2018年11月

 

2018/11/18

 

 <練習で扣を教えたら思った以上に難しい要領だったようで生徒さん達が辟易とした表情をしてしまった。教え方、間違えたかなぁ?・・・それを受けて以下LINEへの投稿・・・>

 

 扣の話、一応今日でひと段落。皆をかき回した感ありますが、扣が完璧にできる頃には達人になっています....

 

 太極拳は"松に始まり松に終わる" と言いますが、太極拳は松から始まらなければならないけど、本当に松ができたらもう太極拳は修めてしまっている。

 練習の仕方までリニアではなく円、循環しているのかと面白く思います。

 

 似たようなのが虚霊頂勁。

 虚霊頂勁は正しい姿勢の第一番目の要領ですが、この要領を絶対に外さないように練習を始めたらどこも動かせなくなってしまう。結局、虚霊頂勁を目指して練習をしていっているようなもの(真の二本足立ちを目指している?)

 できた頃には超人かも?(百会、サハスラーラチャクラが開くのだから)。

 丹田から一番遠いところの部位の調整は最も最後になるかなと思います。

 今回の扣も同じ。足の末端だからそこから始めてそれを目指す。

 完璧にできるわけではないにしても目指さなければならない。

 命門が意識的に使える頃には扣がそこそこできるようになっているはずです。

 ということは丹田の気を溜めるのが先決。

 結局、帰丹田・・・。

 

 

 

2018/11/17

 

  扣について。

  昨日レッスンの一部を撮影してみました。(今回は一旦ここにアップしますが後に仲間たちのページに移す予定。)

 下はその時の動画の一コマ。

 自分でも知らなかった、実は自分の足指は猫のようになっていた・・・。

 足指を開いてしゃがんでいる人がいたなんて、、、考えたこともありませんでした。

 

 足指開いて太極拳をしていたら、そりゃあ、膝や腰を傷めるし、脚も太く短くなって鈍重な身体になってしまう・・・。

2018/11/17

 

 その後、扣の足を生徒さん達に教えるうちに、その意味するところが想像もしなかったほど壮大な広がりを持つことに私自身面食らうまでになってしまった。

 扣を知らずに、もしくは勘違いして運動(スポーツ)をしてきた人は最大限の能力を発揮できないどころか、関節を傷めたり、余計な部分に力が入って、負傷の絶えない身体になってしまうだろう。スポーツ選手よりも何もしない人の方が健康だったりするのはスポーツにより身体を傷めてしまうからだが、競うことが念頭にあると基本的な身体の使い方を間違えたまま突っ走ってしまう。

 また、本当に正しい身体の使い方をしている人が必ずしもコーチであるわけではなく、その種目だけを念頭に頭で考えて教えている場合は、身体の本来の自然な動き方を無視して自然な身体の使い方を矯正してしまっていることも往々にある。

 

 以前バレエを習っていた娘にプリエをしてもらったら、足指が伸びたまましゃがんでいる。

私が「どうして足指を伸ばしてるの?」と聞いたら、「先生に絶対伸ばすように、と言われた。」と答える。私が、「足の指の先端の腹を床に付くようにしてやってみて。」と扣で彼女にプリエをしてもらったら、「え~!、むちゃ簡単!これなら全然楽。なんでもっと早く教えてくれなかったの?これならもっと踊れたのに。」と責められてしまった。その後、その扣の足のまま片脚立ちをしてもう一方の脚を高く上げてもらったが、当然のことならそれだと脚は軽々と高く上がる(太極拳の蹴り技も同じ)。「これなら腰にも自信がでる!」と腰痛持ちの彼女も嬉しそうだった。

 

 トウで立てば同じ作用があるのだが、トウで立たなくても扣をしていれば関節は開いて股関節は簡単に開くようになる。その結果、腰なり腹なり腸腰筋なり、要するに丹田で下肢を操ることが可能となる。(注:今知ったことだが、つま先立ちを生徒さん達にさせた時、本当に”つま先”で立っていた人はほとんどいなかった・・・。皆足指をべったり地面にくっつけていた・・・なんて知らなかった。なんだか皆ゆらゆらするなぁ、と思っていたけれど。片足立ちも足をコウにしていないと安定しない。)

