2020年12月

2020/12/31 <肘が落ちないようにするメカニズムがやっと分かった2020年>

 

  今年最後の動画を撮りました。昨日書いた身体の意識の変化を套路の動きで示しそうとしたもの。

  腕を胴体に繋ぐための試みはずっと以前から紹介していましたが、しっかり繋ぐためには、腰から(広背筋)だけでなく、首、鎖骨側からも繋ぐ必要があるのが今年最後になってはっきりしたのでした。”肱”は上から下から作る、それが分かっただけでも今年の収穫あり♪

 

  バレエの世界では「肘を下げない」というのが練習でとても大事になっている。少し検索すると、「どうして肘が下がるのか?」とか、「腕を脱力すると肘が下がってしまいます」とか様々なブログがある。「肘が使えないと脚が上がらない」という回答もあり、これは太極拳で「肱」(二の腕)を胴体に繋げて使えるようにするのと全く同じことを言っているのだと分かる。二の腕、肘が繋げられないと、肘技だけでなく全ての拳や蹴りが正しくできない。

  例えばこのブログではそのしくみを簡単に説明してくれています。以前練習メモで書いた内容の復習にもなります。https://www.personalballet.com/blog/post-2466

  

  動画は雪だるまのような姿で胴体の動きの詳細が見辛いかもしれませんが、ある段階にいる生徒さんには参考になるかと思います(最後の方に首の筋肉の筋膜リリースも簡単に紹介しています。)

  来年もしばらくは身体の(歪みの)調整を太極拳に適用する試み続けそうです。最終的には太極拳を整体に使えるようになるかしら?

  

バレエの世界では「肘を下げない」というのが練習でとても大事になっている。少し検索すると、「どうして肘が下がるのか?」とか、「腕を脱力すると肘が下がってしまいます」とか様々なブログがある。「肘が使えないと脚が上がらない」という回答もあり、これは太極拳で「肱」(二の腕)を胴体に繋げて使えるようにするのと全く同じことを言っているのだと分かる。二の腕、肘が繋げられないと、肘技だけでなく全ての拳や蹴りが正しくできない。

 

 

  例えば下のブログではそのしくみを簡単に説明してくれています。(左の二枚の画像はそのブログに掲載されているもの)

  以前練習メモで書いた内容の復習にもなります。

 

https://www.personalballet.com/blog/post-2466

 

 


  下の動画は雪だるまのような姿で胴体の動きの詳細が見辛いかもしれませんが、ある段階にいる生徒さんには参考になるかと思います(最後の方に首の筋肉の筋膜リリースも簡単に紹介しています。)

  来年もしばらくは身体の(歪みの)調整を太極拳に適用する試み続けそうです。最終的には太極拳を整体に使えるようになるかしら?  

2020/12/30 <全身の見取り図の更新>

 

 これまでの舌貼上顎や首の筋膜リリースと鎖骨回しの話にはオチがある。

  一連の実験エクササイズの結果、自分自身の身体に対する認識が思いがけず更新されたのだ。それはひょっとしたら2020年の一番大きな収穫かもしれない。

 

 私はこれまで身体を「頭、胴体、下半身」と線引きし、「腕は胴体についている」、と当然のように思っていた。しかし、先週、鎖骨回しをやっていたら、あれ?っと、その感覚が変化したのに気づいた。

 ・・・脇のラインで身体は上と下に分かれている

 ・・・腕は脇の高さ(の胸のライン)より上にある

 ・・・腕は頭部にある?

 

 感覚の変化を図にすると下のようなもの。感覚が変化したら認識が更新された。

 

 認識が変わりつつある時、私の頭の中には以前読んだ高岡英夫さんの著書にあった図がおぼろげに浮かんでいた。何だったかな、あの図は? 当時は感覚として全く分からなかった肩周りの図、だけども、今認識しつつあるものはそれと関連しているようだ・・・。

 

 その後、生徒さんにその話をしたら、早速該当部分のページを写メって送ってくれた。「肩包体」というらしい。

 左の図、そしてそのあたりの完結な説明はhttps://ameblo.jp/tetsuyao424/entry-12122917608.html 

 

 高岡英夫さん自身の説明は

https://www.ultimatebody.jp/rensai014.html

 

 

 

  高岡さんの記述はとても難しくて、まだ体感のない部分については理解が及ばないのだが、イメージ的には下のようなものだろう・・・ 

 

上の写真、一般の人より腕の付け根、脇の位置が高くて、脇から頭頂まで(デコルテと頭)が一体化している、もっと単純んいえば、「首が胴体にしっかり差し込まれている」のが見てとれるだろうか?

 

左の写真のように比較すると一目瞭然。

(私も含めて)大多数の人は首の付け根で切れ目ができてしまう(胴体と頭部がしっかり繋がっていない、首が独立してしまっている)。 首がしっかり胴体に埋め込まれると頭部がふらふらしないし、頭の重さを首が支えなくてよい(胴体が支える)ので理論上は首こりや肩こりと無縁になるはず。

 そうだ、あの人・・・

 やっぱり思った通り・・・。あんなに首の長い羽生君だけど、踊っている時の姿は、首がない!

その分脇の上がって腕の位置は高く、腕も長くなる。

 

 太極拳にはバレエやフィギュアスケートのようなピルエットやスピンがないので分かりにくいが、もし自分がピルエット(スピン)をするなら、とやってみようとすると、とたん、顎をひいて頭を亀のように胴体に引き込もうとするのが分かるだろう。そして腕も高い位置(脇の位置)に構えるだろう・・・この腕の位置が太極拳で最も多様する位置。

 

 

左のボリショイの生徒達をみると、腕が落ちてしまっている子もまだ多い。脇の位置がしっかりするには、足で床をしっかり押せるようになるのが最大の前提条件。

 

その上で、舌貼上顎、下顎内収をして沈肩、含胸、をすると足で床をさらに押せるとともに首がしっかり胴体に打ち込まれて一体化するようになる・・・しばらくここを練習して定着させていきたい。

 とは言っても、首がないとはいえ、左のようなチコちゃんでは困る。

 チコちゃん、デコルテがない・・・胸が開いていない、肩がない・・・

 チコちゃん似だと言われるのは単に頭の形や大きさだけではないようだ(苦笑)

 肩や胸はまだ開発できるかなぁ〜。

 

最後にツィスカリーゼでお口直し。

ただ関節が伸びる、のではなくて節節貫通した柔らかさ。力技に見えない。

 

上の女装姿はパロディだけど、もともと女性のような身体のしなやかさを備えている。

胸や肩の開き(内側で貫通させるような開き)は頭部を軽くする(虚霊頂勁につながる)上で太極拳でもとても大事になる。

 

<以上、いつものことですが、ブログを書きながら私自身が勉強しています・・・今年も終わりますが自分の日常は変わらず。>

2020/12/28 <鎖骨から腕がぶら下がる>

 

   舌の練習から首肩周りへ注意が移り、そこでまず注目したのが首の斜角筋と胸鎖乳突筋。これらの筋肉は息を吸うサポートをする筋肉だ。頭を引き上げる筋肉でもあるから頂勁(頭頂から力を引き抜く)にも関係してくる。

 これらの筋肉が硬かったり縮こまっていると頭が前に落ちて姿勢も悪くなる・・・本を読んだりスマホをしたりする時の姿勢はほとんどの場合、胸鎖乳突筋は縮んでる・・・筋肉は縮まずゆったりしていることで自然に伸縮をしてくれる・・・が、ただの首回しでは粗雑過ぎて何をやってるかわからない・・・ということで、まずはこれらの筋肉を整える筋膜リリースを試してみた。

http://breathok.com/respiratory-muscle
http://breathok.com/respiratory-muscle

やり方は以下の通り。

①斜角筋は首の横、胸鎖乳突筋は首の斜め前(ともに筋肉が走る位置)の皮膚を薄くつまんで持ち上げて少し上方に引っ張っておく。(筋肉の膜を持ち上げておくことで下にある筋肉の動き、すべりが良くなる。)

②そして斜角筋の場合はそのまま首をゆっくり横に倒していく。引っかかって止まったら息を深く吸う。すると肋骨の上の方が持ち上がるので、そのままさらに首を倒していく。

胸鎖乳突筋の場合は首の斜め前の皮膚をつまんで持ち上げたまま首を立てたまま横に回していく。同じく詰まったら息を深く吸って胸骨が動くのを感じてさらに横に回していく。

 

 これを生徒さん達にやってもらって感想を聞いたら、何が効いているのかわからない人も案外いたので、ここから解説を加えてみた。

 ポイントは、斜角筋(いわゆる肩こりの位置。アンメルツヨコヨコですりすりしそうな場所?)は首を倒して息を吸うことで”肋骨”までつなぐこと。

 そして、胸鎖乳突筋(これは鏡で前から確認できるVの字の筋肉)は首を横に回して息を吸うことで”胸骨”までつなぐこと。

 

 斜角筋も胸鎖乳突筋も耳の後ろから出発しているが、それがそれぞれ、肋骨と胸骨まで繋がっている感覚が得られると、首肩の世界が変わる。

 

 実は、この筋膜リリースをする前に皆と試した『鎖骨まわし』。

 

 まず鎖骨は左の上図のように左右一直線になっているのが理想的。

下の写真のようなVの字の場合は肩が上がっているから、息を下ろして肩を下げ、胸を開く必要がある。

 

 そしてできるだけ上の図のようにしたら、そこから左右の眉毛のように見える鎖骨を、左右一緒に前回転(バタフライ)、後ろ回転、そして左右交互に前回転(クロール)、交互に後ろ回転(背泳)、と動かしてみる。

 

 さて、どのくらい回るか?

