2024年1月

2024/1/27 <腿法 腿のチャンスー>

 

 昨日の王子の動画を師父に見せたら、「太極拳で言えば基本中の基本の腿法だな。」と一言。「要は、脚の纏糸(チャンスー)だ。」と言われて、ああそうだった、と思い出した。

 

 『太極纏也』という言葉があるように、太極拳の核心は纏わりつく、絡みつくことにある。太極拳のシンボルが蛇なのもそれが多いに関わっている。

 

 『周身无处不缠丝』という言葉もある。「全身どこもチャンスーにならないところはない」つまり、全身どこでもチャンスーがかけられる=絡みつくことができる、ということだ。

 

  チャンスーと聞くと、手腕をイメージするが、それに止まらない。それが体であれ、脚であれ、どこでも絡みつくことができる。陰陽図と同じように丹田が回転することで全身、絡みつくようになるのだ。

 

  腿法について分かりやすいものをいくつか集めてみました。

馮老師の表演(https://www.youtube.com/watch?v=6wfKH6IRqmI&ab_channel=bomb2114)

 

推手の時に相手の脚を封じておいて、そこから扣をして相手を倒す。この”扣“は套路の中にも何度か出てくる動き。

内側に足を閉める”扣“の反対は”摆“(外側に開くもの)。両者とも、単なる方向転換だけでなく、相手の脚を引っ掛けて倒す作用がある。套路の中では暗脚にされていることが多い。

 

陳項老師が見せてくれているのは、とても簡単な腿法。単に引っ掛けてずらすだけだ。

が、これを成功させるには、頭から足裏までがしっかり通っている必要がある。タントウ功など内功をしっかりしていないと、こんなに鮮やかには技がかからない。

(https://youtu.be/IzhvvA5VKzM?si=03Qmq8bDIIAEf0KF)

実は、上の技が単独で使われることよりも、その前に別の技があったりする。

太極拳の場合、手腕の技が出る時には同時に腿技も準備されている。ただ、手だけで打ったり、ジーしたりすることは少ない。

相手の懐の中に入り込んで、足を相手の両足の間に差し込んでいくことがとても多い。そうすれば、腿技が同時に出てくるので、相手は翻弄する。

 

  下の2枚の画像では、技が次々と現れてくるのを見せてくれている。そして最後の一枚の画像では、実はそれらの基本的な体の動きが胴体のチャンスー(丹田の八の字運動)であることを教えてくれている。

これも太極拳の原理。

相手の力に逆らわず、放松して自分の手を引くことで、足が深く相手の股下へ差し込めるようになる。

基本的な体の動きは丹田の縦回転だ。

 

馮老師は肘技が得意で上の陳項老師のように直接相手の足を狙ったものは少ないが、左のような技では、素早く重心を下げることによって相手のバランスを失わせて倒している。実は馮老師の脚がとても軽快に動いている。

太極拳の脚、足は、重いけれども、とても軽快で器用だ。足に目があるのではないかと思うほど。

 

実際にはこの二人の老師のように鮮やかな太極拳の技を見せてくれる現代の老師はなかなかいないが、動画で見ることができるだけでもラッキーかと思います。

 

 なお、相手の脚に絡みつくような脚をイメージして練習すれば脚は柔らかくなる(関節が柔らかくなる)。体が絡みつくと思えば、体も柔らかくなる。流体になる。

 

 相手に攻撃されそうな時は、できるだけ相手に近づいてビッタリ抱きついてしまえばいい、と師父に言われたことがある。それは、ビッタリくっつくと、相手は殴ることも蹴ることもできず、その他の技を使わなければならなくなるからだ。アメーバーのように相手にはりついて重くのしかかってしまうと、相手はやっかいに思うだろう。纏わりつく、絡みつく、というのは、人間関係では御法度だが、それを逆手にとって技にしてしまうのも太極拳の知恵だ。

2024/1/26 <王子の足捌き 暗脚>

 

  最新の腰の王子の動画がすごかった。

  足捌き!