 足先までが丹田と直でつながれば、丹田につなげた手先と足先がつながり、これで全身は一つの気でつながる・・・全身は一つの家=周身一家、身体が太極となる・・・いずれは。

 

 バレエで足指をピンと伸ばさせるのが間違いなのは、足の指の小さな二つの関節を無視しているから。ピアノを弾く時の指と同じように足先も足指腹まで気を通さなければならない。そのためには指の第一関節、第二関節をすこし湾曲させなければならない。真っ直ぐ伸ばした指ではピアノも弾けないしパソコンも叩けない。足指も同じ。

 スポーツで母指球に力をいれろ、というのも誤解をうみやすい。母指球に力をいれて親指がピンとなっていたら指でブレーキがかかって、関節が締まり、代わりに余計な筋肉を多くついて硬い身体になる。整骨院などでは、勁がきちんと通っているかどうかは親指先端にどのくらい力が達するか、親指先端の力の強さでチェックしている。母指球では中途半端。

 

 手や足指の先端は経絡の陰陽転換点。陽の経絡は身体の中心から末端(足指、手指先端)に流れ、陰の経絡はそれをうけて末端から中心へと気を運ぶ。末端まで行かなければ中心には戻れない。

 経絡も末端まで、骨も小さな骨まで最後まで使い切らなければならない。

 

 幼児のうちは筋力がないから扣で立ち扣で歩いている。昨日新宿御苑で、幼稚園児を観察していたが、すでに足裏アーチが下がってペタペタ歩いている子がほとんどだった。都会の子はコンクリートの上ばかり歩いているからか? 小学生の頃、コンクリートの上で走ってはいけない、筋肉が硬くなるから、と土の上で運動させられたが、今改めて考えると、地面が土だと足裏がしなりやすい。それは子供の身体に大きく影響するのではないか、と思う。コンクリートの上やタイルの上で歩く時と土の上を歩く時の足裏の状態は私達の意識しないところで微妙に変わっている。相手が硬く冷たい無機的な物体だと、それを触れる私達の身体は幾分硬くなる。相手が柔らかいもの、暖かい生命のあるものだと、触れる私達の身体は柔らかくなる。赤ちゃんや子猫に触れようとする時の私達の身体は瞬間的に少し溶解したようになる・・・放松する。どんなものに触れるか、どんなものに囲まれているか、私達の身体は刻刻と変化をしている。

 

 扣の話はキリのないくらい書けてしまう。

 整理して書ければとても良い本が書けるだろうに、整理する時間があったら自分が練習したい、というのが本音(苦笑)

 

 待ちゆく人を見ても扣しているかどうかが分かってしまう。

 太極拳の演武も然り。命門がちゃんと使えている人は必ず足は扣になっている。

 このブログの左に見える本の表紙の馮志強老師の第三式の定式の姿。足は扣になっている。

 太極拳を練習して膝を傷める人が多いのは単に扣ができていないからではないかと思う。

 なんだ、そんな単純なこと!、と目から鱗、と感嘆の声を上げるのは身体がそこそこできている人。扣自体ができない人は扣ができるようにタントウ功でしつけなければなりません。

 

 

2018/11/15 のLINEへの投稿

 

  昨日の”扣”はまずパーに開けないと”抓”になってしまう怖れ大かもしれません。

この違いで目から鱗になる生徒さんはそのまま使えば良いですが、今一つの人はあまり深く考えず、土踏まずを上げる、という程度で良いかもしれない。個々人の身体の開発段階に合わせてやらないといけない。

 

  まずしっかり開いて親指側小指側の足裏の台がしっかり形成され、足裏の底もしっかりして甲がちゃんと出るようにする。

その上で”扣”をすれば足指がしっかり伸びて弧を描く(背骨と同じ。骨と骨の間が開いて湾曲を描く)けれども、それができないでやると、足指が縮こまって丸まり”抓”になってしまう。

難しい・・・上級者レベル?