 と、試してみると、鎖骨を回そうとしてもどこを回してるかよく分からない、というのが正直なところ。生徒さんの中には思いっきり肩を上げたり下げたりして回している人もいた。

 

 そしてここで冒頭に紹介した斜角筋と胸鎖乳突筋の筋膜リリースの登場。

 首の後ろから始まるこれら二つの筋肉が実は肋骨や胸骨まで繋がるという感覚を得た、その直後に上の鎖骨回しにもう一度挑戦してみると・・・

 

 明らかに回し方が異なるのだ!(と私もびっくり)

 

 

 筋膜リリースで右図の青線、緑線のような筋肉の心地よいストレッチ感を得た後で、いざ、鎖骨を回そうとしたら、鎖骨眉毛の下側のライン(黄線)が率先して動いていた事実。

 そしてクロールさせたり背泳させたりしているうちに、あれ、なんだかこれは含胸をしているのと同じことでは?と気づきだす。

 そう、やっていることは、沈肩、そして含胸に他ならなかった・・・

 が、これは所謂デコルテをゆったりきれいに開いているのと変わらない。胸の中に(何かを 気を?)含むから広がる・・・そんな含胸。そのまま胸に含んだ気をさらに下に下ろしたら、丹田にぐっと収まる:気沈丹田。

  

 今までこのような首から鎖骨周り(胸の上部)はほとんど素通りしていたということ。

 

 そういえば何年も前に師父が「華蓋穴(任脈上のツボ)は開いたか?」と聞いてきて、こんな場所が開くとか開かないとか、訳わからない、と思ったことがあったけど、あの時言っていたのはこのあたりの感覚だったのだ、と今になってやっと分かる。

 

  この鎖骨沿いの下のラインが動く(意識できる)ようになると、腕がぶらさがったようにぶらぶら動く。生徒さんの中からも同じような感想があった。

  なんでぶらぶらになるのか?

  

  鎖骨は腕の一部分、左右の鎖骨の間(眉なら眉間)が左右の腕の出発点。

  だから、右腕を動かす時も左腕を動かす時もまずは鎖骨眉の眉間から動かす。(・・・と理屈は知っていたけど、実際にできるようになるには今回のような太極拳の練習ではやらないようなことをしなければ私は分からなかった(苦笑))

  腕の骨は鎖骨からぶら下がっているから、鎖骨を動かすと腕がぶらぶら動いてしまうということ。

  

 馮老師は肩関節が特に柔らかいことで有名だが、老師のチャンスー功は見ても何が凄いのか分からなかった・・・が、今もう一度見てみると、、鎖骨につながった肩甲骨が回転しそれに伴い腕がぶらぶらしている。その他の単純なチャンスーの動きも、鎖骨に注目すると、老師がその中心から腕を操作しているのが分かる(実際には丹田→鎖骨の間→腕へと気が流れている。丹田が出発点)。チャンスーが手足、腕脚のものではない・・・軸のものだ、ということがこの動画で学べるのだが、それにはある程度経験、実感がないと見抜けないだろう。

https://news.infoseek.co.jp/article/otonasalone_136925/
https://news.infoseek.co.jp/article/otonasalone_136925/

 

 最後に私的な駄目押し。

 左は「首が痛い人は鎖骨が固い」という表題でかかれたブログで見た骨格模型図。

鎖骨と肩甲骨と上腕骨の繋がりがよく分かる。

 

鎖骨と肩甲骨はぐるっと繋がっていて、胸郭の上に防弾チョッキのように乗っかっている(胴体に骨で接着しているのは胸骨との関節一つだけだそう)。そして上腕骨は鎖骨と肩甲骨に繋がっている。

 

この図を見る限り、なんだか、上腕骨の付いた<鎖骨+肩甲骨>を脱ぎ着できるようではないか? 

服を脱ぐようにこの鎖骨セット一式を脱いでしまったら・・・

 

こんなシンプルな構造。

 

これなら、もし首を横に向けたら、当然胸骨が影響を受ける・・・というか、胸骨も回ってしまいそうになる・・・なのに、胸骨を前に向けたまま回さないでおこうとするなら、脇や腹筋で軸が回転するのを防がなければならないだろう→首を横に向けたら、丹田に力がこもる(丹田の力が必要)。

なのに、通常、私たちが顔を横に向けても腹になんの力も要らないのはなぜ? 鎖骨や肩甲骨が乗っかってるからだろうが、問題なのはそれによって、首から胸骨(や肋骨)までの筋肉の繋がりが遮断されたようになるからではないか? 筋膜リリースをした後に首を回すと腹(丹田)に力が入ることに鑑みると、首の動きが腹まで伝わらない原因はそのあたりにあるのではないかと思う。

 首を倒すのも同様。鎖骨肩甲骨なし人間だと、首を倒したら倒した側と反対側の肋骨が上に引っ張られるからそれを平行に保とうとすると腹で引っ張り下げておく必要がある→丹田に力がこもる(力が必要)

 

 目標は、鎖骨や肩甲骨の損害でその周辺の筋肉が動きを阻害されないようにすること。だから太極拳では常に『松』、筋肉の力を抜け、というのだろう。『松』ができれば筋膜リリースは要らない(苦笑)

 

2020/12/26 <舌貼上顎の意義>

 

  先週は腹斜筋エクササイズから思いがけず舌の問題が発生したのだけど、舌抵上顎というのは舌骨の位置を整えるということに他ならない。

 ボイストレーニングなどでは舌骨を動かしたりするトレーニングがあるようだが、私たち一般人は通常舌骨を動かそうなんて思わない。舌骨は喉仏の少し上に位置する。喉のツボとしては有名な天突穴があるが、この舌骨の位置は廉泉穴にあたる。(下の図は常々使わせて頂いているAIMY鍼灸整骨院のものhttp://www.aimy-ss.jp/NINMYAKU.html

  太極拳の要領の中で『下顎内収』というのがあるが、これを単純に”下顎を引くこと”と理解して、二重アゴになって喉が潰れるほど顎を引いてしまう人がいる。『下顎内収』はそれと同時に後頭隆起(脳戸穴や玉枕穴)を少し引き上げることによって『頂勁』(百会に向かって勁を通す)を直接的に導くものだから、顎を引きすぎてしまっては意味がない。『下顎内収』で意識すべきは上の舌骨の位置、廉泉穴で、ここを内側に引くようにすると良いのだが、外から引いても百会に勁が伝わった感は出にくい。

 一方、『舌抵上顎』『舌貼上顎』を使った場合は、それによって下顎も内収になるし後頭隆起も自然に引き上がって頂勁の感じも出てくる。内側から廉泉穴を引っ張ったようになるのも分かる。この一つの要領で頭部の大事な要領がクリアできてしまう。

 

  ということで、『舌貼上顎』にはそれ自体に『下顎内収』と『後頭隆起の引き上げ』が含まれているから、それがきちんとできればそれだけで『頂勁』を導くことが可能だ。

  ただ、完璧な『舌貼上顎』をやるのはそんなに簡単ではない。舌先は上顎に貼り付いても、そこから舌を後ろにスライドしていって舌の奥までべたっと吸盤のように貼りつかせるには首や背中を内側から開く必要があるのが分かる。結局、沈肩、含胸ができないと理想的な『舌貼上顎』はできない。できてしまうと、師父が言っていたように、首や肩が問題でなくなる(首こり肩こりの問題は生じない)、というのは分かるし、それを腹まで繋げば気沈丹田になってしまって、最後は丹田だけ注意しておけばいいのだというところまでは分かった。が、私自身、やっと練習中にそれを意識し続ければどうにかできる、という程度で、日常生活の中でそれをずっと維持することはまだまだ無理、生徒さん達に尋ねたら案の定、舌の奥は貼りつかないという人もいた。

 

  そこで、『舌貼上顎』をもう少し楽にできるようにするために、もう少し肩周りを開く(ほぐす)べきだと矛先を首肩に転じることにした。

  そういえば、私が太極拳の練習を始めた頃、克服したいことが3つあった。それは寒さへの恐怖、便秘、そして首と肩のコリ。最初の2つについては師父との練習で気づいたら克服してしまっていたのだが、最後の首コリ、肩コリはまだ克服できていない。卓球で随分前肩になったし、と言い訳してきたが、やはりそろそろ本腰入れて取り組まなければならない。師父のように、「自分には肩こりはない」、と言い切れるようになったらどんなにいいだろう・・・

 

 そんな経緯から先週後半は自分の勉強も兼ねて肩周りの特別な練習を生徒さん達と一緒にやっていました。その結果、どこまでが頭部でどこからどこまでが胴体か、といった身体に対する意識が変化。「肩はない」という師父の言葉の意味が突然分かったそのあたりの練習については次回書きます。

  

2020/12/23 <手足を引き抜くには命門の開き=腹圧が必要>

 

  12/20の動画で、私が手足を突っ張って起き上がる動作を見せましたが、それを真似してやって見た生徒さん複数から同じ質問をもらいました。

 「起き上がるのはできるのだけど腰の下が少し浮いています。それでよいでしょうか?」

  

 質問をもらって、大事なことを言い忘れていたことに気づきました。

 腰の下が浮いたとしたら、気を引き抜いて(節節貫通で)起き上がってはいないです。ピラティスのロールアップや通常のバイシクルクランチのように腹筋を締めて(縮めて)使っている。

 引き抜くには命門から仙骨まで床を押し続けていなければなりません。

 

 これが太極拳の『命門を開く』という意味で、これがないと脚も伸びないし足裏で地面を踏めない(青線)。手に引き抜く緑線も現れない。

 すなわち、全ては<命門・腰・仙骨で押すことから始まる>といっても過言ではないということ。ただ、頭部を持ち上げるには舌抵上顎が必要で、この舌を胸の中まで繋いで(含胸になります)舌の力で胸から頭までを持ち上げることになる(と、やっと分かりましたが動画の私はそこまで分かっていなかったのでやっていません。胸から頭については小グループに教えながら実験中。)

 

 まずは命門!

 上の絵を90度回転させて立ち上がらせれば、立位になります。タントウ功でも片足立ちでも、命門の押し、開きがないと始まらない。そして腰の押しは『塌腰』、仙骨の押しは『敛臀』、ここが一直線になって押します・・・が立つと何を押しているのか感覚がとれないかも?

