で、それがあると、股関節に隙間が開いて、脚が軽くなる。
私も、タントウ功をしていた時に、「腿、脚も放松しろ!」、と師父に言われて面食らったことがあったが、脚に力が入っているようでは俊敏には動けない。師父に言われたことを以前男の生徒さんに言った時、「脚の力を抜いたら立ってられないじゃないですか?」と反発を受けてこれまた面食らったことがあったが、”脚の力を抜く”というのがどういうことなのか、もう少し自分で試行錯誤する頭や心の広さがあればその先に進めただろうと思う。
結論から言えば、股関節の隙間ができれば脚は力が抜けるのだが、そのためには、気がちゃんと下丹田まで下ろせる必要がある。アンがちゃんとできるためにも、下丹田まで気が下ろせる必要がある、
臍下の丹田だけでは足りない。
丹田の大きさが伸縮自在になれば達人だ。
2025/1/4
新年明けましておめでとうございます!
今年最初に見た腰の王子の動画がまたまた素晴らしかったので紹介します。
前半の「スリスリ体操」のコツは手にあり。
普通の人は、股関節だけで体を倒す。それでは倒し始めの時は体は腑抜けの状態。
「動き始めから動きたい」という王子の言葉、昔の私には禅問答のように聞こえただろう。が、初動から技になる太極拳もまさにその通り。ということは、初動からしっかりと関節を使っている必要がある。
つまり、
スリスリ体操だと、まず腰仙関節(腰椎5番と仙骨の間の関節)が起動しなければならない。それから、仙腸関節。そうすれば、脊椎の関節も動き出す。
股関節が使われる前に、すでにたくさんの関節が動いているのだ。
これは、とても単純な太極拳の馬歩や弓歩でも同じ。
馬歩や弓歩などで腰を落とす時に、股関節しか使っていないような人は、王子の言葉で言えば、”達人”ではない。ましてや太極拳の場合は普通のスポーツよりもさらに関節を総動員することを特徴にしているので、股関節しか使えないようだと太極拳を教える資格はない。脊椎がバラバラに使えるような教え方をする師が求められるところだが、実際には背骨を固めてしまって股関節に頼っているような太極拳の方が出回っている。
王子が動画でちらっと言っているように、股関節で曲げると腰に来る、が、仙骨で曲げれば(腰仙関節を使えば)腰に来ない、というのもまさにその通りだ。
動画の後半は含蓄のある話。
学んだことを活かそうとしてはいけない・・・
これは前半の話よりもずっとずっと深い話。
太極拳などを超えた普遍的な真理の話。
それをこんなに分かりやすく説明できる王子はやはりすごいなぁ、と新年から良いものを見たと思ったのでした。
今年はどこまで進むかなぁ?