 

動画前半の足捌きは中国武術で言うところの”暗脚”だ。太極拳などの内家拳はこのような暗脚が主だ。これに対し、少林拳などの外家拳はもっぱら”明脚”になる。

明脚というのは、明らかな蹴り。

暗脚というのは引っ掛けたり、倒したり、相手に蹴らせてそれを逆手にとるような技。

 

 私は柔道自体は全く知らないが、太極拳が空手よりも柔道に近い感じがするのも、接近戦での絡みが多いからだ。相手の体と距離をとって戦う空手は中国武術の外家拳。跳んだり跳ねたりのできる若者の拳だ。外家拳の老師も歳をとると内家拳の練習、すなわち、気(エネルギー)を溜め、それによって内側から全身をつなぎ、少ない力で相手を倒せるような拳の練習に変えていくことが多いという(ひょっとすると過去の話になっているかも?)

 

 太極拳が”巧みな”拳と言われるのは、上の動画で王子が見せてくれるような技がいろいろあるからだ。

 

 套路の中でどこに暗脚が隠れているのかを知っていると、動き方も変わってくる。

 今日のレッスンで、第5式の単鞭を教えたが、そこには上の動画の足捌きに似た腿法が隠れている。提膝(膝蹴り)そのものは急所を狙うが、それがいつも提膝である必要はない

https://youtu.be/bRX8jqHj8AI?si=CtOV2jq8B1bglxGq

 

第5式の左の箇所では、膝を上げながら膝を回転させることで、相手の蹴りの力を削いで、そのまま足を下ろさずに直接左方向の的の軸脚を蹴る、という腿法が隠されている。暗脚の例の一つだ。

 

  ただ、それを習っても、実際に相手に蹴られて、それを捌いてそのまま蹴り返せるのか、というとすぐにできるとは限らない。教わってすぐにできるとしたら、体の開発がそこまで進んでいるということだた、通常は教わってもすぐには技は習得できない。そこから技を練習しているうちに体の使い方を学んでいく、というのが流れだ。

  

  脚技に限らず、どんな技でも、教わってすぐにできることはまずない。

  套路を学ぶ時は、一式一式、その中に含まれている技を学ぶ必要があるが、最初は動作を覚えるのが精一杯で、技まで頭に入らない。しかし、教える側になると、この動作がどう意味かということを教えてあげないと、動作を覚えにくいのではないか?と思ったりするのだ。太極拳は踊りではないから、意味もなく体を動かすことはしない。自分が今なぜ手足をこう動かしているのか、相手のどこに足を差し込んで、どう動こうとしているのか、どんな力を使おうとしているのか、が分かっている必要がある。つまり、「一人で練習している時は相手がいるかのように練習する」のが大事だ。

  そして、体操やバレエなどと太極拳(武術)の大きな違いは、前者が自分の体を操ることだけを考えていればよいのに対し、太極拳などの武術は、自分の力が相手にどう伝わるか、相手の力を自分がどう吸収するのか、あるいはどう利用するのか、を学ぶ必要がある、ということだ。これを套路だけで行うのは無理があるので、対練をするのだが、対練をしたら、それをもとに、套路の各動作を見直す必要がある。

 

 

    それにしても、王子の身のこなしは完璧!

 太極拳の普通の老師はなかなかそこまでの足捌きはできないかも。

 脚はどっしりと、かつ、軽快に動く必要があります。

 

2024/1/21<使いづらい体幹部を使う その4 喉を開ける 息を止めない 舌抵上顎>

 

  この週末は呼吸に注目したレッスンをしました。

  その中の一つは、喉。 

  割り箸を咥えて前屈をすると、咥えない時よりもスルッと前屈できる。

  それは何故?