 立った時は外を押すのではなく、腹で背骨を押して内側から命門、腰、仙骨を押している感覚です。分からなければ、再度上の図のように寝てみて、手足に力を引き抜く時に自分の腹や腰がどうなっているか観察してみればいい。背中がダイレクトに床を押しているわけではなくて、腹圧で命門、腰、仙骨が床を押しているのがわかるはず。それがわかれば、それを立位でやればできあがりです。

 これが足に気を下ろし、そして踏めるようになるための要領です。

 普段からそうやって立つように訓練すべき・・・仁王立ちへの第一歩かな。

 

2020/12/22 <中国サイトの『舌抵上顎』の説明>

 

  『舌抵上顎』は太極拳に限らず中医学に基づく気功法において非常に大事な要領なので、中国サイトを検索すべきかも、と検索をしたら、Baidu百科に説明があった。https://baike.baidu.com/item/%E8%88%8C%E6%8A%B5%E4%B8%8A%E8%85%AD/10569252?fr=aladdin

 

上のサイトにある右の絵が『舌抵上顎』。

 

「舌の先端が上歯茎を支え、舌の中央はアーチ型になって上顎を支える。」とある。

 

 

 右の絵のような「舌先だけば上歯茎についていてそれ以外の部位が上顎から離れてしまっているのは正しくない、誤解だ」と書いている。

 

 

 しかしながら、冒頭の絵を見ると、昨日紹介した動画などで理想的な舌の位置とは微妙に違うよう。舌が気道を塞ぐようにピタッと吸盤のように上顎貼りつく位置は冒頭の絵よりも舌をさらに後ろにずらしたところになる。

 冒頭の絵では舌先が前過ぎて、舌中央は上顎に貼り付いても舌奥が上顎奥から離れてしまう。舌と上顎の間が真空状態(舌が吸盤状態)にならない。

 

 とはいえ、このサイトによると、このような功法を実施することにより「任脈督脈が繋がり全身の経絡が通るので上下の気血の流れがよくなる、脳をリフレッシュして体質を強化する、唾液を含む体液を増やすなど多くの効果がある。」と書かれている。 

 

 なおサイトの下の方には「子供の頃は口が舌を含んだようになっているから唾液が多い。無理に舌を巻き上げようとすると力が入って口の中が乾いてしまう。だから練功の時は無理に『舌抵上顎』をすべきではない。入静状態に入るのが妨げられてしまう。後ろの督脈が任脈に接した時、舌が自然に磁吸力を得て上顎に貼り付き、よって督脈と任脈が貫通する。」とある。

 そういえば、私もタントウ功の時に突然舌が膨張したようになって上顎を押し出した記憶がある。それを師父に報告した際、師父が、「全身の肉に気が通った証拠だ。”舌は肉の余り”と言うのだから。」と言ったのも併せて覚えているが、だとしたら、舌がぴったり吸盤のように貼りつくように無理にトレーニングするべきではないのだろうか?

 

 こういうところが、全体、総体、wholeとしての身体の状態を良くしていくことで局部の状態も自然に整うという気功法を貫くのか、それとも、特定の部位のエクササイズを組み合わせることによって総体的な能力を高めようとする西洋的、科学的トレーニングを採用するのか、というジレンマに陥るところ。

 師父のような一昔前の中国人老師は中医学的気功的な発想一本で貫く。経絡の話はしても筋肉の話は全くしない・・・まずは任脈督脈を貫通させてそれからその他の経線を通していくうちに次第に横線の繋がりが出てきて最後にはきれいな球体の身体をつくる。それができれば身体にできないことはない・・・簡単にいえばそんな考え方だ。だからタントウ功や坐禅で身体の中の気の量を増やして経絡を自らの気で開けていくような功法が使われてきた(周天)。

 だけども、周天をするにはかなりの時間を静功に費やさなければならなくて、忙しない現代人(現代中国人も含めて)にはあまり向かないのかもしれない。たとえやっても指導者が身近にいないと道に迷ってしまう可能性も高い。

 一方、西洋系はパーツパーツのエクササイズをを高めることによって総体を上げるというやり方。エクササイズのやり方、目的、効果がはっきりとしている。頭で理解しやすいし効果も感じやすい。ただ身体の底力、エネルギー量をどうやって養うのかは後回しにされがち。

 

 私は両方を併用するのが良いと思うし、実際、最近は併用する人が多いと思う。
 局部的にできないエクササイズがあった場合(例えば今回の『舌抵上顎』がぴったりできない場合、一生懸命それができるように舌の練習をするのではなく、それができない要因となっている首肩を開くための経絡の開通ができるようにタントウ功や坐禅をさせて、腹の気(丹田の気)がそのまま舌に直通で繋がることがうっすらわかる頃には『舌抵上顎』ができそうになるだろうし、その意義も身体ではっきり感じることができるだろうと思う。曲芸のように『舌抵上顎』ができても使えない・・・『舌抵上顎』は任脈と督脈が一通り(大体)通りました、という印として現れるもの・・・けれども、もう少しで任脈と督脈が繋がる段階にある人にとっては、この『舌抵上顎』自体を意識的に練習することで任督が開通してしまうだろう。 も少し深追いすべきなのか、深追いせずに別のことをすべきなのか、そのあたりの判断も練習には大事になってくる。も少し追いかけたら振り返ってもらえるのか、追いかければ追いかけるほど逃げられるのか・・・若い頃の恋愛ゲームのようだ。その塩梅を見て導けるのが良い指導者だと思うが、良い指導者になるのもなかなか難しい。生徒一人一人を”見る”眼が必要になる・・・

2020/12/21 <ピラティスの比較から 腕、足、そして舌>

 

  昨日の動画を見て「あれはピラティスのロールアップですね。」と教えてくれた生徒さんがいた。そこでピラティスではどうやっているのか見てみたら面白いことに気付いた。

 パッと見て気付いたのは、手の指先が伸びていて、足はトウの人もいれば、ドゥミポワントのような人もいれば、最初から膝を曲げている人(できない人用か?)もいるということ。

 手の指をまっすぐ伸ばして起き上がる方が、(私がやったように)手首を折って上がるより楽だと生徒さんが言っていたので私もやってみた。確かに楽・・・でも、何故だろう?

 

 手の指を真っ直ぐに伸ばして起きると、明らかに腹直筋(シックスパックになる表層の腹筋)が使われるのが分かる。これに対し、手首を曲げて(フレックスにして)起き上がった場合は腹直筋が使われない。腹の中の筒(腹圧)でドンと上がってくる感じになる。

 

 そして実際にロールアップの動画や説明を見たら、なるほど、これは「ロールアップ」という名前の通り、脊椎を一つ一つ意識して起き上がってくるもので、「息を吐いて頭をいれたまま腹を締め、腹筋を使って背骨を丸めて足先まで起き上がります」(http://ja.eatndiet.com/roll-up-and-down/)とある。

 やはり腹を締めるものらしい・・・

 

 では私がやった手足をフレックスした状態で起き上がってくるものはどういうことだったのか?

 

 生徒さんの中には起き上がってこられない人もいたのだが、私の動画を見て、「腕は肩甲骨だけでなく腰まで繋いでしまうのだ」と気付いて真似をしたら(お腹はきつかったけど)起き上がれた、という生徒さんがいた。骨盤まで腕をつないだらできました、という人も。

 つまり、一つは腕の繋ぎ方がピラティスやバイシクルクランチと違うということだ。

 これは太極拳で二の腕を広背筋にしっかりつないでおく、という要領を使っているか否かの違い。上のピラティスの動作は腕がどれも肩甲骨止まりだ(だから腹筋を締めて使う運動になる)。

 

 そしてもう一つ、足がフレックスか、それとも指を伸ばしているかの違い。

 足をフレックスにすると手もつられてフレックスになるが、この時、中途半端なフレックスではなくしっかりフレックスをすると、起き上がる時に、腹の筋肉を縮めることができないし、太ももの前側の筋肉を縮めることもできない。内側の気を爆発的に貫通させるしかないが、その時に非常に大事になるのが、”舌”で上顎の奥の方をしっかり推すということ。舌の力がないと頭や肩あたりが持ち上がらない。

 これに対し、指を適当に伸ばしている場合は、腹筋を使って上がってくるので、舌は軽く前歯の後ろについていればよくて舌で推している感覚はない。(逆に舌を上顎に貼り付けたままだと起き上がれないのでは?)このように踵を使わずに足の甲側だけ使うと太ももの前側の筋肉が使われてハムストリングスは使わないことになる。

 

 ここで注意するのはフレックスの形。太極拳でも立った時の足首はバレエダンサーのようにしっかりフレックスしているのだが、フレックスをすると踵の骨が引き出されてその分土踏まずが上がり、蹬脚で蹴ったときのように気が足裏から発せられる(だから足首のフレックスの対になる手首のフレックスが”掌”として威力を発することになる。)

 そしてバレエダンサーのポワントだが、これは踵を巻き込んだまま足の甲を出した結果爪先が伸びたようになっている。いわばフレックスの踵のままフレックスとは反対向きに足の指を伸ばしているので、このような足(トゥシューズで立った時)の場合は踵を巻き込んでいる限り、舌は上顎の奥を押して百会を上げ(頂勁)る。

 

 と、そんな比較をしていたら、改めて「舌抵上顎」「舌貼上顎」を見直すことになってしまった。

 

 馮志強老師のテキストには、身体を引き上げる箇所は三つ、会陰と舌と百会だ、と書かれていた。これを読んだ時、舌? と頭の中にクエスチョンマークがついたのを覚えている。

 会陰の引き上げは練習中だけでなく四六時中、寝ていてもできるようになれ、と随分躾けられたが、舌についてはそこまで厳しく言われたことはなかった。けれども、師父がしゃべっているときに下から見上げてみていると、舌の位置が日本人より随分後ろにあることは知っていた。

 私たち日本人は nとngの違いがほとんど聞き取れない。例えば「林(lin)」と「霊(ling)」(ともに2声)を続けて言ってもらっても私には違いが分からない。師父は、「林linの時は舌先が上顎の前歯のすぐ後ろにくっついているけど、霊lingの時は舌の奥が上がって舌先は離れている。」と見せてくれたけど、nの時は口があまり開いてなくて、ngの時は口がぽわんとしてる、くらいで区別するしかない(苦笑)

 

 そして舌を上顎に貼り付けておく、というのは、まさにそのngの発音の時のように舌の奥が上顎の奥に貼り付いて気道を塞いでいる状態なのだ→だから鼻でしっかり呼吸をすることになる。そして、それだけで丹田が膨らんでしまう・・・