 

左側はダメ=抓。

足前側だけ縮めている。

足裏全体がおわん型になっていない→踵、アキレス腱が使えていない。

 

右側は扣。

(といっても左の図の上に描いているので足指が鈎のように曲がっているのは間違えている。本当は足指からアーチを作って甲が高くなり踵がつく。)

力は踵先端から足先先端まで貫通する。足の横のアーチも出現する。

 

 これらの写真はチャコットのHPを参照にしています。(https://www.chacott-jp.com/news/useful/lecture/detail001174.html)

 

 このブログでは続けて、左は×で右は〇だと言っている。

 

 左側は前半分を縮めた抓で×。一方右側は途中までは扣だが最後の指で突っ張ってしまっている。指の第一関節第二関節で湾曲を描けていない(関節としての要をなしていない)。このままトウで立ったら足指先が足首に繋がらず、その分指の付け根の関節に過剰な負担をかけてしまうだろう・・・と、画像検索をしていたら、さすが、ギエムとザハロワ。

 

 左はシルヴィーギエムの足の銅像。

 足首から足指先までしっかり弧線を描いている。

 

 太極拳は五弓の身体で行う(背骨と四肢はそれぞれ弓状)。

 足の弓は足指先端まで含めて弓状になる→身体のバネ力!

(太極拳が一番目指しているのはバネ力。バスケットボール選手が理想?)

 

 扣を刑させる道具はたくさんあります。よく考えられたインソールもその一つ。

 

 つま先の方に注目してしまいがちですが、大事なのは踵付近。

 なぜそうなのかは、練習してみると分かる・・・。

 本当は踵があるからつま先ができるようになる。踵がしっかり”入る”感覚が分かれば扣はできているはず。踵にただ”乗って”いても扣にならない。

 

 (その後、バレエと太極拳で混乱してしまったという生徒さんのコメントを受け・・・)

 Kさんが混乱するのも仕方がない。昨夜は劉先生に上のバレエ関連の画像を見せたら原理が共通するのは当たり前、と言っていました。

 が、中途半端な指導者に指導を受けると間違えた躾を受ける可能性も大。

 ザハロワやギエムのレベルまでいけば原理通り、巷のバレエダンサーの足はきっと傷つき壊れてしまっていると思います。私の足も卓球で壊しました....スポーツは競争の要素があるので悠長にやってられない、というのもあるかもしれません。

とにかく、疑問、混乱はレッスンで追い追い解消していきます。

 

 

2018/11/12

以下LINEへの投稿
昨日のクラスでは、足を"扣" することを教えました。
"扣"はしても"抓" はしてはいけない、と昔から劉先生に口すっぱく言われてきましたが、先週私の足首回しの動画を先生に見てもらった時のコメントで、全てがはっきりしました。
"扣"にするのは体中の関節を開放して可動域を高めるため。中でも股関節が関節として機能するかどうかは"扣"できるか否かに関わっているといっても過言ではありません。
"扣“はお椀を伏せたような形。すると足指先先端までがドーム状に丸くなる→指先先端まで気が通り、陰陽転換が起こる。
"抓"は足指先端第一関節が伸びて第二関節から丸くなった状態。気が指先末端まで通らない。足指に余計な踏ん張る力が入り、筋肉も僵硬になる。
なぜバレエダンサーが爪先立ち、トウシューズを履くのかも同じ理由でした。とても合理的。
三節回しの時はキツイですが足は扣でやるべき....私は毎日100回力を入れて回りにくい右膝を外回しするようにノルマを課されてますが、2日目の朝既に股関節の位置が上がり、4日目には足首のホールド感が変わり、6日目には足裏に乗る場所、今日は体全体の重心位置が変わってきました。
ただの膝回しですが、正しい位置で回すと物凄い効果がある。タントウ功より矯正力は遥かに高い。キツさに耐えられるなら(苦笑)
→”足裏に薄皮一枚”、という言葉で説明する先生方もいます。同じことをいろいろな言葉で説明できるのが面白い。