 

  そもそもは、この動画を見たのがきっかけでした。

 

2024/1/19 <動かしづらい体幹部の開発 その3 発声と色気>

 

  体幹部を動かすには息が必須、と言ったが、息を意識することなく息を通すことができる方法もある。

  それは極端な発声。

  そして色気。

 

  極端な発声は悲鳴や極端に高い声、低い声、それから、くしゃみやあくび、咳などの生理的な声だ。普通に話しているような発声ではなかなか息を通せない。有名な六字訣も特定の発声をすることで該当する臓器に息を通す。

  声を聞けば、その人の気の量が分かるし、主にどのあたりで呼吸をしているのかが分かる。腹の声が少なく、喉の声の多い人、鼻の声が多い人、胸の声が多い人、モノマネが上手な人はそれらの声を混ぜて声を似せて発声ができる。

  ヨガのAUMの発声は体の内側を息で開けるための典型的なものだ。それには内側をあけるような発声が必要だが、それは師について真似て発声していれば身についてくる。地声で発声しては何もならない。

 

  そして色気、セクシーさ。

  性的なものは体幹部の内側を通っている。

  柔らかさと色気はマッチングする。

 

  私が大好きなゴッドファーザー。劉師父も絶賛。↓

  

 

  ゴッドファーザーの体幹部の滑らかな動き。横にいる美女がかすんでしまう。

よく見ると、美女は胸とお尻しか動いていない・・・首も回らない・・・体幹部を本気で開発した男性は女性よりも色気があるのだ。


2024/1/16 <動かしづらい体幹部の開発 その1 なぜ体幹部は動かしづらいのか?>

 

   太極拳を練習するということは、体幹部、背骨の開発をするということ。

  四肢運動を脱却するということだ。

  

  太極拳を習い始めた頃は四肢運動になってしまうのは仕方ない。

  が、内側の世界に入って内側から体を動かすようになると次第に体幹部が開発されていく。

 

     <比較>

 バイデン大統領のウォーキング(高齢になると体幹部が動かず手足だけが動く)

 マイケルジャクソンのムーンウォーク (体幹部を最大限に使った歩き方)

  

←体幹部が固まると股関節から下だけで歩くようになる→膝に負担がかかる

 

膝が悪くなった高齢者が太ももを鍛えるのはナンセンス。太極拳的には体幹部が動くようにするべき。

 

 


2024/1/18 <動かしづらい体幹部の開発 その2 息が必須>

 

  体幹部を動かすには体幹部を動かそうとする訳ではない・・・

  逆に言うと、体幹部を動かそうとすると体幹部は動かない。

  

  ここで「体幹部を動かす」とは、「未だ意識的に動かせたことのない体幹部、特に背骨沿いの関節を動かせるようにする」ことです。前回のブログで図示した体幹部の関節です。

  

  太極拳は筋肉よりも関節の操作を重視する。

  というのは、体は関節の部位でしか動かないから。骨の途中で曲がったら骨折です。

  そして、私たちが脳細胞の数パーセントしか使っていないように、体の関節も加齢とともに使える数が減ってくる。若々しい滑らかな動きがなくなり、ロボットのようなぎこちない動きになってくる。

   腰痛になったり、膝が痛んだり、というのは、腰や膝以外の関節が動かなくなってきて(特に体幹部)、腰や膝の関節の担う役割が増えてしまうから。根本的な治療は体幹部の開発です。

 

  太極拳が中国で養生法と言われるそもそもの理由は、内臓を養うから、です。内臓は胴体にある。養生法は胴体内部を扱います。いわゆる、足腰を鍛える、というのは、筋肉を鍛える、ということで、それは養生法とは言わない。手足がなくても生きていけるが、胴体、なくしては生きていけない・・・

 

  身体開発においては使える関節の数を増やすことは不可避。

  太極拳において『節節貫通』と言うのは、全身の関節を鎖のように繋いでいくという意味。途中で動かない関節があると、勁の伝達がそこでストップしてしまう。

  なかなか意識的に動かせない背骨沿い(肩周りの小さな関節や胸鎖関節や仙腸関節や恥骨結合なども含む)の関節を開けていくのが、タントウ功や坐禅の静功だ。

 