 このあたりは以前ヨガのケーチャリームドラを紹介したことがあったので、それともオーバーラップするのだけど、今回知ったのは、舌の定位置は舌先が上顎につくというのではなく、舌全体、特に舌の奥がぴったり吸盤のようにくっついていなければならない、ということ。

 昨日の動画のような起き方をすると嫌でも舌の奥が頑張らなければならないが、普段から無意識でもそうなるようにすることが、呼吸、首こり肩こり、前肩、咀嚼、・・・そして美顔、のためにも必要だということ。

 太極拳の「舌貼上顎」は別に太極拳特有の要領ではなかった・・・いや、その他沈肩も含胸も、思いつくものは全て太極拳の要領ではなくて人間の正しいポスチャーの要領・・・今更ながら。

 

 舌の正しい位置については下の動画が危機感を煽るかなぁ。このくらいでないと人々の興味をそそらないのかもしれません・・・

 

 

 この下の動画は舌の位置による顔の骨格への影響を語っています。

 舌が上顎に貼り付いて鼻の周辺を内側から押し上げることで魅力的な顔になる・・・ということよりも、鼻と目がしっかり使えるようになる、というところがとても大事だと私は思います。 

 例えば右の演技直後の羽生君、ぜったいに口でハアハアしない、呼吸を乱れさせない鼻呼吸、そしてしっかりした眼神・・・口の中で舌は絶対にそうなっている・・・

 普段見ないタイプの動画ですが、説明がわかりやすいので紹介します。

 さらに興味があればオーソトロビクスの先生の動画も。
 歯科医によれば、マウスピースをすると寝てる間も舌が正しい位置にくるそう(私は体験済み)

2020/12/20

 

  昨日のメモではきっと言いたいことが伝わらないだろうと思ったので動画を撮りました。

 

  蛇足かもしれませんが、撮りながら、昨日の写真の中の青いタンクトップの女性は、寝た姿勢から起き上がったのではなく、座った姿勢から(撮影のために)あのポーズを撮ったのだと気づきました・・・両肘をあのように180度張ったままでは起き上がれない・・・座位から倒れていくなら180度張った方が体幹を崩さずにいられる。

 

  腹筋を締めずに腹圧で腹を膨らませたまま起き上がるには手足を引き抜くのがコツ。

  結局、クランチをする前の姿勢(セッティング)ができるかどうかが鍵になるよう。

  脚が腹から足裏(足先)へと引き抜けるか?

  腕が腹から掌(手先)へと引き抜けるか?

  脚も腕も腹から引き抜ければ、手から足までが一つの気(エネルギー)で繋がってしまう。

 

 

 実際に立位の太極拳でそれを経験するのは難しいのだけど寝た形だと分かりやすい(のは何故だろう?)

 まあ、布団の中でやる大きな伸びもそんなもの?

 椅子に座ってでもそんな伸びをしていたかもしれない・・・子供の頃は。

 

 動画を二つに分けています。

 後半の<腹斜筋ー内転筋>の太極拳への適用は、四隅勁になるようです。となると四正勁の時もすでに背景に四隅勁が働いている(だから球になる)と感じますが、そのあたりはいずれ師父に確認します。

 動画見直して気づきましたが、腹斜筋の動きを見せようとし過ぎて気沈丹田ができていません(苦笑)本当は最後に気をぐっと腹底に沈めなければならない。気をつけます。

2020/12/19 <バイシクルクランチを太極拳的にやると楽チンになる>

 

  今日は少人数の生徒さん達に、バイシクルクランチを太極拳的にやるとどうなるのか→張力を働かした変型クランチ、を教えてみた。

 通常見るクランチとの違いは、足をフレックスにして片足を伸ばしきって床を踏んでいるかのように力を引き抜くこと(突っ張ること)。併せて、二の腕を広背筋と繋いだ上体から手からも力を引き抜き切ること。手から、そして足から力を引き抜くことで、全身が上下に引き抜かれるようになる。

 これをやってから、片脚の膝を曲げて頭を曲げた膝の方向に向けて上体を起こすと・・・苦しくない!長時間そのままでいられそうになる。

 対比として、通常のクランチのように、足(feet)を意識せずに適当に浮かせて腹筋だけを割る意識で片膝曲げて上体を起こしてみると、ウッとキツイはず。

 

 太極拳でなぜ地面を踏み続けることが必要か、というと、これがないと、足⇔手、足⇔頭頂の引っ張り合い(張力)が出てこないからだが(頭の場合、引っ張り合いで頭頂に達したものを”頂勁”、そして頭から気を引き抜いたのを”虚霊”と表している。手足については似たような表現はあるのかしら?)、立って太極拳をやってもなかなか全身の引っ張り合い、力を引き抜いた感覚は得られない。しかし、このようなエクササイズだとその感覚が得られやすいというメリットがある。

 ただ、やり方が問題。

 ラジオ体操も太極拳的にやればまったく別物になるように、クランチも太極拳的にやると筋肉的にも使い方が全く変わってしまう。

 上は画像検索して出てきたバイシクルクランチの写真の一部(それぞれリンクを貼っています)。

 どれもギュッとか、ウッという感じできつそうなのだけど、左下の青いタンクトップのお姉さんだけがなぜか異質。はぁ?という抜けた表情でまったく苦しくなさそうだ。

 ここに違いがある。 このお姉さんの伸ばした足先はしっかりポワントで脚を伸ばしきって爪先から気を引き抜いている。そして腕。脇が完全に開いて広背筋→二の腕→肘へと気が引き抜かれている(これだけ脇が開いて両肘が180度に開くのは只者ではない?)上下にピンと張られたロープの中でこの運動をすると、歯を食いしばるほどの苦しさはない。腹の中は捻れず、腹腔が気で満たされたまま(腹圧が高いまま)その周りの筋肉達が層として回転する。

 これが太極拳の身体の使い方でやるクランチだ。

 

 通常のクランチだと腹筋がギュッと締まるが、太極拳的だと腹圧を高めて内側から外向きに筋肉をストレッチ(伸ばす)するようになる。息も前者だと吸いながらではできないと思うが、太極拳的だと吸気でできてしまう(吸気の方が吐気より楽チン)。

 

 今年の10月5日のメモでイチロー選手の筋トレマシーンを使った画像を載せたが、イチロー選手の筋トレはおしゃべりしながらでもOK。普通の筋トレは笑顔でおしゃべりしながらはできない。

 上のクランチも同じ。青いお姉さんは息切れせずにおしゃべりしながら何セットかクリアできそうだ。

 

 実はこのクランチの足を引き伸ばして踏むということ、そして腕の引き伸ばし方、そして、身体をまっすぐ起こすのではなく捻って起こす(腹直筋ではなく腹斜筋を使う)というのが太極拳の片足立ち、蹴り、そして拳、全てに共通する重要な要領・・・と私もこれをやってみて気づいた。太極拳はいつも背骨を捻ってキメている。真っ直ぐでは何の力も出ない・・・

 ・・・と、このあたりは、実際に私がやって動画に撮って説明しないと文章では分からないだろうなぁ。が、動画に撮るにしても、理路整然と説明できるかどうか? 足を引き抜く、だけでも大きな一つの論点。手を引き抜くのを教えるのは更に大変な論点。腹斜筋と内転筋が鍵になる、というところも四隅勁との絡みで第論点。顔を横に向ける(顔の向き)というのは背骨の軸の回転につながる・・・それらがこのバイシクルクランチの中に合わさっていた。要点だけでも分かるととても面白い話。気が向いたら動画を撮ります。

 

2020/12/17 <腹斜筋エクササイズから首の問題へ>

 

  最近は数人の生徒さんに実験台になってもらっていろいろなエクササイズを試してもらっているが、その中で脇腹の腹斜筋を鍛えるためのエクササイズは肝心の腹斜筋に効いていないようだった。

https://jitaku.hatenablog.jp/entry/2018/05/21/111358
https://jitaku.hatenablog.jp/entry/2018/05/21/111358

紹介したのはバイシクルクランチ(左写真)の変形型。

このような形で右手で左膝を抱いて膝を左胸に近づける。顔は左を向いて、そのまま左手を伸ばしてぐるぐる回す。

太極拳で手をぐるぐるさせるのと同様の原理で、手で遠心力をかけることによって内側が絞られて内側から筋肉を鍛える(調整する)やり方だ。

 

 実はこの生徒さんに試してもらった変形バイシクルクランチは主に腹斜筋に効くと銘打っているが、実際には腹筋を総動員する。

 

http://www.aloha-pilates.com/14583907901746
http://www.aloha-pilates.com/14583907901746

真正なバイシクルクランチでは胴体を強く捻って息がこもるので(横隔膜が動くような呼吸をする余裕がない)、胴体の表面にある腹直筋や外腹斜筋が縮む方向に鍛えられても、奥にある腹横筋を内側からストレッチすることができない。

 

変形型は腕をぐるぐるすることで腹の奥からじわじわと腹圧を高めていって、内側の腹横筋から外内腹斜筋を内側からストレッチして鍛えていくように計算されたものだった(左図参照)。

 

太極拳やバレエなど、中正を保って動くものは腹圧を高めて筋肉を内側から伸ばすような鍛え方になるようだ→呼吸の仕方が大事になる。

 

腹筋の話はここでは置いておいて

このエクササイズを生徒に試してもらったら、皆が口を揃えたように、首と腹、特に首が辛い、という感想だった。

 

  腹も、腹の奥や中央部分で、腹斜筋の部位に効いているという感想はなかった。

 

  そんな感想を受けて、まず首が痛いのはなぜか?そこを考えた。

  それは首だけで頭を支えているから。

  

https://radia-gym.com/blog/179403.html
https://radia-gym.com/blog/179403.html

 

頭は首の筋肉だけで支えている訳ではない。

 

脊柱起立筋をしっかり使えば、仙骨まで首になる♪

 

(図を見る限り)頭を回転させたらこの筋肉達も動く。

 顔を右に向けたのに、お尻の仙骨あたりが引っ張られた感じがしないとしたら、左図のピンクのライン(最長筋)が作動していない、ということでは?