<この投稿を受けての生徒さんのコメント>

 これまで何かおかしいと思いつつも、ずっと抓にしていた事が今わかりました。

扣が出来ているかは不明ですが、抓にならないように足をお椀状になるよう意識すると、崑崙など踵のツボが途端にはっきりした感じがします。

  抓をする時は足を床に押し付けてから、無理やり指で丸さを作ろうとしてました😓

そうすると足首のツボの感覚は、ちょっと動くとすぐ消えてしまっていたので、何かおかしいとは思っていたのですが。。

 水曜教室でも是非お願いします!!

 

 さっきからは、中足骨と足根骨の継ぎ目のあたりから、じわーっと吸い上げるようにして、お椀を目指す感じにすると、指先を殺さないで済むようになりました。タントウ功も違う!!

 

 

 (私)抓ではなく扣するには崑崙や太溪、解谿などのツボが要になります。水曜日に説明しまう。

 

<11/14練習後の投稿>

 

 

 O君

 そういえば、以前ボルダリングをやった時、靴は足のサイズからマイナス1センチから1.5センチのものを選んで履くようにとありました。

 その時は意味が分からなかったのですが、あれは扣を作り出すための措置だと今日分かりました。(画像) ボルダリングシューズです。足指の第1関節を完全に丸めないと履けない。。

 

 私  納得です。

2018/11/7

 

  昨日の練習中にとった動画。

 説明し出すとまた長くなる・・

 言いたかったのは、命門(腰側)だけ意識していると頭まで真っ直ぐには立てないということ。

 臍の方に向けて推し出す前丹田が必要。

 (中丹田は、命門側の丹田=後丹田や臍側の丹田=前丹田へと移動できるが、この前後をつなげられると腹まで腰になる・・・帯脈ぐるっと回った胴体のが全て腰化する→奥の手写真参照?)

 

 この胴体の筒(中丹田が満タンに膨らんだ感じ)を真っ直ぐ下丹田に押し込んでいくときれいにしゃがんでいける。力士と同じ。これが太極拳の中腰の基本。

 決して脚を曲げにいってはいけない(膝が痛む)。胴体の気で関節が押し広げられて脚が折りたたまれていく。

 太極拳を練習して膝を傷める人がとても多いのは腹の気(丹田)を使って中腰になっていないから。脚力に頼ると膝を壊す。胴体に頼る。これが内家拳の基本、奥義でもあり、養生法の基本(四肢を失っても生きていけるが胴体が無くなったら生きていけない。五臓六腑を養う→太極拳は胴体運動。

  いずれにしろ、中腰姿勢をとる太極拳は中丹田の気の量が十分にないと、真剣にやればやるほど身体を傷めてしまうから注意が必要。套路と並行して内功が必要になる理由はそこにある。

 