  つまり、体幹部の関節を動かせるようにするには、内気(腰の王子の言い方では、”息”)が必要になる。息が通せないとその関節は意識的に操ることができない。

 

  中国系の周天なら、腰椎2番と3番の間の関節(命門の位置)を動かせるようにすることから始めるのが定石。(そこが通常開いていなくて、かつ、開けやすいから)

  丹田に気を溜めるのも、その内気によって関節を開けていくからだ。

  腰の王子の言い方を使えば、”息”を腰椎2番と3番の間に注ぎ込んで内側からパキッと開く。命門は臍の裏側で、臍下に溜まった気を背中側に回せば開けることができる。気を動かす時に圧を抜かないのが鉄則だ。

  このような作業をしていると自ずから丹田呼吸になっている(吐いても吸っても横隔膜が下がっている 横隔膜が上がると圧が減ってしまって開けられないから、開けようとすると自然にそうなる)

  命門が開けば、順次その下を開けていく・・・(命門より)下を開けないと(命門より)上が開かない・・・といろいろあるが、命門が開いたら師から順次指示がある。

 

 

  こういうことは時間をかけてやるのだが、呼吸法の中には、上で書いたようなことを一気にやってのけようとするものもあるようだ。

  最近見た腹圧呼吸に関連するブログで、上に書いたような「内気(息)」で背骨を通す方法が紹介されていた。

2024/1/10 <唇と腿裏の伸びの関係?

 

  太極拳を練習するにあたって、一刻も早く解決しなければならないのは、前腿に乗ってしまう問題。これまで何度もブログに書いてきたことだけど、教えていて分かるのは、前腿に乗らずにハムストリングスを使える人がほとんどいない、ということだ。馬が後ろ脚を(後ろに)蹴って走るように、私たちも体も、一方の足を後ろに蹴ることで、もう片方の足が前に降り出されるようにできているのだが、いつのまにか、それが逆転して、足を前に運んで乗り込んでいくような歩き方に変わってしまう。あたかも、常に坂道を降りていくような歩き方だ。着地するたびに前腿がカチカチになるような歩き方はいずれいろんな問題を引き起こしていく。

 

  こうなる大きな理由は、お尻やハムストリングスの筋肉が縮こまってしまうことにある。いわゆる、「腿裏の伸びた足りない」という問題だ。

https://life.saisoncard.co.jp/health/longevity/post/tokushu5/より

 

このリンク先にはハムストリングスが硬いとどのような問題が起こるか、ということが書かれている。

 

まず、いわゆる、股関節の屈曲がしっかりだきなくなる。股関節の屈曲が中途半端だと、腰にも膝にも負担がかかる。

日常生活においても、スポーツにおいても、腿裏は必ず伸びるようにしておきたい部位だ。

 

  この「腿裏の伸び」をもたらす体操として腰の王子が提供しているのが、「コマネチすりすり体操」だ。

  私は多くの生徒さん達にこの体操をやってもらってきたが、腿裏がしっかり伸びない、というのは事実だ。本人は腿裏の伸びが足りないとは思っていないようだが、私からみると、本当に足りない。しかし、腰の王子は、それでももっと伸びるように、と細かい要領を体操に組み入れている。ただ、ほとんどの生徒さんはその要領がちゃんと使えない・・・

 

  この前のグループオンラインクラスでも、スリスリ体操をさせてみた。一人の生徒さんの動きが気になる・・・よ〜くみると、「ス〜リ、ス〜リ」と言う時に唇が突き出ていない。他の生徒さん達は?とみると、皆、唇は平べったいままだ。中には、目線を落としてしまっている人もいる。王子が「遠くのちょっと上に自分の好きな人、あるいはものがあるとイメージして」「そこに向けて、チューの口が届きそうで届かない〜」とやるのだ、と指示しているのだけれども、本当にリアルにそうイメージしてやれる人は少ないのかもしれない。