 

 と、ここで背骨を伸ばして椅子に正しく座り直して頭を右に向けると・・・確かに仙骨あたりに引っ張られた感がある。

  猫背でパソコンを打っているとその感覚は得られない・・・備え持った筋肉を使い切るには正しい姿勢が必要と実感。(正しい姿勢が分かるためには正しい姿勢になるための筋肉を使わなければならないのだけど、その筋肉がどうやったら使えるかが分からないからないから困っている・・・正しい姿勢になれば正しく筋肉が使える、というのは使えない論理・・・)

 

 

  ではどうやったらこの脊柱起立筋を使って骨盤から頭まで繋がる感覚を得られるのか?

 

  ここで最近本棚に眠っていたバレエの教則本をパラパラめくっていて印象に残っていた絵を思い出した。早速該当部分をもう一度読み直す。

  あ〜ここにヒントがある!

 

 『インサイド・バレエテクニック』Valerie Grieg著 より。

 

 一文一文が吟味されて書かれていて読みとばせない、名著なのがよく分かる。

 この1ページの中にも大事なことがいろいろ込められていて、自分のその時のレベルに応じて読み取れることも変わってくる。

 

 さて、ここで実験。

 絵のようにバーを持って立ち、まず頭を真後ろに倒して身体を反らしてみる。

 それから、絵のように、頭をどちらか横に向けて倒してみる。

 その違いは?

 

 このページの最後に書いている通り、真後ろに倒していくと、頭の重さで途中で首がガクンとなる(首がだらりとぶら下がってしまう)=脊柱起立筋の繋がりが切れている。

 しかし、絵でやっているように、頭を横に向けて後ろに倒していくと・・・あら不思議、さっきよりもずっと楽に反れる。頭の重さが気にならない。

 

 試してもらった生徒さん達も驚いた小さな発見。

 何故だろう?

 ここでキーになるのは、図示されている胸鎖乳突筋だろう。

 ページの左上に小さく書いてある。「セナカを反らし始める時、この筋肉(胸鎖乳突筋)で頭を支えます。」

 

 生徒さん達からは、頭を横に向けて反ると、肩甲骨が分かる、とか、腕の付け根が引っ張られる、安定する、といった声があった。私自身も右脇と左脇が引っ張り合いになって貫通し胸が左右に広がる感じがある。頭を真後ろに倒すと、肩や胸が縮んで窮屈なのとは真反対だ。

 

 脊柱起立筋の作用は脊柱の伸展、すなわち反る動作として作用するとのこと。

 でも、このように頭を横に向けて反らしていくと脊柱起立筋が頑張っている感覚はないのだけど・・・

 

 と、そして気づいたのは、上の胸鎖乳突筋の存在。

 耳の後ろから鎖骨まで繋がるこの筋肉が端から端まできちんと使えるようにすると、首肩、そして頭のの位置が正しく調整されるということ。

 頭首肩のアライメントが整うと少なくとも頚椎から肩甲骨下縁あたりまでの脊柱起立筋はきちんと使えるようになる。姿勢が正しいからその部分の筋肉はオート(自動)で意識せずとも作用してしまう。

 あ〜、こういう手があったのね。(と一人で納得)。

 作用させたい筋肉に着目するのではなく、別の筋肉に着目して間接的に目的の筋肉を作用させてしまう・・・

 

 今日はこの反るエクササイズが面白くて何度もやっていたら、歩く時の姿勢も変わってしまった・・・師父の歩き方のよう。

 頭を横にして反らして肩や胸がすっきり広がったら、身体を真っ直ぐに戻した時もその感覚を保持する。胸鎖乳突筋の首の二本の筋がしっかり使えていたら沈肩、含胸はオートでできてしまう気がする。

 

2020/12/15 <前胯の松のスポットを探す>

 

 

  動画の説明

 

 ①前脚の内腿の付け根(前胯)の松スポットを探す
  付け根に向かって自分の身体の重みを(怖がらずに)落としていく

  内腿のスジを伸ばす意識よりも、そこに体重をかけて身体を落としていく意識が大事。

  腹の気(丹田)を鼠蹊部まで落とし込んでいく(中丹田の気を下丹田へ落とし込んでいる)。

  俯くと腹が凹んで重石がかからない。

 

 ②後脚の内腿付け根(内胯)の松スポットは大腿骨を少し外旋することで得られる。

  足首をしっかりフレックスした上体で踵を内側に向ける(つま先が外に向く)

  →内踵で内腿付け根が合う 

  膝を緩めると内胯の松スポットが広がる。

 

 

  ③胴体は常に左右の内胯の松スポットに差し込まれて乗っかったようになる。

  そのまま動く

  体重移動は左右の前胯の松スポット間の移動になる

  →内腿付け根(前胯)と内踵の合が前提(以前カエルの例で説明した通り)

  

 

  ④前胯の松スポットに限らず、関節の隙間はエネルギーの貯蔵庫。発勁の時にそれらを使う。発勁せずに体内で気を循環させる時は緩みを維持し続ける。

 

  文章で説明するとややこしいが、空手の型と比べるとイメージ的に違いがはっきりすると思う・・・(写真にそれぞれリンクを貼っています)

 

  

 

 空手が太極拳と違うところ・・・パッと見てすぐわかるのは、空手は額に青筋が立つような気合い(?)があること。このやろ〜!という気迫で戦っていく(かのよう)。身体はギュッと締まる。拳もギュッと握り、腕には筋肉のスジが立つ。

 身体を硬く鋼のようにした場合、腹は緩まない。腹もギュッと締まる。ギュッと締まると気は動かない。丹田の気はギュッと圧縮されたまま。

 こうなると、丹田の気が股関節、鼠蹊部(内胯)まで落ちていかない。股関節(胯)の松のスポットが現れない。筋骨皮に頼ることになる。(ひょっとしたら真の空手の達人はもっと腹を緩めて股関節まで気を落としているのかもしれない・・・にしても、この帯のせいで、かえって帯より下に気が落ちなくなっている気がしなくもない・・・帯がなければ胴体が分断されることなく骨盤底筋まで胴体として使いやすいだろうけど・・・そもそもパンツを履いたところでアウトなのかもしれない 以上独り言)

 頭や腕、上半身に力が入ったらすでに気は上に上がってしまっている→上実下虚

 演武だからわざとものすごい表情をしているのかもしれないが、ものすごい表情をしたまま私自身、動画に撮ったように前後開脚をしても内腿付け根の緩んだポイントは見つけられない。緩んだポイントを見つけるには表情も緩めなければならない。(試してみて下さい!)。顔も緩めないと気は腹底までおちないのだ・・・面白い♪

 心を平静に保たないと気が沈まない、という点からすると、心の平安を得るには太極拳の方が理に適っているかなぁ。エネルギー発散の必要な若者や鬱になりそうな人は空手の方が合っている。心が外向きか内向きか、性向もあるのでどちらが良い悪いではなく、対比することでお互いに自分の特徴が分かると思います。

 

 関節のスポットに入り込んで涼しい顔して動くには身体を信頼して力を抜かなければならない。身体の内側に入り込んでいく意識、太極拳ではそれが必要になる。

 たかが内腿付け根の松だけど、それを探してそこに入れるか否かで外見上同じようでも質的に全く違う現象が現れてくる。

 

2020/12/13 <腸腰筋のストレッチから内腿付け根の隙間へ>

 

  腸腰筋のストレッチの定番の形は前後開脚の途中のような形になるのだが、この時多くの人のネックになるのが内腿の付け根が硬かったり痛かったりして伸びないことだ。が、伸びないからといって俯いて腰を丸くしてしまうと内腿付け根はギュッとさらに硬くなる。

 

 腸腰筋ストレッチの形は例えば次のように図示されている。

https://nobiru-karada.com/stretch-iliopsoasより

 

腸腰筋がストレッチされた形は、お腹がぐっと前にでて腹が立ち上がったような状態になる。

 

もしここで、骨盤をさらに前方に移動させて、前脚の内腿の付け根が前脚の踵につきそうなところまでいけたなら、前脚内腿付け根にぽっかり隙間が空いてとても楽チンになるのが分かる。ここが恥骨側から感じる胯(クワ)の松。前クワの松、と師父がよく言うもの。

骨盤を前方に移動させても分からない場合は曲げた膝をほんの少し外に向けて内腿付け根を開いてあげると隙間が現れたりする。

 前クワの松は立位で感じるのは難しいが、このように思いっきり開脚をすると分かりやすい。

 

 そして、後脚について言えば、上の図のようにつま先をまっすぐ後方に伸ばしたところから、つま先を外側に90度向けて踵を出すようにすると後脚の内腿の付け根の隙間スポットが現れる。(少しキツイかも)

 

 太極拳の前後の弓歩はこの前後の脚の内腿の付け根の隙間で立っている。

 前後の重心移動はその前後の隙間から隙間への移動だ。

 弓歩で後の足のつま先が外を向いているのはこの内腿の付け根の隙間を作るため。

 前側の内腿の付け根の隙間で恥骨から腹を立て、後ろ側の内腿の付け根の隙間で腰がしっかりする(つま先を外に開いて踵を引っ張り出すことで踵から腰に力が伝わる)。

 

 太極拳の場合はヨガのように筋を伸ばして身体をいろんな方向に曲げるわけではなく、常に、隙間(松のスポット)を探して、エネルギーをひとまとめにすることを狙っているように思う。

 ただ、隙間を探すにはある程度体中の筋が伸びなければならない。ガチガチの身体では隙間が見つからない。

 まずは松して筋を緩めるのが大事だが、ある程度緩んできたら、少しずつ隙間を見つける練習が必要だ。圧腿や開脚、坐禅など、筋を伸ばす基本的な練習は太極拳の練習と並行して毎日少しずつやっておく必要があるなぁ、と私もその必要性を痛感しています。放っておくとすぐに硬くなる(苦笑)

2020/12/11 <骨盤から腸腰筋へ>

 

  骨盤の話はそのまま腸腰筋の話へと繋がる。

 

http://www.aioota.org/blog-clinic/post-2701/
http://www.aioota.org/blog-clinic/post-2701/

 この腸腰筋の図と昨日の骨盤のABCラインを照らし合わせると、Cラインを意識できるには大腰筋(の腰椎接着部)、Bラインは腸骨筋、Aラインは大腰筋と腸腰筋(の小転子接着部にかけて)、が適度にストレッチされる必要がある。