2018/11/4 
<練習後のLINEへの投稿>
 
結局Hさんのリクエスト答えられぬまま時間切れ....三節回しやると話が広がり過ぎて収拾つかなくなります。
 
(太極拳では)動きは関節を回すことによって行います。
骨や筋肉で関節を回すのではなく、関節を回すことによって骨が回るようにします。(子供も達人もこの動き方。中枢神経から末端に向けて順序正しく神経が繋がっていけばそのような動きになる。)
それは当たり前のことなのだけど、
私達は無意識のうちに筋肉(の太いところ)に力を入れて骨を動かしがち。すると筋肉の末端=スジが十分に伸ばされず、骨の末端=関節が十分に動かなくなる→可動域が狭まり伸びのない縮こまった硬い身体になります。ボディビルダーはその典型。
太極拳で最も大事なのはバネ力。発勁は身体中のバネを総動員したもの。
バネはスジの伸び=関節の隙間=その隙間を可能にするだけの丹田力(気の量)です。
関節に気をめぐらして回せるようになるためにも気をためる必要がある。
踵(足首)の球が回りそれが膝に連動→股関節→尻→腰 腹→胸→首 と一気に全18個の球(関節のようなもの)が回転することにより気は節節貫通=関節から関節へと貫通、していき、周身一家=全身が一つ、と、身体が出来上がります。
練習は少しずつしか進みませんが、その行き着く先を雰囲気だけでも知ってもらおうといろんな生徒さんの身体を掴んで矯正しました(苦笑)
今日見せた膝回し、腎経のラインは復習しておいて下さい。膝の裏が伸びるよう毎日膝裏伸ばし(圧腿をすれば良い)をするのはマスト。認知症防止の本にも膝裏伸ばしが勧められていました....。
肩の球の位置も思い出して→股関節の球の位置と合うはず。
この計4つの球の連動が分かれば四正勁や四隅勁が分かります。
今日冒頭で練習したリエは四隅勁の1つ。斜めの腰回しは毎日必ず練習して下さい。これはやって慣れるしかない。
<関節を回すコツ>
使いたい関節に気を押し込む→関節の球の周りを気のクッションで巻く→関節周りに隙間ができる→関節が回せる
以上

2018/11/1

 

 昨夜のレッスンでは奥の手を使いました。

 例の三節回し。

 膝回しの甘さは二人組で膝を交えて転腿(推手の脚バージョンのようなもの。足相撲?)をすると暴露される。

 膝を内旋させる人も外旋させる人も、相手の膝で自分の膝を入れ込まれて倒れないような場所で膝を回転させなければならない。膝を推されてガクッと押し出されてしまうような位置は正しくない。

 一人でやろうが二人でやろうが、正しくやれば皆が気づくこと、それは、回転軸がもっと後ろ側にあるということ。

 そのまま後ろに体重を乗せていく(踵の方に乗って行く)と後ろにのけ反って倒れてしまうだろう。この時に必要になるのが丹田の重さ。

 後ろにのけ反りそうになる時に背中を緊張させて一枚板のようになってしまうと身体はそれ以上動かなくなってしまう。逃げ場なし。後ろにのけ反って背中を固めたくたなったその時に、背中の力を抜いて幾分猫になったつもりで丹田に瞬間的に力を寄せられるか、そこが正しい重心、身体の軸を得るコツになる。

 

 大事なのは、まず重心、それから軸。

 重心(丹田)が決まれば軸は自ずから現れる。軸は絶対に取りに行ってはいけない。

 小学校の時に背中に物差しを背中に入れられて授業を受けさせられたことがあったけど・・・

 背骨を絶対に曲げない、なんてバカなことをしているとしゃがむことさえできない。背骨をまっすぐに立てて太極拳の演武をしているのをよく見かけるけれども、そんなことをしていると大腰筋(命門の裏あたりから始まっている)が作用せず、太ももの筋肉ばかりが太くなって短足になるか膝が壊れてしまう。

 丹田の位置が決まって徐々に軸(身体をMRIで輪切りにしたときの一つ一つの輪っかが水平回転するその中心点をつないだもの)が現れてくれば、自然に背骨は立ってくる。

 

 が、そのためには、下から順々に積み上げていかなければならない。辛抱がいる。

 下半身、腹からしたがバーンと決まってくれば、次第に肋骨の位置や脇の位置、肩、首の位置が決まってくる。

 最後は百会の位置が決まる。天とつながる(のか?)

 私はやっと肩や首のあるべき位置が分かり、後頭部、玉枕の位置が分かりかけたところ。百会まではまだ届かない・・・

 虚霊頂勁はタントウ功、太極拳を始めるにあたっての第一の要領だが、実はそれが最後に完成する要領、というのも、ある意味、円運動の太極拳らしいなぁ、と思う。

 練習を始めた頃は虚霊頂勁ができるはずもないのだが、本当にはできていないにしろ、そんな感じでやるしかない。腰以下の要領が一つクリアされると、他の要領についての感覚も更新されてしまう。