 

  目線を間違えて少し落とすだけでも体の動き方は全く変わってしまう。目線についてはいずれまた書きたいところ。

  今日書いておきたいのは、”唇”。その中でも唇を突き出した”チューの口”。

 

 

左は王子の「コマネチすりすり体操」

  https://youtu.be/kbIiH0_FmQo?si=b9NhhGUVRXT5sCpN

右は尺八奏者の中村明一さんの密息の説明(昨日のブログで書いた、骨盤を倒しながら息を「フッ」と吐いてひと休みしたような体勢。吐いてお腹が膨らむ。9:25あたり)

 

 左の画像の中の、王子と他の3人の唇を比較してみよう。

 それから、右画像の中村さんの唇をよ〜く見てみよう。

 

 王子の唇はしっかり丸めて前に突き出されている。中村さんの唇は若い女の子のやるアヒル口? 

 これら二人の唇を見た後で、王子の周りの弟子達の唇をみると、口を出しているが唇は出ていないことが分かるだろう。唇が硬い!

 

 唇が硬いと何が問題か?と思うかもしれないが、私は英語や中国語を話す時に、この唇で随分苦労したので、この唇の動きの大事さがある程度分かる。

 

 試しに、スリスリ体操の時に、唇を恥ずかしいくらい丸めて前に突き出すように、と生徒さんに指示してやってもらったことがある。すると、予想どおり。腿裏がいつもよりずっと伸びるのだ。その生徒さんも、あら、ほんとだ、と驚いていたが、唇が捲れるくらい前に突き出していくと、椅子に接しているお尻の下部や腿裏の肉がズルっと動き始めたりする。

2024/1/9 <呼吸についての考察>

 

  グループオンラインの生徒さんから、密息は丹田呼吸と同じか?という質問。

  いくつか気になることがあるので、頭の整理。

 

  吸っても吐いてもお腹が膨らんでいる、というのが丹田呼吸との共通点のよう。

 <密息についての資料> 

  やり方 https://jisin.jp/life/health/1617881/

  動画 https://youtu.be/QhZYoDI2QsE?si=TmrESOeGZBwG_ZT9

  骨盤を倒した上で、

  首の付け根を突き出すようにして丸くなった背骨をまっすぐに伸ばす。

  →腰の王子の「おはようおやすみ体操」の「おやすみ」の姿勢

  →骨盤後傾気味で含胸、それによって腰が開く

  →背中側の横隔膜が動きやすくなる、息がたくさん入る

 

  注意が必要なのは、単に骨盤後傾して”寝腰”にすれば良いというわけではない。”寝腰”にしてしまうと腹圧が抜けてしまう。

 

  

 

 腰の王子の「おはようおやすみ体操』

https://jisin.jp/life/health/1617881/

 

王子とその隣の女性を比較すると分かりやすい。

女性はすぐにお腹がぺちゃんこになってしまっている。寝腰の状態だ。

王子は正しい骨盤後傾。

 

  骨盤を倒して息を吐いた時に腹圧が抜けないかどうか、その点を確かめる必要がある。

   

 

  ※密息の上の動画の中では、「あ〜疲れた」と思ってふ〜っと息を吐いた時の感覚が、密息の記憶だ、と言っています。

(9:20あたり)

 

やはり、息の吐き方が大事。

膨らませながら吐く練習が必要かも。

 

 

  骨盤を後傾させた方が、腰や背中に”息”が入りやすくなる。

  命門を開く、というのと、腰に息を入れる、というのは同じこと。

  腰に息を入れると腰椎を守ります。

 

  息はいろいろなところにいれられる

  太極拳でも技、使う部位によって、息をいれる場所が変わる。実は、いつもいつも丹田、というわけではない。肩に息をいれてそこから打てば済むものもある。鼠蹊部の発勁では鼠蹊部に息をいれる。全身どこでも靠(体当たり)ができる、というのは、どこにでも息を入れられる、という意味。が、そのためには、まず、丹田呼吸=横隔膜呼吸をしっかりできるようにする必要がある。