 

 すなわち、ABCライン、全てを同時に感じて『骨盤』で座ったり立ったり動いたりする、ということは、常に腸腰筋を使っている、ということだ。

 

 骨盤で動いていると『脚』の意識がほとんどなくなってしまう。

 骨盤を動かすともう足裏、骨盤から足裏までは素通りしたようになる。

 若い頃卓球をしていた時、すでに調子がいい時、悪い時、の差があることは気づいていたが、今思えば、調子が良くて自分でも不思議なくらい身軽に動けてしまう時というのはこの骨盤で動いていたのだと思う。

 一度太ももや膝が気になり出したら脚は重くて素早く動けなくなってしまう。脚は骨盤まで釣り上げて置かなければならない。

 

 知ると意識が変わる事実、それは、骨盤を上下半分のラインで分けた時、上半分は胴体、下半分は脚の領域だということ。股関節は骨盤の上下半分のラインに位置する。

 脚の付け根(大腿骨骨頭)は骨盤のほぼ中央線上にある。だから、脚を使う時は骨盤の中を動かさすように意識する必要がある。これを間違えて、太ももの途中の骨あたりから動かそうとすると大腿骨が完全に動かず関節で捻れが起こる。脚と胴体の連結も切れるし怪我の原因になる。骨は付け根、関節から動かすのが鉄則。骨の途中から動かすのはNG。

 

 そして”会陰の引き上げ”というのは、会陰を大腿骨骨頭のラインまで引き上げることでそこから脚を使えるようにするものだ。即ち、骨盤内の大腿骨骨頭から脚を使おうとしたら会陰は引き上げなければならないし、大腿骨骨頭から脚を使おうとすると会陰は引き上がってしまう。

 

 骨盤のABCラインをはっきり意識できるようにするには腸腰筋がしっかり張る必要がある。

 坐禅でしっかり腰を立てるにも、そして立つのも歩くのも、腸腰筋のパーンとした張りが必要。
 そして太極拳で強調される、松して丹田に気を溜めるというのも腸腰筋をパーンと張らせるためのものだと思う。広義のポン、身体の膨らみだ。

 

 検索するといろいろなサイトで腸腰筋の説明がなされている。

 以下腸腰筋についての資料集め。

 

 腸腰筋と姿勢の関係は、例えば https://physioyusuke.blog/iliopsoas-stretch-training/

ではこのように完結に説明してくれている。

 

ヨガのサイト https://yogajournal.jp/1936 では左のような図で女性に恐怖感を与えているが、ヒップアップしようと収縮しすぎると、上の図のような反り腰になってしまうので注意。

 

反り腰も猫背も腸腰筋がうまく使われていない証拠。

https://kyousaku.karadane.jp/articles/entry/care/self/006403/

左の図:https://hajime-karada.com/shisei-4 より

 

胴体と脚を直接結ぶ筋肉は大腰筋。

このだら〜と見える大腰筋をどうやって強力なゴムにしてゴムとして使えるようにするか?

 

 猫背やO脚、腰痛、ぽっこりお腹の原因にもなる・・・

 

←オーソドックスなストレッチ法

 

https://www.medicalview.co.jp/50th/exercise/p05.shtml

 

 

 

 

 この時にお尻を持ち上げて腰を反らさずに、心持ちお尻を下げて(斂臀)命門(腰椎2番と3番の間)を開くようにする(腰椎のS字カーブを減らすようにする)と、大腰筋のストレッチが強くかかる。

 

 実はこの姿勢は太極拳の前方へのジー。拳や掌での発勁に骨盤の力を使う、と書いたが、それは大腰筋のゴムパンチのようなものかも?

 

 理想的な歩き方も大腰筋のゴムの引き伸ばしとパチン!と戻る動きの繰り返し(下の図参照)

 https://www.hone-u.com/column/cate0b1zb/noteal1zb.php 

 

 これらの資料を踏まえて、太極拳の動きでそれらがどう使われているのか、どう練習すべきなのか、生徒さん達に教えながらも少しはっきりさせていきたいところ。

2020/12/10 <骨盤を意識した練習>

 

  骨盤をAライン、Bライン、Cラインと分けて感じることができるようになると、太極拳の練習が効率よくできることを発見。

 それを使ってタントウ功、動功、そして調子に載って套路の動作まで動画を撮ってしまいました。

 太極拳は骨盤運動に他ならなかった・・・

 下丹田は骨盤の中にあるのだから当たり前といえば当たり前なのだけど。これは大発見♪

 これまで意識的に骨盤を分けて感じようとしたことがなかったからそれに気づかなかった。

 宮川眞人さんの骨盤体操のおかげ。大収穫、自画自賛♪

 

 ただ、生徒さん達が分かるのかどうかが問題。

 結跏趺坐が組めないと(両脚を組んで骨盤が立たないと)Cラインが意識できないのかもしれない・・・

 ただ太極拳の套路だけを練習していてもなかなか骨盤周りは開かない(つなぎ目の関節が動かない)ので坐禅を併用する必要があると思う・・・

 

 注意としては、骨盤の腸骨の部分を→のように左右に開いてはいけないということ。股関節を緩めようとしてよくやってしまう間違いだ(私もやりました)。

 これをすると大腿骨の骨頭とそれがパカっとはまっている寛骨臼(ピンクの丸)の間の角度が変わってしまい、股関節があたかもネジを斜めに差し込んでぐりぐりしているように使われてしまう。骨盤の捻れ、脚の捻れ、そして股関節や膝の変形に繋がるので要注意だ。股関節を緩める時は腸骨(Bライン)を開いてしまわないこと。動画では「Bだけで動かない」「ABC全てをひっかける」というような表現で説明しています。

2020/12/8 <骨盤の力=胯(kua)の力>

 

  一部の生徒さんに試してもらった骨盤体操。宮川眞人さんの最近の本に載っていたものだ。

 

 宮川さんの第1冊目の著書『誰も書かなかった整体学』はバイブル本的存在で今回パリに来る時も持ってきた。購入した当時は難解で身体として理解できることがとても少なかったのだが、太極拳をやりすすめる中で時折本の中の記述や図を思い出したりしてその部分をもう一度読んでみたりしながら、ゆっくりと検証しつつその理解するようになってきた。

 宮川さんの理論の根幹にある、”身体の中心は腰椎4番5番、その弾力が身体の良さを決める” というのは、腰が命の太極拳の理論そのものだし、”身体を内に絞る力”というのも太極拳の”合”の力で、チャンスーにおいては特に”絞り”の力が露わになる。

 この点についての話はここでは置いておいて・・・

 

 最近はバレエから見た整体に着目しているが、股関節の硬さや骨盤の歪み、足首の捻れ、身体の左右差、捻れ、という問題を抱える生徒さんが多い。”捻れ”という言葉で宮川さんのことを思い出し、少し検索をしていたら、最近、『ゆがみをとる骨盤体操』という本を出されていた。早速Eブックで購入してそちらの本にのっている実技を試してみた。実技はYoutubeでアップされていてどれも2、3分の簡単な体操だ。結跏趺坐を組めることを前提とした体操で、地味にキツイ。けれど、やると、とても効くのが分かる。師父から坐禅は毎日組むように、と言われてきたけれど、それがただ入静状態に入ったり、気を溜めたりするだけでなく、身体の歪みをとることになるのだということはこれまでほとんど意識していなかった。

 骨盤Aライン、Bライン、Cラインを意識して・・・とやるのだが、それを意識して骨盤体操をした後で太極拳の套路をやったら、なんだ、太極拳も骨盤体操そのもの・・・Aライン、Bライン、Cラインを順番に、組み合わせながら動き続けているに過ぎない。

と、それはそのはず。太極拳『腰胯』の運動だ、と言う時の『胯』(Kua)は中国語では寛骨という意味なのだから。

 

左は中国のサイトhttps://baike.baidu.com/item/%E8%83%AF%E9%AA%A8 から

 

「胯骨は寛骨(腸骨と坐骨と恥骨が癒合してできた骨)」

「骨盤は胯骨と仙骨から成る」

とある。

 

 

 

 

 

上のサイトにある骨盤の図。

1は仙骨、2は腸骨、3は坐骨、4は恥骨。

骨盤体操で意識させているのは、仙骨の上辺のCライン、腸骨の上辺のBライン、そして鼠蹊部、恥骨へと繋がるAラインだ。

 

仙骨を除く胯(2+3+4)が運動する時は仙腸関節も稼働する必要があるから、胯の運動は結局は骨盤の運動に他ならない。

 

と、認識を新たにしてこの3つのラインを意識しながら套路をすると、A、B、Cを意識的に分けて動かすことでそれぞれ発勁ができるのが分かった。これが胯の力・・・そもそもエネルギーは関節に溜められているから、胯を構成する骨のそれぞれの関節(仙腸関節や腸骨と恥骨、腸骨と大腿骨、恥骨と大腿骨、そして右恥骨と左恥骨のつなぎ目)を一斉に動かせれば胯の総体としてものすごい力が出るだろう。発勁では胯と裆の力が非常に大きいというその意味が実感として分かるようになった感あり。(裆勁はと坐骨と恥骨/腸骨/大腿骨との関節で作りだすのではないかなぁ、この図を見る限り。今後意識的にやってみる必要あり。)

 

 ということで、Youtubeの骨盤体操を紹介します。(全部で10個あります。)
 本来はタントウ功や内功、太極拳をしていればこのような体操は一般の人よりもやり易くなっているはずなのだけど、もしそうでないとしたら、このような体操を試した上で普段の太極拳の練習を見直す必要があるのでは? そうでなくてもある程度太極拳の練習が進んだら坐禅の練習を取り入れるのは昔の中国では一般的だったという。すぐに結跏趺坐ができなければ、片脚だけ上げる、あるいはあぐらの姿勢でもよいので毎日坐るトレーニングが必要。股関節、骨盤は、坐った方が練習しやすい。気が下丹田まで沈ませられるかどうか、坐禅をすれば一目瞭然。

 身体にも良い。精神状態もよくなる。坐禅、侮るなかれ。

 

2020/12/5 <手首越しに指を見る、目線の伸びと身体の伸び>

 

   今日生徒さんを教えていてついでに喋った話。なるほど〜、とすぐに分かる人も多そうなので書きます。

 

  『手首越しに指を見る』という話。

  出どころはおそらくバレエの教材だったと思うのだけどはっきり覚えていない。が、それを知って試してみたら、あら不思議、手が向こうへと引きに抜かれて腕が長くなる・・・ 。

とても簡単な実験なので試して見ると面白い。

自分の目の前に片腕を上げ指先まで伸ばす。

まずは自分の中指の先端を見る。

その後今度は、手首を見てその先にある中指を見る。

腕がぐぐっと引っ張られたように少し長くならないだろうか?