 数年前に含胸をどうしても知りたくて随分研究してブログを書いたことがあったが、今見ると、決して間違ってはいないし、我ながらよく書けてる、と思うものの、でも、理解がちょっと浅いなぁ、なんて思う。でも、今もう一度書け、と言われたら躊躇してしまのは、理解が深く、広範囲になりすぎて、含胸だけで本一冊書けてしまう・・・と思うから。結局読んだ人が更に混乱するハメになるだろう。

 

 と、最初に書いた”奥の手”とは、私の丹田写真を見せること。

 そもそもは、師父から丹田呼吸をしている写真、即ち、丹田を前に出している時と後ろに移動させている時(命門を開けている時)、の2種類のものを撮って見せて欲しいとの依頼に答えて撮ったもの。チェックの意味が大きいが、ものによっては中国で練習している人達の教材にもなり得ると思ったらしい(私の身体は脂肪が少ないから丹田が分かりやすい。脂肪が多いと脂肪なのか丹田なのか一見分からないことがある。)

 自分でもなかなか腹を見ることはないから、写真に撮ってみると、いつの間にかこんな身体になってしまったのか、とびっくりした。劉師父と練習し出した頃のぺったんこで胃の部分がへっこんでいた腹とは全く違う。

 

 先週自分に近い生徒さん数人にこっそり見せたら、其々見る場所が違うようでコメントも様々。

 私の娘は、パンツの広告のようだ、と言ったが、そんな風に見ていては何も得るものはない。

 昨夜注目してもらったのは、お腹の左右の斜めの線。このラインは腸腰筋が発達すると出てくるものらしいが、股間から斜めに腰骨の上に出てくるラインをイメージして股関節回しをしてもらったら、生徒さん達の股関節の周りが断然良くなった。横向き写真では股関節の車輪の上縁が見えているが、それが中国語で言うところの傍胯。これが車輪のように回転する。

 胯は前、後、内側、外側、と、4方向から操作できるようになれば、関節まわりの隙間が開いてスムーズに回転するようになる。

 

 写真を見た後で股関節回しに再挑戦した生徒さん達。腹を必死に上に引き伸ばさなければならないのがとてもキツそうだった。

 関節は骨と骨の連結点。スムーズに回すためには、骨と骨を引き離さなければならない。

 膝の場合は脛骨と大腿骨を引き離せば周りが良くなる。股関節の場合は大腿骨と骨盤(腹)を引き離さなければならない。感覚的には、お腹をぐっと上に持ち上げたようになるが、それはとりもなおさず、提肛、提会陰の要領で、そのためには足の裏(湧泉や足芯)もかなり持ち上げなければならない。肚はたるんでいる場合じゃない。

 

 師弟関係になると中国の老師でも少し身体を見せてくれたりする。普通マスタークラスの老師達は決して身体をみせない。劉師父がバミューダパンツで練習に現われた時、脹脛が丸見えだったので、私は必死に膝下の動きを見た。見ると分かることがたくさんある。

 私が知っている中国の少林寺系の老師も劉師父も、この腸腰筋のラインはしっかりはいっていた。丹田を作っていくと必ず腸腰筋が鍛えられてしまうので、このラインがないと太極拳の老師とは言えないだろう。

 腸腰筋についてはいろんなブログがありますが、この方のブログは簡潔で分かりやすい。

 https://taikan.hamazo.tv/e5987775.html

 

 奥の手の丹田写真は→仲間のページ(心を鎮めてから開けて下さい・・・)

 

動画適宜アップ中! 

YouTubeチャンネル『スタディタイチ』→こちら

⭐️どのレッスンも単発参加OKです。お問い合わせへ

『今日のメモ』毎日の練習は気づきの宝庫。太極拳の練習の成果が何に及ぶかは予測不可能。2012年9月〜のアーカイブは『練習メモアーカイブ』へ

練習のバイブル本

 『陳式太極拳入門』

   馮志強老師著

お問い合わせはこちらから

 

2012/3/20

日本養生学会第13回大会で研究発表をしました。

発表の抄録、資料はこちら