 

  腹圧呼吸(IAP呼吸)というのもあるが、これも腹圧を逃さない、という点では同じ。

異なる点は、腹を膨らませることだけを考えていて、腰を膨らますことを考えていない点。

  丹田呼吸についても、腹を膨らませて固めるものだと思っている人もいるようだが、実際は、腹をカチカチに固めない。固めると動けなくなってしまう。腹圧のかかった中で流動的に動かしている。

 

  このあたりの話は腰の王子が説明しているのでそちらを参照してください。

  『腹式』ではなく『腹腰式』と言うのが正しい。太極拳は腰!腰の弾力は息。

   腰に息を入れた時の快感・・・?

  ちなみに”息”は深い呼吸がしっかりできるようになって背骨がある程度開通すればいつのまにかできるようになります。

2024/1/8 <虚実をはっきりさせる 虚脚と実脚の意味>

 

  生徒さんからの質問。

  ある老師の弓歩についての説明動画で『弓歩の前足は虚』というのはどういうことなのか?前足は実では?と不思議に思ったらしい。

   (https://youtu.be/N4OQjw08myw?si=4EHZdB6m49kfxl9e)

   

 ということで私も動画を見てみた。

 

 まず、<弓歩の要求>として、①後ろ足で伝達、②ゆったり上半身、

 それから<注意点>として、前膝が行き過ぎない、後ろ踵が浮かない、前傾しない、というのはその通り。

 が、その次からのの<矛盾>というのがちょっと意味が違うかも?

 

 しっかり重心移動すると前足に乗ってしまうから、やりすぎないように”物足りない感じ”で行う、との説明。

 ちゃんと乗ると行きすぎてしまうから、物足りなくすることで、前足を『虚』にする、という(面白い)理論・・・

 

  生徒さんが指摘していた、「弓歩の前足は虚」と説明している部分の老師の弓歩はすでに前足が実になっているような?(が、それ以前に体の重心が定まっていない?)

 

 どうやら虚実の定義が間違えているらしい・・・

 

 その後の説明でも、太極拳は<矛盾>だということで、例として「足は踏ん張っているのに、胯は緩めなければならない」と言っている。が、実際は、「足で床をしっかり踏むためには胯を緩めて腹腰(胴体、上半身)と繋がなければならない」。松胯しないと丹田と腿が繋がらないのだ。

 

2024/1/5 <イス軸法についての感想>

 

 イス軸法というものについて聞かれたので少し書きます。

 

 まず、イス軸法というのはこれです。

 5秒で軸が通せる、骨盤の歪みが取れる、というもの。

 

 私も以前動画で見たことがありましたが、真面目に取り組んだことがなかった。

 今回、質問をされたので、試してみました。

 

 椅子に座った姿勢から「背中と首の力を抜きながらお辞儀をしてお尻を浮かせる」。

 (すると飛び込み台から飛び込む前の水泳選手のような姿勢になる。)

 そこから、「ゆ〜っくり時間をかけて立ち上がっていく」。

 

 これだけ。

 立ち上がると、下半身がどっしりして、上虚下実の状態になっている。

 軸が作られたかどうかはよくわからないけれど、放松して気は足裏まで落ちている。

 タントウ功で最初にクリアしなければならない状態に即効で到達する。

 賢い! よいじゃん、と思う。

 脱力できない時、この手を使わない手はない。

 そして、話を戻すと、イス軸はアパーナ気:下丹田をしっかりさせるのに有効だ。

 逆に言えば、下丹田をしっかりさせるには、徹底した上半身の脱力が必要だということ。

 