 

 

  この目の使い方は太極拳の凝神、収眼(両目を眉間の奥で一点に集めそこに収めておく)を”軽く”やったもの。

  目がダイレクトに指の先端を見てしまうと、腕は棒のように固まってしまう。

  しかし、手首を経由して指を見ていくと、目線の伸びと連動するかのように、手首から先が水を吸ってぐんと立ち上がる切り花のように内側からぐんと伸びる。手首から先が伸びると腕自体も引っ張られて伸びたようになる。

  目線の伸び=意の伸び、は手首から指に向かう”気=エネルギーの流れ”をもたらしているようだ。

 

 太極拳では凝神をした後、その眼で腹の丹田を内視する。

 外界を見る時は ”丹田越しに”外界を見る。

 丹田越しに指を見た場合、”手首越しに”見るよりもその目線はずっと長くなる。

 

 ここで注意。

 ”手首越しに”指を見る、というのは、手首と指の2点を見ているのではない。

 この”越しに”という言い方が妙なのは、そこに、手首を見つつそこから指まで線状に目線を引き伸ばして行く様が含まれているからだ。

 目線が一点(例えば指先)にある場合は、目線に伸びはない。目線に伸びがなければエネルギー(気)に伸びがない=動かない。目線に伸びを作るには、2点間、A点→B点の間を、目線が最初のA点を外すことなくB点に移動していくことが必要だ。A点からB点に移るにつれ視野は拡大していく。点ではなく、線に、そして面に視野は広がるべき。

 

  太極拳を学ぶ時に、目は手を見るように、と教わって、本当に目で手を追っているような人を多く見かけるけれども、それでは全く凝神ができていなくて丹田を内視することもできない。目線に伸びがないから身体も精密なお人形さんのような動きになってしまう。

 

 両目を一点に集めたところが上丹田。”神”と呼ばれるエネルギー=意のエネルギーの場所だ。

 この”神”(意エネルギー)によって気(肉体を動かすエネルギー)が動く。

 神の拡大は気の拡大を導く。(文章で書くと難しいことのようだけど、注意して私たち自身の身体を観察していると、興味があることに出くわした時パッと目が開いて視野が広がり、とたん身体のエネルギーが湧き上がってくることが分かる。以前養護施設に入っていた義父をお見舞いに行った時、たまたまその日にサンバを踊るお姉さんたちが慰問に来ていたのに出くわしたのだが、露出度の高いサンバのお姉さんたちが部屋に入ってくるや否や、それまでしょげたように俯いていた老人男性達の顔がパッと持ち上がり、それまでにはなかったほど目が輝いて、とても嬉しそうに身体を動かし始めたのを覚えている。消えていた電球に火が灯る、その様を”出神”(神が出てくる)と表すが、それによって身体も元気になる、神→気、の現象を目の当たりにしたのでした。)

 

 目線が一点集中だと”伸び”や拡がりがないので、身体の伸びも現れない。(だからパソコン作業をすると身体が固まるのだと理解。)

 身体の伸びには目線の伸びが必要のようだ。

 それは運動も然り。もし身体の内側のエネルギーの伸縮がないのに外側の身体(筋骨皮)を伸ばしたり縮めたりさせるのは外側の身体に負担をかけてしまうだろう。枯れ木を一生懸命伸ばしたり縮めたりしていたら折れてしまう・・・まずは水や養分を与えてしなるようにしなければならない。

 

 手首越しに指を見る

 たったそれだけなのだけど、その含意はとても深い。

 実際には、その”手首越し”を肘越し→肩越し→ダン中(胸)越しと距離を広げて行き、最後に”丹田越し”に指が見れたなら、見るのと同時に身体は拡がってしまっているだろう。節節貫通も実現してしまっている。

 なぜタントウ功で丹田の内視をひたすら躾けるのか・・・実は、動いた時にその内視が身体の伸びを作るのだとはこれまで気づいていなかった。大発見!

 

 と、究極的な現象はともかくも、手首越しに指を見る、面白いので是非、試してみて下さい。

2020/12/4 <どうやって腕を振るのか?から学ぶ>

 

   主人が気に入ってみているマラソンのYoutubeチャンネル。喋りが芸人のようでテンポが速い。いかに速く走るか、と考えている人だから喋りも速いのか?、なんて思いながら覗き見してみたら、あら、また面白いことをやっている。

 

 動画では、速く走るには腕の振りが大事、腕の振りによって脚が前に出やすくなる、という腕→脚の連動を前提として、ではどのように腕を振るのか?を解説していた。太極拳的に言い換えれば、上が下を引っ張って上下相随をさせる時(例えば白鶴亮翅)、腕をどう使うのか?という問題。

 

 

 

 

 詳しくは上の動画を見てもらえばよいと思うが、ざっくりまとめると、

①腕を肩から振るのではなく、”上半身全体”で振ること。

②しかし上半身全体で振るといっても、ゆさゆさ揺らしてしまってはエネルギーがロスする。厳密にいえば、”背骨の中心から”腕を振ること。

③ではどうやって背骨の中心から腕を振るのか?

 ポイントは3つ 体幹の安定、肘はコンパクトに90度、 拳はグッと握ってリラックス

 

 これまた太極拳の要領と全く同じ。

 表現の仕方は違うけれども同じことを言おうとしているのが分かる。

 ”肘の角度が”コンパクトに90度”→肘が垂れると腕が体幹に連動しない(二の腕=肱が広背筋のスイッチをいれられない)。(太極拳の場合は様々な腕の動きがあるから肘の角度は様々だが、それでも肘がコンパクトに操作できなければならない。)

 ”拳はグッと握ってリラックス”→太極拳の空拳になるが、空拳の意味を改めて気づかせてくれた表現。いったんグッと握ってリラックスさせると二の腕と広背筋の連動がはっきりする!(なぜか分からないけど 苦笑)

 

 <注:以前メモで書いたが、二の腕=上腕の小結節に広背筋が付着している。肘が落ちると付着付着部の筋が緩んで上腕を動かしても広背筋がうまく作動しない。感覚的には、肘が張って二の腕の皮膚が張っていると広背筋が作動する。二の腕が弛んでしまうような腕の使い方では広背筋が起動しないということ。逆にいえば、広背筋、胴体、体幹から腕を使っていれば二の腕は弛まない、ということ!>

 動画のちょうど真ん中あたりに上のエクササイズがあるので是非試してもらいたい・・・

 太極拳は最初から最後までこのエクササイズで起こる胴体のタイトな感覚がある。この締まり、効いた感がないと太極拳とはいえない。ただの中国風体操になってしまう。

 

 そして、このエクササイズではへその向きを固定して上腕を動かすことによって体の捻りを感じさせているが、この時の自分の体を更に詳細に観察すると、確かに体は捻られているのに体の奥の中心は外側の体の捻りに負けまいと踏ん張って止まっているのが見えるはず。捻られいるのに捻られていない。簡単に「体をツイスト♪」と言っても、そのツイストは更に内側の不動点を前提としている。体を雑巾絞りのように捻ってはいないのが分かると思う。

 

 このあたりが太極拳の動きの核心で、最終的にはその意識は不動点に収まるのだろう。

 

 両腕を重ねて肘を捻る動き、これを何度も繰り返して次第に高速になったら、あら?これは卓球の速打ちだ!と昔の懐かしい記憶が蘇ってきました。皆同じ動きだった・・・

 

2020/12/3 <太極拳の身体の使い方を太極拳の外から見る試み>

  

 今日一部の生徒さんに紹介して反響の高かった動画。

 まさか前屈に首が関係しているとは・・・と、私も最初驚いた。

 これは筋膜リリースの理論に基づいた手法だが、身体の背面、足裏から頭頂までは膀胱経が通っているから、このラインを緩めたら前屈がし易くなるのは何も不思議なことではない。ただこの手法が面白いのは、ただ摘んで持ち上げるだけ、というところ。

 硬いスジをひたすらがんばって伸ばすようなストレッチ(拉筋)だと、ともすると一部分のスジだけを無理に伸ばして痛めてしまうこともある。圧腿で膝の裏が伸びないからと無理やり伸ばす前に、膝の裏が伸びないのは膝の裏だけの責任ではないことを知る必要がある・・・これも周家一家の一つの現れ。

 

 筋膜については私も完全に理解はしていないのだが、検索をすると下のような図がイメージ図としてよく挙げられている。(https://be-loved-by.jp/menu_category/releasecutter/ 及び、https://estehigasiku.nagoya/menu/body.html より)

 

 上の右の図を見ると、まさに『周身一家』ではないか! と思う。

 

 太極拳には身体を正しい位置、状態へと調整する”整体”の要素が大きく、経典にはそのための要領が逐一記されているのだが、その言葉は抽象的で分かる人にしか分からない。(できるようになって初めて分かる。できないうちは分からない。できてから分かったのでは意味がないのでは?という議論もあるが、できるようになった時に、ああ、これがあの△△(例えば含胸)なのだ、とチェックするために経典があるとも言われている。ガイドブックの要素よりもチェックブックの要素の方が大きい。)

 『含胸』だの『抜背』だの、分かるようで分からない言葉のオンパレード。

 『松』はその最たるもの・・・

 

 私が子供の頃は足腰を鍛えるためにとすぐに運動場でうさぎ跳びを何周もさせられたけれど、今ではそんな非科学的な量だけをこなすような練習をさせる指導者はいない。身体についての研究が進みますます合理的なトレーニグ、エクササイズが編み出されている。

 上の太極拳特有の言葉のように見える語句も、今では他の分野で別の言葉で、もっとわかり易く説明されていることも多くなっている。そのようなものを参照するのも助けになるのではないかと強く思う今日この頃。

 太極拳を学ぶからといって太極拳だけ見ていては逆に道を逸れてしまいそうな気がする。一生懸命練習しているうちにいつの間にか大会で良い成績をとるのが目標になってしまったりしたら太極の道から逸れてしまってはいないだろうか?

 たまにテレビで小さい子供が、将来の夢は?と聞かれて、「○○のオリンピック選手になることです!」と答えたりするけれど、まあ、子供なのになんて枠に嵌められた小さな夢を語るのだろう?と逆に可哀想になってしまう。幼い頃から私たち大人達に俗なことを吹き込まれたのね・・・と。

 ということで、今は太極拳の外から太極拳の動きを見るような練習をしています。少人数の生徒さんをモニターに使って。

 成果があればまたメモに書きます。

2020/12/2 <周身一家、整勁、靠、上下相随、腕と脚の連動>

 

   太極拳で『周身一家』(全身で一つの家になる)ということは、『節節貫通』(全身の関節を貫通)して身体の内側の力(内勁)が分断されずに丸ごと全体の力(『整勁』 whole energy)になるということだ。

 といってもこの状態は完成形、目標であって、なかなかその境地に達するのは難しい。

 たまに調子の良い時に脚も腕もなくただ自分が思った通りに自分の身体が動く、という感覚があったりしても、それも長続きはしない。ふと気づくと相変わらず、膝がこうだとか、腰がこうだとか、目線はこうだとか、パーツパーツを意識している自分がいて、自分と自分の身体が分裂していることに気づく。

 家には今ちょうど5ヶ月になった子犬がいるのだけど、その子犬の走り方を見ていると、おお、これこそ、『周身一家』と思ってしまう。小さな弾丸のように走るのだ。大きな犬がわっさわっさ揺れて走るのとは全く違う。脚も腕もなくてただ突進!このまま体当たりか?と思うような走り姿。イノシシに近い・・・ 
 

 『周身一家』は言い換えれば『一動而无有不動』(一つ動けば動かないところはない)で、これを『整勁』という。

  鶏が歩く時に首を前後に振るのを止めたら鶏は歩けなくなってしまう。

  一つの歯車が動けば全部の歯車が連動して動いてしまう、そんな構造をしているのが本来の身体だ。

 

  イノシシとか『整勁』から思い出したのは靠。体当たり(靠)は太極拳の八法の一つだ。太極拳が接近戦に強いのはこの”靠”があるからだ。師父も言っていた通り、空手だと相手に抱きつかれたらなす術がないが(もちろんそれは空手のルールに反するのだけど)太極拳であればわざわざ相手に接近して相手の蹴り技を無効にして自分が靠をすることも可能だ。

   そして、靠は”体当たり”だけでなく、胯の靠 頭の靠(頭突き)、膝の靠、スネの靠、肩の靠(肩でも部位によって数種類)、背中の靠(背折靠)、胸の靠・・・と相手に接した場所はどこでも靠ができるようになっている。というよりも、相手に接した場所はどこでも靠ができる、発勁ができる、というように身体を作っている。手が相手に接すればその靠は拳や掌になり、足が接するならその靠は蹴りになる。つまり、拳も肘も蹴りも広い意味での靠の一種に過ぎないということだ。

 

  前回パリに滞在していた時、混んだメトロの中で私がドアに向かって立っていたら私の背中に後ろからたいこ腹を突きつけてくる男性がいた。それは私が師父から靠を習って間もない頃。今こそ靠の出番♪、と私は背中でその男性のお腹に靠をしたのだが、男性は私の靠に対し、後ろから優しく腹の靠で返してきた。なぬ?と私は再度背中で靠。そしたら男性も負けずに腹で返してくる。信じられない!と私はまた背中で靠、男性も腹で靠。これを数往復した時、やっとメトロは次の駅に止まってドアが開いた。私は少し腹が立ってここで降りてしまおうとドアに向かいながら振り向いたら、なんと、そこには顔を赤くした初老のおじさんが、私にグッド👍と両親指を立てて笑っていた。うわっ、ただ遊ばれてた・・・私の靠はあのたいこ腹に対してはマッサージ程度のものだった?と、私も恥ずかしくて思わず笑ってしまった。日本だったら痴漢騒ぎになるのかもしれないのにこっちではジョークになってしまう?

 

  いや、それよりも、今思い出すと、靠であのおじさんを弾き飛ばすとなると、相当な発勁をしなければならなかった・・・靠だけで戦おうとしたらまさに整勁(丸ごとの力)対整勁。おしくらまんじゅうでだれが勝つか、そんな素の力比べになってしまう。

 

  が、太極拳の根底にはその素の力があって、それを土台にして技(の妙)が成り立っている。(一に功夫、二に胆力、三に技巧、と言われる時の”功夫”が鍛えて身につけた整勁。)

 パンチ(拳)にも靠の力を乗せているのが太極拳の拳の特徴で、だから拳の威力の7割は下半身だと言われるのだ。

 

  周身一家になるには、上下相随を達成しなければならないが、腕は足が地面を推さない限りは全く動かないし、脚は腕が動かなければ動かない。足が先か、手が先かと頭で考えると混乱してしまいそうだが、”力は足から、手は力を導く”と思っていれば問題ないはずだ。(『力于脚跟』『梢领中随根节催』)

  

  具体的にいえば、

  腕を回した時、動かした時に脚が動いてしまいそうになる(けれども足で地面を踏ん張って頑張って動かさないでいる)なら上下相随。

  腕を回した時、下半身が石のようにビクともしないなら上下は分断している。

  脚を動かした時も同様。脚を動かしたら腕が動きそうになってしまうのが自然(上下相随)。

  脚を動かしているのに、肩甲骨がピクリともしないようなら(歩いているのに肩甲骨が全く動かないなら)上下は分断している。

 

  腕と脚が連動するかどうかから動きをチェックするのも一つの練習方法。

  どうすれば腕⇄脚になるかを探っていけば、太極拳の様々な要領(沈肩墜肘 含胸抜背 塌腰松胯・・・)そして腹・腰=丹田、に行き当たっていくだろう。

 

2020/11/28  <前腕骨間膜をストレッチすると指に気が通る 回外と回内>

 

  前腕の橈骨と尺骨の間の膜をストレッチさせるには”手首を開く”ようにする。手の指を開いてしまうと手首が締まってしまうからそこは注意が必要。

  楊式では掌が多様されるが、掌でも拳であっても手首を開いて前腕の骨間膜を広げて肩から拳まで捻れなくズドンと貫通するようにする。掌根で発勁できないような弱々しい掌で打っても痛くも痒くもない。手首を開いた時に、掌根のジクソーパズルのような骨達(手根骨たち)がバラバラになって隙間が開くような感じになったら自然に5本の指は開いてしまう。

 

 右上の手のイラストは「いちあっぷ」(https://ichi-up.net/2017/094)に載っていたものだが、イラストを描く人たちはこんなにも人体構造を勉強し把握しているのかと脱帽!私はただただ感謝して参照させてもらっている・・・

 ここで注釈が書かれているように、指の骨は手首を起点に生えている。手首を広げれば放射線状に五本の指は広がる。私たちが間違えがちなのは、手を広げようとして指を広げがちなこと。違いは歴然。

 

  なぜ前腕の骨は2本あるのか? それについては左の図を使って説明してくれているブログ(https://ameblo.jp/lymphcare7shalom/entry-12346246357.html)で簡潔に説明されている通り。2本ないと手首が回転しない。尺骨が肘関節に接着していて、橈骨は尺骨を跨いで回転するような感じになっている。

 前腕を操作する時に尺骨を基軸にする、というのもそこから納得がいく。

 

  親指を外側に向けるようにすると橈骨と尺骨は平行・・・回外

  親指を内側に向けるようにすると橈骨と尺骨は交差・・・回内

 

  太極拳で言うと、順纏は回外、逆纏は回内になるが、逆纏で回内になる時も完全な回内にならないように肘の中や脇の中を開いて隙間をとる(上腕は内側で内旋したようになる。 隙間は死守する。

  こんな使い方はいろんなスポーツやリハビリなどでも指導されていて太極拳に限ったことではないようだ。

オレンジページのネットには左のような古武術の知恵を使って重いものを保つ術が紹介されていた。

理屈は同じ。

 

https://www.orangepage.net/daily/334

 

”手首を返すと、肩甲骨が開き背中に適度なハリが生まれる”

 

→まさに太極拳の腕の作り方と同じ。

 

*骨間膜の機能について

https://physio-fukuoka.jp/startle/archives/6470 より)

『骨間膜の主な機能は橈骨を尺骨に結びつけ、いくつかの手の外在筋に対して安定した付着部を提供するとともに上肢への力の伝達を担うことです。』 上肢への力の伝達! 手首ー肘ー肩 骨間膜はここまで繋ぐ。前腕だけ=小手先で動かないのが身体を崩さない秘訣でした・・・気をつけねば。

 下はアレキサンダーテクニックを使ったマウスの持ち方。

 その他、武道、投球、・・・いろいろあるが、日常生活の細々とした作業で意識的に練習して捻れのない腕の使い方(ということは腕に止まらず身体の使い方になってしまうのだが)を癖にしてしまうのが良さそうだ。

 

 書き終わって、3日前のメモの4人のピアニストの写真を見たら、巨匠二人(ホロヴィッツとルービンシュタイン)の腕は捻れがない。ランランは回内のまま弾いてるような(だから手首がゴツゴツ硬い)。残りの女性は左腕が捻れてる・・・というように、腕の捻れが全くないのは巨匠級かも。

『今日のメモ』毎日の練習は気づきの宝庫。太極拳の練習の成果が何に及ぶかは予測不可能。2012年9月〜のアーカイブは『練習メモアーカイブ』へ

YouTube『スタディタイチ』チャンネル→こちら

 

練習のバイブル本

 『陳式太極拳入門』

       馮志強老師著

お問い合わせはこちらから

 

2012/3/20

日本養生学会第13回大会で研究発表をしました。

発表の抄録、資料はこちら