 少し付け加えるなら、イスに座った姿勢から体を前に倒す時に、背中や首だけでなく、意識的に胸の中を脱力する(含胸)べきだと思う。背中を脱力するには胸を脱力する必要があるが、背中を脱力させようとすると単に背中(甲羅)を横に広げるだけの人も多そうな気がする。胸の中の気を抜かないと股間や腿裏がしっかりしないので、その後、立ち上がっていくと下半身の気が抜けてしまって効果が半減する可能性がある。

 

  イス軸法を使えば、下丹田をしっかりさせて上虚下実で立てるようになる、あるいは、脱力の仕方を覚える、足に気が落ちる感覚を掴むことができるようになるだろう。

  

  ただ、それより上の中丹田と上丹田については直接的な効果はないかもしれない。その先、下丹田の気を上に引っ張り上げるにはやはり立った状態で何かしら形を作る必要があるだろう。両手をぶらんと下に垂らしたままで全てを行うのは通常の人間にはまず無理だ。水泳で飛び込む時に両手を下で縛られていたら飛び込み台を蹴って飛ぶことはできても、その後は沈んで溺れてしまうだろう・・・腕の動きは気を通すのに大きな役割を担っている。

  動画や画像を見る限り、考案者の方も胸椎上部から頭部には軸が通っていないようだ(頭が前に出ている)。(腰の王子がまず開発すべきだという)胸椎上部が動かせないと首は立たない(頭が正しい位置にこない)がそれには別のメソッドが必要だ。

 

  とはいえ、イスを使って上虚下実の状態を作れる、というだけでも素晴らしい方法だと思う。体の歪みもある程度はとれる(といっても、すぐ戻る。根本的に治すにはやりこんで体を躾ける必要がある。インスタントにはできない。功夫がいる。)

  

 

 

 いかに酸素を取り入れることが大事なのか、を論じています。
 
 肺は酸素を取り入れられないし、二酸化炭素を吐き出さない。
 では、酸素を取り入れる器官はどこか?

 そんな考察から、肋骨の柔軟性、可動域を高める話になります。

 昨日のブログとの関連で言えば、いつも俯いて息を吐いていれば肋骨は固まります。
 正しい位置に立つことで肋骨も動きやすい位置に置かれる

 太極拳の時も、『束肋』と言われたりするのは、意識的にそうでもしなければ肺にいっぱい空気が入って肋骨の前面が上がりそうになるから。
 私は昔、『束肋』は、肋骨を束ねたように固めた状態にすることかと思っていましたが、師父に尋ねたら、「それは肋骨が膨らむから束ねたように感じるのだ」と言われて、よく理解できなかったことがあります。

 

 師父の言った意味が分かるまでに暫く時間がかかりましたが、かいつまんで言えば、丹田に気を落とす時は肋骨も拡がっている。胸に空気を"含んでいる"状態になる。あー、だから『含胸』なんだ、と理解を改めた覚えがあります。『含胸』は決して胸を凹ませることではない... けど、ちょっと凹ませないと空気が入らない、肋骨が拡がらない。そういうこと。


 昨日載せた太極拳の老師達のうち、息を吸っているように見えた2人の老師は胸も緩やかに膨らんでいます。吐いているだけの老師は胸を張り出しているか、胸がぺたんこ、脇に 拡がりがありません。
 
 正しい位置に立つには、頭を思っているよりもかなり後ろに引いて立つ必要がありますが、その位置で立つには肋骨が緩む必要があります。肋骨が弛まなければ後ろに倒れてしまいそうになるので、結局、その位置では立てません。

  肋骨を緩めないと正しい位置に立てず、正しい位置に立たないと肋骨が拡がりにくい(注:この場合の肋骨とは前面の下部肋骨ではなく、前面上部と背面の肋骨です)。
  息は背中側にたくさん入ります。

『今日のメモ』毎日の練習は気づきの宝庫。太極拳の練習の成果が何に及ぶかは予測不可能。2012年9月〜のアーカイブは『練習メモアーカイブ』へ

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練習のバイブル本

 『陳式太極拳入門』

   馮志強老師著

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2012/3/20

日本養生学会第13回大会で研究発表をしました。

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